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夏の終わりの夕陽の赤が

作者: 秋葉竹



時間だけが

音もなく

錆びついてゆく夏の終わりに


だれのことも

みあげてしまいそうになる

べつに私がダメなわけでもないのに


生きてるときって

たまぁに、そんな孤独が刺さるよね


蹴躓いては

立ち上がり

井戸に落ちては

這い上がり

薄く、輝く、三日月の

尖ったところに右手と左手をかけて

ロッククライミングみたいに

よじ登る、夜空へと


とかく立ち止まると

ろくなことが起きないのは

かつてじゅうぶんに

知らされているから

たとえそれが徒労に終わっても

被害者になんかなる気はないね

その、ろくに考えないバカさ加減を

容赦なく断罪されても

どこも傷つかない心だけは

丁寧に

育てておいたから


弱さだとか純粋だとか

怖さだとか極寒だとか

痛さだとか絶縁だとか

暗さだとか狂気だとか


大丈夫な、音が、鳴るさ

カチッ、

って


時計の進む聴こえない音に紛れて

なにも感じない錆びた未来を

受け入れるから

カチッ、

って

カチッ、カチッ、

って不整脈なリズムで

ときを刻み込む油を差し忘れた

アナクロでにせものの機械音


みあげると

その青空もとてもおだやかな

秋めいた風に吹かれているような



やぁ、生きて来ましたねぇ、

それでも頑張ったんじゃ、ないですか?


じぶんでじぶんに問う恥ずかしさに

赤面した訳じゃないんだ

ただ、ホラ、みてご覧?

西の方に沈む夕陽が

真っ赤になって私の顔まで

染めているだけのことなんだよね







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