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きっかけ

連載開始。


『ねえ、コウ。私さいつか配信業やってみたいんだよ。ただ私機械とか全然使えないからさ、コウにも手伝ってほしいんだ!』

突然そう言われたのが全ての始まりだった。大して目立ちたいわけでも、承認欲求に飢えてるわけでもない僕がこの世の華々しい表舞台に立つことになったのは。




『…おはようございます~。ふぁ~、眠い~。』

[おは]

[いつにもまして眠そう]

[おはよう]

[これ、Koh(コウ)の介入ありえそうじゃね?]

『いや、流石にコウは来ないと思うよ。なんか最近忙しそうだし。一応配信自体は開いてるだろうしね』

Koh[呼んだか?]

[本当にいるし]

[いや、呼んではない]

[ちくはこの調子で大丈夫か?]

『大丈夫だって。ね、コウ?』

Koh[いや、chiqha(ちくは)の言葉は信用ならん]

[確かに]

[そう言って何回も来てるじゃん]

『むぅ~、私だってあいつに迷惑はかけたくないの!・・・まあ、いつも通り昼頃まで雑談しましょ。夜は何やるかわからないけどね。見たいものあればコメントで教えて。』


・・・・

・・・

・・


高校を卒業してから数年。短大を卒業後色々あって幼馴染の千曲小春(ちくまこはる)配信業のマネージャーやら機材、切り抜きの作成などをすることでぜにを稼ぐ日々を送ている。高校卒業のタイミングで幼馴染に協力をねだられなぜかそのチャンネルは規模拡大していき今ではある程度の影響力を持ってしまった。そして前々からこの作業自体手伝っていてチャンネルが大きくなるにつれてクオリティーも要求されるようになり作業時間が少々伸びてきている。まあ、こういう作業自体嫌いじゃないからいいとうえ、作業が終われば自由に過ごせるので気が楽でいい。時には大手事務所のマネージャーやらお偉いさん方とお話をするような機会もあるが、まあそれはしょうがないと思って丁寧に対応はしている。


 それに、誰かに必要とれているというのは案外悪くない。


 そんな風に今日も小春の配信をながめがら昨日の配信を編集してある程度の長さの動画を作成する。それと同時に30秒程のものも作成していく。いわゆる切り抜きというものだ。これは配信を見逃した人が見どころを抑えるのに役立っている。また、30秒程度のものはshort動画専門のサイトなどにアップすることで知名度の確保などに役立てている。小春の配信は朝(10時頃)に雑談配信をして夕方から深夜帯にかけてゲームの配信をするというのが基本になっている。といっても朝のほうに関して言えばやっても週2回程度で夜の一番視聴率のいい時間帯に配信することを重視している。基本的にあまり言葉をあらげないし、突拍子のないこともしないので僕が配信のほうに介入することはほとんどないのだが、時々寝落ちや機材にトラブルが出たときのみ僕も撮影部屋に行きサポートしていた。だが、小春も配信を始めてからそこそこの時間が経つとそれ相応にトラブルも出る訳で。何だかんだで俺の登場回数もかなりの数になっている。そのおかげで、リスナーにも認知されていて、時には小春の配信にフルで参加する時もある。また何故か他の事務所や個人の配信者とのコラボに俺まで呼ばれるなども何度かあった。まあ、それも小春のチャンネルが大きくなった証拠だろう。

 そんなことを考えながら作業をして、ひと段落して配信のコメ欄などを眺めていると気になるものがあり、小春もそのことについて話し出した。


chiquha『あっそう言えば、Twitterにも公式から出たから知ってる人もいるだろうけど、来月ぐらいにまたスト鯖やるみたい。』

[らしいね]

[参加するの?]

[お?]


スト鯖というのは、定められたゲームに配信者を集めて定められた目標などに向けてチームを組み協力する限定サーバのこと。企画・運営はプロゲーミングチームが行なっており、小春も最近は呼ばれることが増えている。


chiquha『私は参加したいと思ってるし、話が来たらそうしてもらうように言ってるけど、まだコウから言われてないんだ。』

[Kohさーん]

[みてるー?]


…あっ、そう言えば一昨日くらいに正式に参加するか聞かれたんだった。なんか俺にも参加してほしいとか言われて忘れてたわ。えっと、いつものディスコの雑談サーバーに入ってっと。


[あっコウきた]

「どうもー。Kohですはい。」

chiquha『配信見てた感じ?』

「まあ、編集しながらだけどな。んで、スト鯖に関して触れられてたから来た。」

[てことは?]

[きたか]

[まだ気が早い気が]

「ほんとは先にちくはに伝えようと思ってたけど忘れてたから今言う。今回のスト鯖にchiquhaは参加決定です。」

chiquha『おー。連絡来てたんだ』

「つい最近ね。運営からお誘いがあったので参加する旨を伝えておきました。ついでに言うと今回のスト鯖には俺も参加するから。」

chiquha『えwマジで?』

[は?]

