226-230
226名もなきミケランジェロ
石に欲情する
男の形をした石
きっと名のあるロダンの作にちがいない
とその人は言う
石に欲情する
女の形をした石
きっと名もなきミケランジェロの作に相違ない
とあの人は言う
地球に欲情する
円形の形をした石
きっと名前も知らない神様の作で間違いない
と人類は言わない
そんな人が居ても
何の問題もないはずだが
奇異な目で
見る人たちは
何をもって奇異なのか
何もかもわかってもいない
227愛がない
太陽はわたしの物
月もわたしの物
だけど
あなたはわたしの物ではない
愛がない
愛をなくした
と
鳥が叫ぶ
人語で叫ぶ鳥が現れたら
それは吉兆の兆し
と人は言う
そんな鳥を宝具の弓で
射落として
焼いて
今から食べる
人語を話す鳥は
わたしの物
228もみじのかえで
桔梗の帰郷
朝顔の朝の顔
桜のサクラ
もみじのかえで
リンドウの駆動輪
花の鼻が
かゆい
229キューバのバーュキ
コロラドのドラロコ
キューバのバーュキ
日本の本日
は晴天なり
曇天なり
雨天なり
好きにすればいい
嫌いにすればいい
230料理より愛情
コーヒーミルクと
ミルクコーヒーの
中間地点で
道に迷ったような
迷ってないような道
好き嫌いが
はっきりとわかれる
名称問題で
コケてみる
カフェテラスは無人
夏の暑さには店内のクーラー
風情より実情
実情より愛情
愛情より無情
感覚のない感覚に
触手がうごめいている
フォークとナイフをもって
パンケーキを
食しゅ