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1.【新連載】俺は絶世のイケメン姿を手に入れたのだが、どうやらパーティメンバーには不評だったので、元の姿に戻されそうです。



 前回までの簡単なあらすじ。

 俺、コースケ・フクワリは、異世界に転移させられた四十歳の太ったオッサンだ。

 そのあとなんやかんやあって、頼れる仲間たちと共に、『勇者パーティ』として世直しの旅をすることに。現在俺たちは、任務の真っ最中だ。

 天界から報告のあった洞窟(ダンジョン)に行ってみると、その奥地には下品な言葉を吐く幼女が居て。その幼女からの攻撃によって、俺たちパーティは壊滅的なダメージを受けてしまった。


 どうにか街まで批難したものの、全員疲労困憊。

 なので、外傷ダメージのほぼ無い俺が、買い出しに出ることになった。

 ……んだけど。


「え……、誰あれ? すごいイケメン!」

「ちょ、かっこよすぎない? ずっと見てられるんだけど……」

「やば! ちょ、誰かあの人の魔法念写うつして! はやく!」

「抱かれたい……。絶対●●●もでかいでしょ……」


 など。

 黄色いのもピンク色なも入り混じる声が、街を歩くだけで飛んでくる状況だ。

 四十歳の太ったオッサンだった俺の外見は、洞窟(ダンジョン)内にいた謎の幼女の攻撃によって、何故か絶世のイケメンの姿に変えられてしまっていた。


「うーん……。困ったな」


 俺はふぅとため息を吐く。そしてそれに対しても黄色い以下略。

 世のイケメンはこんな扱い受けてるのか。元の姿でやっても、誰も気に留めないぞ。

 ともかく。困ったことになった。

 俺たち勇者パーティの任務は、天界からの命である。そのため、基本的には秘密裏に動かなければならないのだ。


「こんだけ目立ったら……、おいそれと行動出来ないぞ……」


 買い出しついでにこの街の見回りもしようと思っていたんだけどなぁ。女の子の集団が後からついてくるし、撒いても新しい女の子たちがついてくる。

 広くて人口も多い街だから、基本的にどこかに女性がいることが、任務の阻害をしてしまっている。


「いったい何が目的で、俺をこんな姿に変えたんだか……」


 イケメンになれて嬉しい感情も勿論あるが、今はすでにわずらわしさの方が勝っている。


「俺もこれからは、綺麗な人が居てもじろじろ見るのはやめるようにしよう……」


 しかしそれにしても。

 敵からの襲撃は、今のところ来ている様子はない。

 街に戻ってから既に一夜明けている。


「既に昼も回ってるし……。それか、向こうもダンジョンから出られないとか?」


 そもそもあの謎の幼女の正体も、まったく掴めていない。

 上司であるヘリオスちゃんに聞いてみても、あのダンジョン内自体、調査のための魔力が阻害されてしまうのだそうだ。


「ダンジョン内で、神にも似た力を持ってるかもみたいな考察が出たけど……。まさかな」


 ……と、ガラスに映ったイケメンは喋る。

 いや、かっこいいはかっこいいんだよな、うん。

 ただ黙って考察しているだけでこうも絵になるとは。自分の姿ながらほれぼれする。

 と、自分の体を改めて見ていたら、本日何度目かの声掛けにあった。


「あの……、今お時間ありますか!? 良ければ私と、お茶でもどうですか!?」

「あっ、ずるい~! 私も! 私もお茶したいです!」

「格好的に、冒険者さん? 商人さんですか? お話色々聞きたいな~」

「え、あのイケメンさんとご飯食べれんの? わたしも一緒していい~!?」

「いや、あの……、ちょっと……っ!」


 きゃいきゃいと、それはもう色々な女性に取り囲まれる。

 華奢な美少女から大人なお姉さままで、よりどりみどりだ。可愛らしいおっぱいから大きなおっぱいも、よりどりみどりである。


