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激雨
ワシはこうもり傘をさして外へ出た。
「うおおおっ」
容赦のない激雨に傘が押しつぶされそうになったかと思ったら、風で傘が潰され飛ばされそうになる。
ワシは身を屈めて、傘を直し風の吹いて来る方向にあて慎重に歩く。
家から少し歩くと川が流れている。
「なんじゃ、こらっ!」
ワシは思わず叫んでしまった。
赤橋のある手前まで水位が迫っているのである。
普段は4~5mくらい橋との川の水位は離れている。
夏場は子どもたちが度胸試しに、この橋から飛び込む。
そんな場所が・・・。
その許容量を、わずか数時間の雨が凌駕しようとしている。
「こりゃ、いかん」
ワシは呟いた。
ワシは不覚にも呆然と、その自然の驚異に目を奪われてしまった。
地元の消防団が向かい岸から叫ぶ。
「ここは危険ですので、一刻も早く非難してください」
団員は血相を変えて叫んだ。
ワシは我に返り、
「わかっとる!」
と、叫び返した。
踵を返し、ワシが自宅に戻ろうとすると、恐ろしい地鳴りが聞えた。
「!」
ワシの前に信じられない光景が映る。