表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

小説家になろうラジオ大賞5

容姿に自信がない私も、変身帽子でイメチェン!

作者: 夜狩仁志

小説家になろうラジオ大賞5 参加作品。

テーマは「帽子」

 なんでこんな顔で産まれたんだろう。


 丸い鼻にそばかす。

 髪も太く癖毛で縮れてガサガサ。


 自分の容姿に自信がないため、内気で引っ込み思案な性格に。

 そんな理由で、今の大学生活は地味に目立たないよう過ごしていた。


 ある日、私はふとしたはずみで街外れの不思議な帽子屋で、この野球帽(ベースボールキャップ)を手に入れた。


 最初は、この嫌な癖毛や顔を隠せるからという理由だったけど、なんとここの商品は店主曰く、容姿や外見を変えることのできる帽子だったのだ。


 実際被ると、

 目鼻がキリッとし、そばかすも消え、顔が引き締まった!?

 しかも髪の毛が真っ直ぐストレートの艶のある黒髪に伸びた!


 凄い!

 私がこんなに可愛くなって!


 こうして外出時には必ずこの帽子を被り、お洒落もして街中を歩けるように。


 しかも有名大卒の、大手企業に勤める容姿端麗のイケメンに声をかけられ、お付き合いすることに!


 でもそんな幸せは続かないもの。

 帽子を脱げば元の姿に……


 彼と会う時はいつも帽子を被り、なかなか自分の本来の姿を明かせない日々。


 そして遂に……


「レストランの予約を取ったんだ。ぜひディナーでも」


 彼の熱意に負けて承諾してしまったけど、この高級レストラン、ドレスコードがあって、もちろん帽子なんて脱がなきゃ入れない。


 当日、店頭で……


「さあ、入ろうか」

「……」


「どうしたの?」

「実は私……」


 意を決して帽子を脱ぐ。


 本来の姿の私を見た彼の驚いた表情が、目を閉じても脳裏に浮かぶ。


 これで私の恋も人生も終わった……


「別に僕は気にしないよ」

「え!?」


「どんな容姿だろうと、この数ヵ月の間一緒にいて、君の内面や人柄に惚れたんだ」

「ホント!?」


「実はこれ、後で渡そうかと思って……」


 小箱を取り出すと、中から指輪が!


 もしかしてプロポーズ!


「その前に、僕も君に打ち明けないと……」


 そう言うと彼は


 自分の手で?


 髪を引っこ抜いた!?



「僕、カツラだったんだ」



 ええー!!


 ハゲ!


 見事なまでのつるっぱげ!


「受験に就活、業績やノルマ、血も滲むような努力をした結果、ストレスで髪が抜けてしまって」


 どうしよう……ハゲだわ。

 でもハゲは私を中身で評価してくれ……

 私も(ハゲ)のことは好きだし……


 でもハゲ。


 どうしよう……



「指輪を受け取って下さい」



「……私でよければ」

「本当ですか!」


「そのかわり……」


 私は自分の帽子を彼に被せる。

 すると毛が生えフサフサのロン毛に早変わり。


「あ! 毛がはえた!」

「私と一緒に外出する際は、これを被って下さいね」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