「い……いやいや! 俺、ちょっと用事中だから……!」

「え~そんなぁ。ちょっとくらいだめですか~?」

「気持ちは嬉しいんだけど、ごめんね……。

 それにほら、もしかしたら危ないコトに巻き込んじゃうかもしれないから……」

「え!? 何か特殊なお仕事なんですか!?」

「もしかして軍関係の人?」

「マジで!? イケメンで軍の上層部とか、超優良物件じゃない!?」

「つーかわたしらの心配してくれるって、心までイケメンじゃん……」

「いやあの……、ちょ……、通して……」


 くっ……! し、仕方ない!

 あんまりこの手段は使いたくなかったけどっ!


「ド、仮装着(ドレスアッパー)……!」


 魔力を込め、静かに唱える。

 目の前に迫る女性たち全員の服装は、瞬く間にバニーガール姿に変わっていった。


「え!?」

「な、なに……!?」

「ちょ……! なんかバニーになってんだけど!?」

「い、いや……! 見ないで~っ!」


 その光景を、街行く人たち(特にオッサンたち)はじろじろと凝視する。

 総勢二十人くらいの女性たちは、恥ずかしさのあまりみんなしてその場にうずくまった。


「そ――――それじゃっ!」


 俺が神に与えられた能力、仮装着(ドレスアッパー)

 一定の間、誰にでもバニーガール衣装を着せることが出来るというものである。


「今のうちに、出来るだけ遠くに逃げないと……」


 でも迫られた光景と、大量のバニーガール姿は、正直めちゃくちゃ眼福だったな。

 再びガラスに映った顔を見やる。


「……うん。イケメンでも、スケベな顔はダメなんだな」


 鼻の下が伸びきった自分の顔は。欲望にまみれていた。





「つーことで、戻ったよ」

「お~コーにゃん。おつおつ~」


 ホテルの部屋へ戻ると、ヒナがひらひらと手を振って出迎えてくれた。

 ヒナ。――――魔剣・ヴァルヒナクト。

 つい先日俺たちの仲間になった、魔剣が人のカタチを成した存在だ。

 小柄な身体ではあるが、その力は人知を超えている。

 ……まぁ、ギャルファッションと仕草なため、全然そんな風には見えないんだけど。


「こっちも今落ち着いたよん♪」


 セミロングの茶髪を揺らし、青い瞳の前で元気なピースをつくる。

 俺は荷物をリビングに降ろし、差し出された水を一気飲みにして落ち着きを取り戻した。


「……ぷはっ。ありがと。

 二人は寝てるのか?」

「うん。今さっきね~。やっぱダメージの蓄積ヤバいっぽ」

「そうか……」

「アタシは比較的ダメージ少ないかんね~。

 ヘラってる場合じゃねーし、とりあアゲてっから」


 ぐるぐると肩を元気に回し、買ってきたアイテムを整理していくヒナ。

 こいつの底抜けに明るいところは、こういうときめちゃくちゃ助かるなぁ……。


「いつものアゲ担はヘリオスちゃんだけど、今キャパいだろうしね~」

「めちゃくちゃ調べものしてくれてるからな。根詰め過ぎないといいけど」

「まぁそれも、コーにゃんの身体元に戻すためだしね♪」

「……そうだねー」


 なんかこのイケメンの姿。

 ヘリオスちゃん含む、パーティ全員に不評なんだよなあ……。

 というか不思議なことに、太ったオッサン姿の方が好評だったという衝撃事実。

 自分のことではあるけどさ、お前らの感性ちょっとおかしいぞ。


「ぜ~ったい、元の丸っこくて脂の乗った、ずんぐりむっくりのかわいい身体に戻してアゲるかんね☆」

「……そうっすね」


 太ったオッサン捕まえて、かわいいって単語が出てくるの、お前らだけだと思うよ。

 そんなわけで、コースケ・フクワリ。

 せっかくのイケメン状態から、解除させられそうです。






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