第四話 依頼
「へー、これが冒険者証って奴なのか」
「ちゃっちいなー。薄っぺらな木の板じゃん」
エリーとユキは冒険者証を見ながらそんなことを言っていた。それを見てライトは、2人、特にエリーへ注意した。
「気をつけろよ。この冒険者証は失くすと、けっこうめんどくさいらしいからな」
「はいはいわかったよー」
「それとエリー、ユキ。さっきみたいな騒ぎは、今後絶対起こすなよ。いいか?さっきは何とかなったが、次は何とかなるとは限らないんだからな?貴重な資金源を失うわけにはいかないんだからな?いいか、絶対だからな?」
「フリか?」
「フリじゃない!!やめろ!!」
と、まあそんな古典的なやり取りをして、ギルドの、依頼書がたくさん貼られているボードの前に立つ。さっきの騒動を見ていた冒険者の数人が怯えたように避けた。
エリーが、少しウキウキした感じで依頼ボードに近寄って、遊園地に来た子供のように声を弾ませながら言った。
「わー、いろんな依頼があるよ!どれが一番楽しそうかなっ?」
「エリー、楽しそうかどうかじゃなくてどれが一番金が稼げそうかで決めろ」
エリーは依頼書を見ていたが、やがてつまらなそうな顔をして一歩後ろへ下がった。
「なんか、あんまり面白い依頼がないね」
「そりゃお前が面白いと思うようなものはないだろうな」
エリーとライトがそんなふうな会話を交わしている横で、ユキは一つの依頼をじっと眺めていた。
「2人とも」
「なんだ?ユキ」
「なーに?」
「この依頼なんてどうだろう?」
ユキはそういうと、眺めていた依頼書を指差した。
それは────
「『教会の子どもたちの遊び相手になってほしい』・・・・・?」
「何これ、こんな依頼もあるんだね。冒険者って、魔物とかと戦ってばっかいるイメージがあるんだけど」
「まあ、『冒険』なんてついてるけど、街の便利屋みたいなもんだからね」
「で、これやるの?ユキ。これそんな面白そうには見えないけどなー」
「いや、よく考えろ。教会ってことは、シスターがいるってことだろ?そのシスターの下着かなんかをこっそり盗って売り払えば────」
「そっか依頼料と売り払ったお金、普通に依頼受けるより多くのお金が手に入るってことだ!なるほど、ちょっと面白いかもしれないね!」
ほくそ笑みながらそんなふうに悪巧みをする2人を見て、ライトが呆れたように呟いた。
「お前らなあ・・・・・・」
とりあえず、こういうことで教会の依頼を受けることになったのだった。
◇
「さーてと、帰ろっか」
3人は依頼を受注した。依頼で指定された日時は、今日ではなく明日だったので、今日はもう帰ることにしたのである。
エリーが先頭で、2人がその後ろを歩く形で3人は街路を歩いていく。道には色々な人がいる。エリーは、その中の1人に目を留めた。
「あの人、すっごい綺麗な手をしてるなー」
「集団の中で手が綺麗な人をすぐ見つけられるとか、吉良吉影かよ」
「ユキ、よく言うけどさ、吉良吉影って誰なの?」
「吉良吉影っていうのは、人を殺して、その死体から取った手を自分の恋人にしてる変態野郎だよ」
「それじゃあ私は吉良吉影じゃないよ。私は死体から取った手を恋人にしてるわけじゃないんだから」
「ほな吉良吉影と違うかあ」
「でも指にソースつけてしゃぶったりはするけど」
「ほな吉良吉影やないか。そんなことするんは吉良吉影だけなんよ。あいつはそれだけじゃなくて手にパン乗っけて食べたりしとるからな」
「でも、私は手だけに執着してるわけじゃないからね。目も口も耳も脳みそも好きだからね」
「ほな吉良吉影と違うかあ」
「でも私、排泄のあとその手にお尻を拭いてもらったりすると幸せな気持ちになれるよ」
「ほな吉良吉影やないか。そんな変態的なことするんは吉良吉影だけなんよ。あいつ、その手にパン乗っけて食べるって、よく考えたらヤバいことしとるんよ」
「何してんだ?ユキ、エリー・・・・・・」
「イカれミルクボーイ」
「何だそれ・・・・・・」
◇
さて、翌日。
教会へ行く日になり、いつものスラム街にある廃墟を3人は集合場所にして、そこで集まってから3人で教会に行こうということになったのだが────
「お前ら、何してんの?」
珍しく2人より遅く来たライトが廃墟の中へ入ると、エリーとユキの2人が、何やら睨み合っていた。
「「あっ、ライト!聞いてよ!こいつがさあ────」」
エリーとユキはお互いを指差して叫んだ。
「「このディ○ドを自分の物だと言い張って聞かないんだよ!!」」
「・・・・・・何だって?」
「ディ○ドだよディ○ド!おち○ち○の形を模したヤツ!」
「それは知ってる!!それをなんで取り合ってるのかと聞いてるんだ!!」
「いや、ユキがさあ!!私がずっと前から目をつけてたディ○ドの最後の一個を買っちゃったんだよ!!あれは私が目をつけてたのに!!」
「知るかあ!!お前が目をつけてたことなんて!!大体、私だってこれにはずっと目をつけてたんだよ!具合が良さそうだったから!!」
「私が先に目をつけてたの!!」
「いーや私が先に目をつけてたんだ!!」
「私だよ!!」
「私だって!!」
「もう限界だから!!私、さっさとこれを使いたくてうずうずしてるんだから!!子宮が疼いて仕方ないどころか子宮が爆発しそうなの!!子宮エクスプロージョンなの!!」
「子宮エクスプロージョンってなんだよ!?汚ねえめぐみんかお前は!!」
「ユキ、エリー・・・・・・いいからとっとと行くぞお前ら・・・・・・」
頭が痛い。ライトは、頭に手をやってため息をつきつつ、2人の間に割って入ったのだった。
書いてて、自分でもあまり面白いとは思えなくなってきました