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初配信?

 個人チャンネルでの配信まで1時間ほどとなって、俺は作業部屋に入り準備を進めている。もし小春のPCで異常が起こってすぐに直せない時の備えとして同じ環境を整えてあった。また、マイクなんかもセット自体されているので準備自体はソフトを立ち上げておくくらいなものでそこまで時間がかからない。後は何を話すかだな。まあ、その場の流れで話していけばいいか。ほとんどの視聴者が小春のチャンネルやそのコラボなどで俺の存在を知ってる人だろう。それに小春のサポートなどで何度も配信自体には参加してきているのであまり緊張もしていない。そんなことを考えていると部屋に誰かが入ってきた。とはいってもこの部屋の鍵を持っているのは俺と小春だけなのでインターホンが鳴っていない時点で小春だろう。


「何しに来たんだ、小春」

「いや、初配信を前にコウがどんな顔してるのか気になって見に来た。」

「いつも通りで悪かったな。準備も終わってるしあとは時間が来るのを待つだけだ。」

「みたいだね。それにしても、コウが配信者か。」

そんなふうに感慨深そうに言う小春。

「なんだよ。文句でもあんのか?元々はお前が誘ったんだぞ。」

「いや、そうだけど。」

「俺からすれば仕事が増えて面倒なんだけど。俺がこれから自分のチャンネルやるってなると、どうしても時間が作れなくなったときに小春の編集で動画もあげなきゃいけないんだけどな。まあがんばれや。」

「そっちこそって言いたいところだけど、コウのほうが一人でもやっていけるからね。そろそろ時間だね。私は撮影部屋で見ておくね。楽しんでね。」

「おう、気楽にやってくる。」


 そう言葉を交わして小春は部屋を去り、俺はモニターに体を向ける。いつもならそこには小春の配信の管理画面が映っているが、今日は俺のチャンネル。待機画面には俺のファンアートを使わせてもらった。そこには1000人もの人が俺の配信が始まるのを待ってくれていた。コメント欄も俺を温かく迎えてくれている。そうして時間が過ぎ配信を開始する。


「あー、声入ってますか?」

[入ってますよ]

[大丈夫]

[始まったー]

[問題ない]

[入ってる]

「うん、大丈夫そうだね。改めまして、kouの個人配信にお越しくださりありがとうございます。」

[待ってた]

[なんか固い]

[いつも通りでいい]

[初配信wwwww]

[絶対に新人ではないからな]

「ああ、いつも通りでいいか。自己紹介っているのか?一応すると、chiquhaの編集者だったり、マネージャーみたいなことしてた人で、今回のスト鯖に参加するにあたって向こうからの要望とchiquhaの視聴者の希望の両方を考慮して個人チャンネルを動かしたって感じだな。元々ゲームやってたりしてちょこちょこ配信自体には参加してたから知ってる人も多いかな。」

[知ってる]

[今更感が]

[コラボから来た人です]

[chiquhaの動画見やすい]

[ふつうに知名度あるよな]

「ああ、コラボ先から見に来てくれた人もいるのか。何人かリツイートしてくれてたからかな。他に知りたいことってある?」

[年齢]

[彼女いる?]

[編集は独学?]

[好きなゲーム]

「歳は今年で23だよ。ってか年はどっかで言ってると思うし、chiquhaも公開してるよな。あいつと同い年で覚えてもらえば。誕生日は11月11日。覚えやすいでしょ。」

[ポッキーの日か]

[同い年だ]

[もうちょっと上かと思ってた]

[で彼女だっけ?いないよ。というか、今プライベートない状態。]

[いやいや]

[chiquhaは彼女じゃないと]

[てえてえは]

「いや、あいつは腐れ縁って感じなんだけど。」

[幼馴染だっけ]

[あんな幼馴染欲しかった]

[Kohってchiquhaの言葉に弱いイメージ]

[力関係的にはKohが上な気がするけど]

「まあ、あいつのおかげで野垂れ死んでないからな」

〈chiquha〉[噓つけ。誘わなかったら普通に就職してただろ]

