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それから

 

 北部九州豪雨と名付けられたこの災害は思ったよりも甚大なものだった。

 勘助が目撃したイベントホールの倒壊の様子は、しばらくテレビで被害状況を伝えるための喚起材料として、その凄惨な場面が何度も映し出された。


 井上一家の避難生活は、幸い雨がおさまり一日で済んだ。

 しかし、自宅に戻ると床下浸水に見舞われ、玄関は大量の泥水で溢れていた。

 床上まで水が来なかったのは、不幸中の幸いだった。


 一樹はその日見た景色を今も忘れない。

 川が見えないほど土砂や瓦礫が埋め尽くされ、川沿いの建物がいくつも倒壊し流されていた。

 異様な真実の光景。

 そういうことは遠い場所での出来事と勘違いをしていた。

 目の前にそれは起こった。

 誰もが傍観者でないことを気づかされた。

 現実はそこにある。

 誰にでも起こりえる。

 それを知った。

 自然の前では人は無力である。

 だけど、人は強い。

 そして、今がある。

 一樹はぎゅっと拳を固める。

 明日へ、前を向いて歩く。



 ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 幸田遥様のレビュー紹介から伺いました。 共感して読ませていただきました。 この作品とは違う豪雨災害で、自宅が水害エリアをギリギリ外れたことがあります。 一晩中、近くの河川水位をテレビでチェ…
[良い点] 実録の臨場感をありがとうございました。 ご夫婦、家族の絆が嬉しいです。 うるっとしました。 レビューおめでとうございます!
[一言] 自然の力はすごいですからね。 天災は忘れた頃に……と言いますがね。ほんと、体験してみないと怖さがわかりませんよね。 この家族も、最初は、大丈夫だ、って舐めてましたし。そういう家庭も多いでしょ…
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