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詩集:アロエスミス

HALL IN MY SOUL

作者: 歌川 詩季

 ひんまがった(かんぬき)()びつかせて

 重く閉ざした扉を

 もしあけることができたら すぐ目のまえ


 十二支の壁画と 88星座の天井(てんじょう)

 百鬼夜行の彫像に囲まれて

 装飾過多のせいで

 広間(ひろま)なくせに やや手狭に見える空間

 バー・カウンタやテーブルはおろか

 腰かけるところはソファどころか

 背もたれなしのまるいチェアひとつもないけれど

 まあ くつろいでいってくれ


 4つの福音(ふくいん)に水をさす

 たったひとつの虫の知らせが

 アナウンスされるなかで

 五臓六腑に()みわたらせて

 七転八倒 にも七転び八起きを誘う

 とっておきのグラスをもってこさせるぜ


 こんな待遇でも とどまってくれるんなら

 こちらにもそれなりの歓迎がある

 仮面舞踏会でも 全裸舞踏会でも 好きなほうを

 この手狭な空間で(もよお)そうじゃないか


 ようこそ!

 ここはぼくの魂のなかの広間(ひろま)

 凶器を(とが)らせて 狂気で(いろど)ろう

 幸福をひけらかし 降伏をうながそうとしても

 重厚をつらぬくべく 銃口(じゅうこう)が光れば

 間隙(かんげき)()いあげる 感激にふるえあがれよ


 こんな境遇でも いすわってくれるんなら

 あんたもこの広間(ひろま)の住人で

 いわばソウル・メイトさ


 あらためて ようこそ!

 ここがぼくの魂のなかの広間(ひろま)

 HALL IN MY SOUL

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n8379
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