[なんかKohさんは社会人できそう]

[しっかりしてるもんね]

[そんな感じがする]

「まあ、それはそう。でも社会人って面白くないじゃん。ただただ言われた仕事するだけでしょ

?俺には向いてないかな。」

〈chiquha〉[こいつもなかなかに狂ってるんだぞ]

[うわー]

[なんか、配信付けてほしいって言われた理由(わけ)が分かった気がする]

[でもやらなきゃいけないならやるでしょ]

〈刈間〉[うちのマネージャーに欲しかった]

〈ラピス〉[うちでも欲しいってなってた]

「いや、なんでいるんだよ。刈間さんもラピスさんも配信しなよ。」

[しれっと、大手事務の有名どころが見てる]

[なんかいるwww]

[これでも初配信という]

〈hacchi〉[お祭りって聞いてきたんだけど]

日向(ひなた)〉[スト鯖参加たのしみにしてました]

〈刈間〉[ようこそ、ストリーマー界へ]

「え?なにしてんのマジで。ここお祭りじゃないし。スト鯖は楽しみだけどさ。これ見てるぐらいなら配信しなさいよ。事務所的には大丈夫なのか?いやあの人ら止める気ないのか。運営の方々見てないで止めてくれませんかね?なんか同接も初配信の数ではないんですけど」

〈chiquha〉[みんな暇なの?]

〈刈間〉[きょうはオフにした]

〈ラピス〉[乗るしかないでしょ、このビックウェーブに]

〈hacchi〉[みんな楽しみだったんですよ]

〈日向〉[なんか面白そうだから来てみた]

「あ、なんか各事務所のマネージャーからメッセージ来たんだけど。」

[初配信だよね]

[登場人物が豪華すぎる]

[人脈どうなってる]

[同接2500人]

「えっと、全部をまとめると『うちに引き込めなくて残念ですが、これからもコラボなどよろしくお願いします。』って感じかな。それはこちらとしてもお願いしたいです。というか、今日雑談配信とかかなって思ってたんだけど、どうせいるならなんかする?いまいつも俺とchiquhaのコラボ用のディスコのサーバーにいるけど。時間あるなら来てもらって。なんか思ってた初配信と違うんだけど。人思ったより来てるし。」

[それだけ、Kohさんが期待されてるんだよ]

[そういえば、目標とかあるの]

[スト鯖楽しみ]

「なんかありがとう。目下の目標といっても、しばらくは個人配信をメインにはしないかな。もちろんスト鯖中は別としてね。その後はまあ、週一ぐらいで配信するかな。なんかコラボとか、chiquhaとやることになれば配信付けるかもだけど。やってもそれぐらいかな。俺視点の動画の編集も考えるとね高頻度でやると素材だけたまって投稿までのスパンが今以上に長くなっちゃうから。」

[編集スタッフとか雇わないの?]

[Kohさんが本気でやるなら2人の収益あれば余裕で雇えそうだけど]

〈chiquha〉[やっぱり検討してみてもいいんじゃない?]

「まあ、スタッフに関しては俺が配信してみてからかな。最近はchiquhaもそこそこ編集できるようになってきたから、任せられるところは任せて負担は減らす方向で考えてはいる。けど俺がパンクしそうなのは事実だからな。その辺もスト鯖後になると思う。」

[まあ、やってみないとって感じか]

[無理せずに]

[体調第一でお願いします]

