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ラフマニノフ「このポスターは私が一番真正面でショパンは
オレに背を向け、すこし顔を振り向いている感じにしよ
う。」
ショパン「なんで君が正面なんだよ。2人で正面を向いてい
る感じにしようよ。」
ラフマニノフ「それでは単純すぎて、工夫がないだろう。ポ
スターを1万枚印刷しよう。我が音楽学校の宣伝であり、顔
になるんだからな。ピアノを弾いているショパンと指揮して
いる私が写っている感じにしよう。」
ショパン「そこは賛成だ!だが、1万枚もいらないと思う
な。1000枚くらいにしようよ。持ち運びが大変だよ。何
キロになると思う?」
ラフマニノフ「すべて私たちが直に宣伝カーで宣伝しなが
ら、各学校を回ろう。劇場にもね。このポスターを見るのは
音楽関係者が望みだ。音楽が好きな人の目にとまるように
ね。」
ショパン「僕、恥ずかしいから、君が宣伝カーで拡声器を使
って宣伝してよね!」
ラフマニノフ「いや、ショパンにもやらせるよ。たまには新
しいことにも挑戦し、器を広げる努力をしたらどうだ?」
ショパン「わかったよ。声がデカいラフマニノフがたくさん
しゃべったほうがみんなに伝わると思うけどね。僕、しゃべ
り下手だし。」
こうして、ラフマニノフとショパンは宣伝カーで霊界の各地
の学校や劇場をまわった。結局、すぐに宣伝カーで啓蒙活動
を始めると、人だかりで車が走れなくなるほどだった。一
目、ラフマニノフとショパンという史上最大級の超一流音楽
家に実際に会いたいとたくさんの人が押し寄せてきたのだ。
印刷したA4のポスターをみんなに配り、1万枚があっとい
う間に消え、足りなくなった!
ショパン「あー!疲れた!まさか、あんなにいっぱい人が来
るとは!」
ラフマニノフ「私がいるから当然だろ!会いたくなるに決ま
ってる!もっとポスター印刷しておけばよかったな。いろん
な人が自分から来てくれたから、私たちから移動して渡す手
間が省けたな。まあ、劇場とかに置くポスターが足らなくな
ってしまったから、明日は50000枚持っていこう。」
ショパン「でも、この営業活動、初めてにしては上出来だと
思うよ。新聞にも大きくニュースになるしテレビ局の取材も
来たから、明日は大変なニュースになっていると思うよ。」
ラフマニノフ「はい!相棒!」
ショパン「またコーヒーか?飽きないの?まだ、コーヒーの
研究してるんだね。」
ラフマニノフ「ノートに記録し、コーヒーのプロフェッショ
ナルになるのだ。私はなんでも中途半端は嫌いだからな。」
ショパン「今回はブルマンなんだね。今までで一番おいしい
よ。それより、さっき相棒!って言わなかった?僕、君の相
棒になったつもりないんだけど。同盟だよ。お互いに利益が
あるから組んでいるだけだよ。」
ラフマニノフ「一緒にこれだけ行動していれば、相棒と呼ん
でもいいだろ!ダメなのか!」
ショパン「ダメなんて一言も言ってないよ。なんか、照れく
さくて!でも、僕、君と組んでよかったよ。いろいろと楽し
いしね。いい刺激になるよ!」
ラフマニノフ「コーヒーの感想を700文字以内にして述べ
よ!」
ショパン「え?本当に君はめんどくさい男だな!このコーヒ
―は甘さが際立っていて、なおかつ豆本来の味がしっかり際
立っている。なかなか飲めない味だよ。今までのコーヒーの
中で一番おいしいね。以上!」
ラフマニノフ「700文字以内いっていったはずだ。全然感
想が少ないじゃないか。普通、700文字以内と言われた
ら、600文字以上とか言うだろう。それに、君はコーヒー
あまり飲まないから今までで一番おいしいと言われても、感
動しないぞ?」
ショパン「うっ!本当に君はめんどくさいね。とにかく美味
しいよ!君が紹介してくれた今までの20種類のコーヒーの
中でではダントツで独特な味がして、美味しいね。300ミ
リリットルで
1000円だしてもいいかな!」
ラフマニノフ「安すぎるな!どれだけ高級なブルマンだと思
ってる?」
ショパン「僕はケチじゃないよ。いくらしたの?」
ラフマニノフ「これは500円だ!」
ショパン「じゃあ、元は取れるからいいじゃん!全然高級じ
ゃないし!」
車の中で話していると、ある少年が近寄ってきた。
少年「ショパンさんですよね!実際に会えるなんて思わなか
った。サインください!」
ショパン「君、私たちの運営する音楽学校に来ていたよね。
体験会だっけ。」
少年「そうなんです!ショパンさんに教わりたくて!昔から
大ファンだったんです!」
ラフマニノフ「君!私はショパンの師匠だ!私たちに教わり
たいならそれなりの能力が必須だが自信あるのか?厳しい
ぞ?」
少年「はい。才能は多分、ないです。自信は正直ありませ
ん。でも、努力でどうにかしてみせます。」
ラフマニノフ「まあ、がんばりたまえ。努力だけではどうに
もならないこともあるが、全力を尽くし悔いを残さないでや
りたいことをやりたいだけやりなさい!」
ショパン「ねえ、君が持っている時計。それ、古城「フルブ
ルス」の永久会員権だよね。」
少年「そうですが。ショパンさん、興味あるんですか?これ
は僕が霊界最高のサッカー選手を表彰する「マロンゴールド
ール」に選ばれたときの特典でもらったものですが」
ラフマニノフ「君、サッカーの天才だったのか?ならなんで
音楽学校に入ろうとしてるんだ?サッカーは辞めるのか?」
少年「サッカーはもう頂点を極めたので、たまたまショパン
の舟歌を聞いて、ピアノの魅力にとりつかれてしまい、音楽
に興味を持ちました。ピアノ曲を作曲したいし、ピアノでシ
ョパンの作品を演奏したいです!」
ショパン「その永久会員権を一緒に使わせてくれたら、その
度に私個人で君に1時間の作曲と音楽理論とピアノ演奏のレ
ッスンをつけよう。3人まで同行可能なんだよね。その会員
権。古城は昔から行きたくて興味があったんだ。城の雰囲気
がとにかく好きだからな。霊界最大の城なんて最高じゃない
か。そこでしか食べれない料理にも興味があるし。」
少年「お安い御用です。しかし、誓約書を書いてください。
必ず約束は守ると!」
ラフマニノフ「君、ショパンを信用してないのか?」
少年「口約束だけでは信用できません。そう、親からきつく
教わりました。」
ショパン「その古城フルブルスにラフマニノフも連れていく
けど、いいかな?」
少年「はい。もちろんです。」
ラフマニノフ「私はショパンみたいにレッスンをつけない
ぞ?君を特別扱いするつもりはない。」
少年「ショパンさん。さっきの誓約書とかは冗談です。
レッスンはしなくていいです。永久会員権を利用して、ショ
パンに教えてもらうとなると、ずるい気がします。音楽学校
でライバルと切磋琢磨して、才能で正式に選ばれてみせま
す!そうじゃないと、自分が納得しません!ショパンさんや
ラフマニノフさんに習うのはしっかり才能と能力で選ばれた
10人に選ばれてからにしたいです!」
ラフマニノフ「少年!いい心構えだ!気に入った!コーヒー
でも御馳走しよう!」
3人はしばらく話しまくっていた!