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国王の顔が歪んだのが分かった。
期待外れの答えだったのだろう。……けど、それでいい。
私はそろそろ去りたい。これ以上、この場にいたくない。
「一つアドバイスをやろう」
私は思わず国王の言葉に首を傾げてしまった。
なんのアドバイス?
「ここは、強い者だけが生き残る、そんな世界だ」
何故かその低い声が私の体に重圧のようにのしかかった。
……何? これが国王の貫禄?
「弱き者に待っているのは死ですか?」
比喩のつもりでそう言った。
「ああ、殺される。それか自殺だ」
国王からの返答は私には衝撃的だった。
私は思わず固まってしまった。この事実を知れた方が良かったけれど、情報量が多すぎてついて行けない。
未だに自分がロイヤルチェンジに選ばれたことを受け止めきれていないのに……。
私が驚いていることを察した国王は話を続けた。
「ロイヤルチェンジに選ばれた平民は、全貴族のターゲットになる。虐めで済めばいいものの、命を狙われる。耐えきれなくて自ら命を絶つか、本当に暗殺者に殺されるかだ」
……こんな夢みたいな制度を作っておいて、蓋を開けたらこんなにも残酷なの?
とんでもない制度だ。
今すぐ撤廃すべき……、というか、これが公になれば暴動が起こる。
「高貴なコミュニティに異物が入り込んだと思われるわけですか?」
「その通りだ」
純潔に汚らわしいものが混じれば、それを排除する。貴族至上主義的なもの……?
「それに平民落ちした元貴族からも恨まれて殺される可能性もある」
やっぱり。
なぜ入れ替わり制度にしたのだろう。
ロイヤルチェンジ制度、闇深すぎない? ……後で、歴史を詳しく知る必要がありそうだ。
「ロイヤルチェンジに選ばれた平民は今までの歴史でどれくらいの人が生き残ったのですか?」
「この制度は実は三百年以上前からある」
うわっ、古っ!
そんなに伝統的な制度なんだ。全然知らなかった。
「その中で生き残ったのは、五人だ」
ごっっっ!?
私はその数字にむせかけた。国王の口から出た言葉に耳を疑った。
……三百年で五人しか生き残ってないの? そんな生きる倍率低いことある?
六十人いて、五人って……。もはや、その五人がどんな方たちなのか気になる。
この国の見方が変わってしまった。
「デニッシュ・クロワッサンよ、敵陣に一人で突っ込む覚悟はあるか?」
あるわけないでしょ!!
国王の真剣に私を見つめる瞳に叫びたくなった。……が、こうなった以上しょうがない。
いつまでもグチグチ言ってられない。自分の身は自分で守らなければ。
何としても生き残ってみせる。
それに、私もちゃんと自分の役目を果たさなければならない。




