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セスに渡された剣を両手で握りしめながら、彼と対峙する。
訓練場には私たちしかいない。騎士の皆は日が昇ってから訓練をし始める。
「いつでもかかってきてください」
セスは片手で剣を握りながら、私を挑発する。
……攻撃する隙が一切ない。
こんなの戦う前から私の負けが確定しているようなもの。セスはいつでも私を殺せるだろう。
けど、脅威は抱いているが、恐怖はない。彼よりも強い相手を私は知っている。
森の中で一人で無駄に暮らしてきたわけではない。剣は握っていなかったけれど、身体能力は常に磨いてきた。
最初の一撃が肝心。
隙が無いのなら、隙を作ればいい。戦いとはそういうものだ。
私は目を瞑り、深呼吸をする。間合いを読む。
攻められるの待っている者を相手にするのは好きじゃない。……が、やるしかない。
心に落ち着きを与え、私はゆっくりと瞼を開いた。
その瞬間、彼の懐に入って首を狙う。
かなり速い動きをしたと思うが、見事に首元で防御される。驚いた様子もなく平然と彼は私の攻撃をかわした。
一度攻撃をしてしまえば、怯むことは許されない。
私は次々と攻撃をしかける。彼の跳ね返す一撃が毎度強くて、腕が痺れる。
無敵だと言われている王家に仕える騎士団の団長なだけのことはある。私が勝てるビジョンが全く見えないもの。
勝てない相手だと分かっているけれど、私はここで馬鹿者にならないといけない。
戦うことを拒んではいけないのよ。
暫く攻撃をし続けて、彼が私に容赦なく反撃をした。その瞬間私は数メートル後退った。それと同時に、眼鏡が吹き飛ぶ。
……とんでもない威力。
それに、この余裕。私は彼の額に汗を滲ませることすらもできないのか。
彼を睨みながら、次の一手を考える。
「良い面構えだ」
私は無視して、また攻撃をしかけた。
死ぬまで戦い続けた者が勝利を得る。どれだけ強敵だろうと、勝ちを諦めるわけにはいかない。
「……この騎士団の中にもデニッシュ様のような顔をしている者はなかなかいませんよ」
私が喋る余裕さえなくなるぐらいの中で平然と会話をしてくるセスに苛立つ。
「というより、最初の一撃から凄まじい殺気を感じる。……勝負とは何かを知っている者の戦い方だ。それに、この手腕。見事なものだ」
「お褒め頂きありがとう」
必死に攻撃をしかける中で、私はなんとかそれだけ発した。
どの角度から狙っても、あたかも私がそこに攻撃をするのを知っていたかのように防がれる。
……この男。本当にムカつく。
「女で平民……、それなのにこの剣術。一体どこで習ったんだ?」
私はセスの言葉を無視する。
後ろから狙おうと、私は身をかがめて瞬時に彼の後ろに回り込み背中を攻撃しようとする。
カンッ!!!
防がれた…………。
彼は後ろを見ることなく、私の攻撃を止めた。
これだと、らちが明かない。私の体力が消耗して終わってしまう。
彼は前を向いた状態だから、この防御力は正面から攻撃するよりも弱いだろう。私は力だけで無理やりおしこもうとする。
剣の刃同士が強くぶつかり合いカタカタと音を立てる。
「力任せか」
彼がそう呟いたのと同時に、私は凄まじい勢いで飛ばされた。
……嘘でしょ。どんな力をしてるのよ。
あの方向から、この力で返してくるなんて…………。
こんなのバケモノだわ。