「個人勢としては二人いる時点でそこそこだけど、俺もするとなると人手をふやすのもかんがえないとな。」

そんなふうにコメント欄を見ながら話していると、先ほどコメントして来た人たちがディスコに集まってきていたのでそちらの通話に参加する。

「お疲れ様です」

『お疲れー』

『お疲れさん』

『わお、生のKohさんだー』

「いやそれはいつもそうでしょ。一応配信中なんで」

『うわ、違和感すご』

『でもchiquhaちゃん嬉しそう』

『だね』

『私としては、chiquhaごとうちの事務所に欲しかったんだけど。いや今でも欲しいな』

「仮に事務所に所属するとして、俺ってマネージャー?ストリーマー?どっちになるんだ?」

『確かに。Kohってどっちもできるもんね。』

『うーん、どうなんだろう。演者としても優秀だし、うちのマネージャーから聞いた話だと、そっちの仕事も完璧らしいじゃん。』

『てか、Kohって普通に働いてもやっていけたでしょ。』

『確かに。社会人しても出世しそうだな。』

「まあ、考えてはいたけど、大学言ってる途中でChiquhaのが配信始めて手伝いだしたら結構稼げたからこっちでいいかなーってなったんだよ。編集とかさえすれば自由にしてていいから楽だしね。」

『そういえば、Kohって編集とかしてないとき何してるんだ?』

『それ、きになってたんだよね。Kohさんってあくまでもchiquhaのサポートしてるってだけで、配信者ってわけじゃなかったから聞きにくかったんですよね。』

『あー、確かに。聞いたことなかったな。いつも編集してるか誰かと話してるイメージだからかな。』

『あれ、Kohってそこまでプライベートわからなかったっけ?』

『そりゃあねー。あんまりKohさん個人に連絡することってないからね。』

確かに。俺自身のことって配信者には言ってなかったかもな。ってかそんなに忙しそうなイメージ持たれてたのか。

「俺自身編集とか他の事務所との交渉なければ、ゲームしたり本読んだり、動画見たり普通に過ごしてるよ。時間あればchiquhaともやったりしてるね。後、誘われれば他の人の配信にお邪魔したりもしてるな。」

『ああ、時々配信にいるときって自由時間なんだ。じゃあ、結構気軽に呼んでもいい感じ?』

『まあ、Koh編集とか早いから結構暇してるよ。ああでも最近はなんかリモートで会議とかあったみたいで忙しそうだった。』

「スト鯖のことでな。まだ公開できないようなこととか仮決定のことが結構あるみたいだから、そのうち通達があると思う。てか、そろそろchiquhaには自分でこの辺のことやってほしいんだよね。俺も忙しくなるかもだしさ。」

『というか、今まで編集とか交渉とか基本一人でやってたのか。』

『いやはや、恐ろしい。やっぱり編集スタッフ募集すれば?』

『前々からなんで雇ってないんだとは思ってたんだよね。金銭的な問題じゃないでしょ?』

「流石に今後は雇おうとは思ってるけど、取り敢えずchiquhaに編集完璧にに覚えてもらうのが先かな。それだけでも作業量は減るしね。あとは俺がどれくらい配信して、それをどれくらい動画にするか次第かな。」

『今のところどれくらい動画上げる気なの?』

「半分くらい上げればいかなぁって感じに思ってる。スト鯖中の動画は今のクオリティーでやるつもりだけど、普段の配信の切り抜き動画はちょっと手抜きする予定。」

流石に2チャンネル分の動画を同じ品質でってのは人手不足で無理だろうな。できたとしても、俺がきついからやらないな。あとはこのチャンネルがどれくらい伸びるかか。まあ、スト鯖ついでに始動しただけだからそんなに期待はしていない。

『さて、私はそろそろお(いとま)しますか。』

『あ、ホントだ結構いい時間だね。』

そう言われて時計を見ると、いつの間にか日をまたいでいた。ここまで長時間配信するつもりはなかったけど、話しているうちに時間があっという間に過ぎていた。

「そろそろ配信閉めますか。一旦ミュートします。・・・ということで、初配信?はこの辺で締めたいと思います。なんか緩い感じになったけどこんな感じで大丈夫ですか?」

[大丈夫]

[なんか、新鮮でした]

[無理せずに続けてください]

[おつかれさまでした]

「大丈夫そうかな。じゃあ次からもこんな感じで配信していきます。この配信の動画は明日か明後日にはあげられると思うんでよかったら見ていってください。それでは次の配信で会いましょうさようなら。」

そう言って配信を終了する。










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