【3】ゴーストライター
私達って、普段何を食べてるか気になる? 何も食べずに生きていけるけど……、たまーに、星屑の紅茶を嗜むよ。
今回は、作者の意思と一部を継承した彼女達──ゴーストライターについて話そうか。
ネラは言わずもがな、名無しの小説家で水鏡面之世に知られているね。密かにルークと世界に訪れる方法を生み出したらしいけど、彼女は何分不安定だから……あ、過去についてはもう語ってあるかな?
百十一回の死を経験してまで、そんなに私達の居る世界で暮らしたかったの? んふ、私達にはもう聞けないことだけど。
想華は、鈴の岬にいるライターの中で最年長。にしては少し子供っぽいかな。支給人の名の下、皆の命の石を製造しているよ。能力の名前は“整理”らしいね。
霜光の中でも自我と強い力をもつ一等星で、ある日何かの実験の被験者である少女の体に入った時、見つけてくれたコノハという人物に拾われたんだって。その子からコズエという名前を貰って一緒に過ごしてたけど、よく言うデスゲームに参加させられて、彼女は死んでしまった。ゲームが終わったあとに、コノハの意思もついで小枝想華に成るんだけど……真相を知り、彼女が自分と関わったのが死に起因すると聞いた後、想華に備わっていたはずの勇気は削がれ、今の人格になったんだ。
シアはホムンクルス──つまり人造人間だよ。糸を操る魔術を使うことから、手繰り屋という名で活動しているみたい。彼女の能力は“あやとり”、そのまんまだね。
彼女は嘘が嫌いなんだ。その理由は、彼女のトラウマに深く関わっているね。……実は、ヒスイを作ったのは彼女なんだ。とある計画の過程で、大きな貢献ができる、誰も傷つけない平和な世界への貢献が────と言われて作ったのに、彼女は騙されてしまった。それに加えて、自分のベースがルークであることをしって、敵対視している──まあ、ルークの異名は“嘘憑き狐”だし、仕方ないね。
それと、彼女は腕に火傷を負っていて、それを見て気分を害さないように、と手袋をいつも嵌めているよ。
“シロ”と“クロ”という、実験から辛うじて助け出した人造の霜光と一緒に行動していて、二人の力を借りて戦うこともできるらしいね。
蓬は狛人という身体能力の高い種族の人型だよ。最初は番号で呼ばれている対戦用の道具として使われていたけど、その組織の人間や師であった人間を手にかけてしまった。何とか大戦をしていた仲間のもとに向かうけど、そのときには既に仲間達は全滅、残ったのは自分と相棒であったロゼだけ。駆けつけたシアと鈴の岬に。
彼女は守護者の名のもと、“慈悲の葉”という能力を扱って命の石を修復できるよ。ただ、彼女の体に強い負荷がかかるから、特別な場合だけだけど。
実は作者や貴方達の存在にも薄々気付いてるんだってね。
イオは転生者。三度の死を経験して、同じ魂のまま、同じ意識のままであったが為に精神崩壊を起こすけど……スピカが過去の二人の魂を分離させて、特殊な魂石に閉じ込め力を借りて戦うこともできるように。戦線に参加するまでに時間はかかったけど、“追憶”の力は強力だから、皆から頼れる存在だと思われているよ。
一度目、現実世界で生まれ、名も無い子供として育ち、レスト・カフェに滞在していたが紅に感化され現実に戻ったものの、親に詰められ屋上から落下死。
二度目、エンプティ・アスタリスクの名を授かり銀木犀の生える遺跡で過ごす。捨て子の少年を育て、共に生活していたが、魔物が増えた原因や永遠の冬と出られない結界等、すべての原因を自身に当てられた結果、少年の死体を発見。街の組織に首を裂かれ死亡。
そして三度目。
カーバンクルという水鏡面之世の中で一人しか居ないその人型として生まれた彼女は、オークションで売られそうになっていた少女真弓と行動し、カーバンクルを生み出す実験室を破壊しようと目論んだものの、最終的には力を扱いきれず、これ以上傷つけまいと銃で自殺。巫女となる。
しかし、エンプティの時代に約束した少年は記憶を引き継いだまま転生し、神化者となって依代を破壊しに来た。依代の置かれた場所である山に居る一族──ヴィバーチェ・アデージオの者達に説得され、アニマへ。
ヒスイは翡翠の付喪神。シアに作られた人型。実験の為に使われ、死んだかと思われたが、指令官である女性に助けられて密かに逃亡。戦に出ていたが指令官の精神が擦り減り、彼女の願いから殺してしまう。その後一人で彼女の衰弱の原因を探っていたところ、真実を知り、直後襲撃を受け死亡。継承していた部位を完全に破壊された為、ライターとしての定義に当てはまらず消滅した。
緋奈は現実世界にて生活していたただの人間であったが、サリィという少女の手助けをする中、とある言葉に心を痛め、持病の精神疾患が悪化、自殺してしまう。虐待されていた彼女の身体は消滅したものの、スピカが実験に使えると魂をハーヴェと同じマギアドールに移植、成功する。フォリウムとなった彼女はスピカの実験に付き合わされ、様々な代償を伴った。詳細を言うと“記憶の維持が難化”、“解離性同一性障害”つまり“多重人格所持”、“左耳の消失”。代わりに“変化”の固有能力を授かる。
今までに確認された人格は“フォリウム”、“エリオット”、そして“カイム”。
さて、一通り紹介できたかな?
そういえば、この過去のお話は、近いうちに……というよりかないつか、かな。“追憶のタムナジア”っていう書物で詳細が明かされるようだよ。
長話をして疲れちゃった。またね。