[しれっと重大発表]

[マジか]

「マジなんだよな。なんかお前が参加するなら是非とも参加してほしいって言われてさ。別に問題もないし参加するかって。」

chiquha『それ、なかなか重大発表なんじゃないの。さらっといってるけど、それだけの知名度あるってことじゃん。てか、そうするとコウ視点って撮るの?』

「ん~?今悩み中。運営のほうから俺視点の動画も作ってくれとは言われてるから録画はするつもり。配信は個々の人たちの反応次第かな。ただ、俺が配信付けだすと期間中の動画の上り遅くなるけどいい?」

[ほしい]

[配信してくれ]

[どうせなら配信して]

[みたい]

chiquha『私も見てみたいなー。そういえば、コウって配信用にアカウント自体はあるよね。』

「あるな。何なら今使ってるディスコのアカも配信用だしな。じゃあちょっと待ってて。」

chiquha『はいリスナー諸君。あらためて、私とコウのスト鯖参加が決定したとともに、コウの個人チャンネル始動が決定しました。』

[待ってました]

[やっとか]

[コウはもともと配信者じゃね]

[チャンネル楽しみにしてた]

[待ってた。]

chiquh『いや~、よかったね。これで遠慮せずにコウを呼べるよ。』

「それ、他のストリーマーが言うならわかるけど、お前はもともと遠慮してないだろ。てか、この配信の概要欄とチャンネルの概要のところにリンク貼ったんでページ更新してもらうなりすれば飛べるんで、俺視点がどうしても見たい人は登録してくれ。」

chiquh『ああ、これね。私は登録してあったわ。』

[はやw]

[登録した]

[どうしてもってww]

[個人配信待ってます]

chiquh『うわ、増え方凄いよww』

「え~、これ逃げられないじゃん。てか、なんか知ってる名前がちらほらあるんだけど。」

chiquh『おお、ちょこちょこ有名人がいる。あ、ついでにつぶやいておいたから。てか、Twitterのアカウントってどっかに貼っておいたっけ?』

「普通にこのチャンネルの概要のところにあるぞ。今俺の方でも投稿した。」

[そっちはフォロー済みです]

[フッ、抜かりないぜ]

[コメ欄のスピードやばいな]

[既に1000人突破]

「1,000人って。早すぎだろ!」

chiquh『コウは自分の知名度を見誤ったな!私の読みだと3,000人は行くと思うな。』


いや、いくらなんでも伸びすぎだ。しかもさっきのツイートも伸びてるうえ、リツイートしてる人がやたらと有名人ばっかりなんだけど。ほんとになんでだよ。


「取り敢えず、連絡はしたから抜けていいか?」

chiquh『うーんどうせなら今から配信でもすれば?今この配信に500人いるうえ登録した人とかは来ると思うし。初配信にちょうどいいんじゃない?』

[初配信www]

[なんかなwww]

[さも新人かのような言い方]

[夜でもいいんじゃね]

[人集まる時間にやろう]

[今日金曜]

[大型新人すぎる]

chiquh『あれ、今日金曜か。そうしたら夜のほうが人集まるな。』

「じゃあ今夜個人チャンネル開設記念になんかやるんでよろしく。」

chiquh『じゃあ、私休もうかな。それでコウの配信横で見てようかな。』

「物理的な横はやめてくれ。」

[始まったか?]

[てえてえ定期]

[(^v^)]

[口角が]

[おい、リア充が いいぞもっとやれ]

[www]

chiquh『はい、なんかいい感じに盛り上がったので朝の配信は終わりますか。』

「おう。じゃあ夜は俺の個人チャンネルで」

chiquh『それじゃあ次の配信で~』

[おつ]

[お疲れ]

[夜が楽しみ]

[おつ]


 配信が終わったのを確認してから通話を抜けると配信用の部屋から小春が出てくる。何やらニヤニヤとしていて、少し気味が悪い。


「なんだよ」

「いや、コウにしては珍しく言い切ったなって」

「いや、向こうからも配信してくれって言われてたのもあったからな」

「じゃあ、話が来た時点でほぼ確定だったんだ。」


やはりストリーマーサーバーだからか無理にとは言わないが配信をつけてほしいと言われてはいた。まあ、最近は小春も編集の腕が上がっているしいい機会だったのもある。とは言っても小春やそのリスナーに背中を押してもらったのも大きい。


「それに、あの状況じゃ逃げ場がなかったしな。」

「でもよかったじゃん。それに、他のストリーマーとかと連絡とってるとコウってホントにはいしんしてないのって聞かれたりするから、それぐらい話すのとかうまいんだから。自信持ってやりなよ。私としてはコウに登録者とか抜かれそうで怖いけどね。」

「それはないと思うぞ。」

「いや、コウが本気で配信始めたら余裕で超えると思うよ。私のチャンネルでもコウが出てるときは同接多かったり、再生回数多かったりするのはコウ自身が一番よくわかってるでしょ。」

「まあな。ただ俺が配信初めてもこっちの仕事は続けるからな。お前ひとりにすると何やらかすかわからないからな。」

「いや、そっちが本腰入れてやりたくなったら事務所入るなりしようよ。」


 事務所なぁ。ぶっちゃけいまさら小春が入るメリットないんだよな。


「それなら、マネージャー雇うかな。切り抜きの方もそれ専門のスタッフ雇えばいいんじゃね。」

「もうそこまでいやるならほぼ事務所立ち上げるみたいだね。」

「でも、今更事務所入ったところでうまみないぞ。他の事務所とかかわってても個人のほうが収入自体多いって何回も聞くからな。まあ、そうなったら事務所設立も考えるか。」


 まあ、その辺のことは今考えても仕方がない。今は今日の配信をどうしようか考えよう。

区切りがいいのでここまでで。

次回は初配信からかな?

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