表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でも引きこもりたいっ!!  作者: 猫崎七色
第1章 異世界転生編
8/45

08話 初めての魔物狩り





 一週間ほど毎日裏山へ薬草を取りに行き、ギルドへ売りに行った。そして思った。



 荷物が重すぎるッ!!

 そして効率が悪すぎるッ!!



 「何度も何度も登ったり下りたり登ったり下りたり……… もうやめたい……」


 ギルドに薬草を売った帰り道。

 流石に辛すぎて弱音を吐いてしまった。そして、先程薬草を売って得られた硬貨を見る。

 今日の売上は、2500ガルン。正直コスパも悪い。時給600ガルン(600円)だ。


 『空間魔法が使えればかなり楽なのだがなー』


 俺の言葉を聞いたギンガが話しかけてきた。


 「空間魔法? どんな魔法なんだ?」


 魔法に興味のある俺は尽かさず聞いた。

 この世界は魔法を使える人が少ない。なので、まだ一度も魔法を見たことがなかった。


 前世の記憶があるため、魔法は便利でなんでもできるイメージがある。

 なので、確かに魔法を使えれば、こんな問題簡単に解決できるのだろう。


 『空間魔法とは、言葉通り空間を司る魔法だッ! 空間収納魔法なんかが定番だな。説明は難しいがーーー』


 そう言って、出来る限りわかるように説明してくれた。


 つまり、空間魔法とは、広い意味での【空間】を操り支配する魔法という認識でよさそうだ。


 代表的なものとして、空間収納魔法。

 これは、ドラ〇もんの四次元ポ〇ットのようなものだ。多次元空間を魔法で創造し、そこに色々な物を収納できる。収納できる容量は、自分のレベルと作成した時の魔力量に依存するようだ。また、空間内は基本的に真空状態で時間の干渉も受けない。

 ゲームで言うところのアイテムボックスみたいな感じだ。


 空間収納の付与されたバッグで【マジックバッグ】というのが売られているらしいが、かなり高価なのだとか。


 そして、空間魔法のスキルが上がれば、転移魔法が使えるようになるらしい。ドラ〇もんのどこで〇ドアのようなものだ。空間と空間を繋げる魔法だ。だたし、行ったことがある場所限定。


 また、空間魔法の応用として、敵を別次元に閉じ込めるといった使い方もできる。


 空間魔法、便利すぎるッ!!

 やっぱり魔法ってすごい!!



 「どうしたら使えるようになる?」

 『まずは、ユーリ自身の魂のレベルと魔力コントロール能力を上げる必要があるな』


 ギンガの説明を聞く限り、魂のレベルとは、RPGでおなじみのレベルと同じと思ってよさそうだ。まさかレベルという概念まであるとは思わなかった。


 魔力コントロール能力とは文字通りの意味だ。精密に制御すればするぼど効率よく魔法が使えるのだとか。


 『レベル上げは簡単だ。沢山戦って勝てばレベルは上がる。逆に魔力のコントロールは一朝一夕では習得できない。日々の鍛練が必要なのだッ!! というわけで、今日から特訓するぞッ!!』


 そんな感じで、魔力コントロールの訓練をすることになった。魔法は使ってみたかったし、正直山を見るのさえ嫌になっていた。丁度いいし、今週はギンガに特訓してもらうとしよう。









 今日はレベルを上げるため、魔物と戦うことになった。


 とは言っても、全くいつもと同じ格好だ。防具など持っていないし、剣もない。

 ギンガには問題ない言われたが、どこからどう見ても問題アリだった。


 「本当に大丈夫なんだろうな? 絶対に死にたくないからなっ!!」

 『オレ様に任せておけば大丈夫だッ!!』


 不安しかなかったが、ギンガの後を追って森に入った。

 家の裏山には魔物が出ないため、町外れの森までやってきた。


 『お!あっちの方にいい感じの魔物がいるぞッ!』


 ギンガは何故かとても楽しそうに言った。そして、俺に石ころを持つよう指示した。


 それから約1時間近く歩き、森のかなり奥の方までやってきた。

 急にギンガは停止し、作戦会議を始めた。


 『この先に魔物が1体いる。まず、ユーリがその魔物に石を当てるのだッ! そしたら後はオレ様が倒すから、ユーリは隠れてろッ! よし!それじゃぁ行くぞッ!!』

 「ちょっと待て!! 全然、全く作戦会議になってないじゃないか

っ!! 俺を殺す気か!?」


 俺の静止など無視して、ギンガは歩き出した。

 マジで死んだら呪っていやる………!!




 魔物の10m近くまでやってきた。10m離れていても禍々しいオーラが伝わってきた。


 ギンガと目が合うと、ギンガはコクンと頷いた。

 俺は覚悟を決めた。



 あぁ、神様!無事に帰れますようにっ!!



 元日本人だし、無宗教。神様なんて信じていないが、祈らずにはいられなかった。


 ゆっくり魔物に近づいていく。そして、魔物の全貌が明らかになった。

 目の前には、高さ4mほどのドラゴンが唸りながら周りを警戒していた。

 色はこげ茶色をしており、ゴツゴツとした堅そうな皮膚をしていた。目は鋭く、口からは大きな牙が見えていた。


 俺は意を決して、ドラゴンに向かって石を投げた。



 --!!!

 パシッ


 「グガァァァァッ!!」



 振りかぶって投げた石は、ドラゴンの尻尾によって地面に叩きつけられてしまった。

 そして、俺の存在に気が付いたドラゴンが威嚇した。



 『ユーリ! 石が当たるまで投げろッ!!』


 頭の中にギンガの声が響いた。

 ギンガは俺の横をすり抜けて、ドラゴンの元に一直線に向かって行った。


 ギンガがドラゴンの気を引き付けている間に、俺は無我夢中でドラドンに向かって石を投げた。


 そして、ようやく石が当たった。

 やった!と喜んだのもつかの間。ドラゴンが口から砂を噴射してきた。

 俺は直ぐ様しゃがみ込み、手で頭を防御した。


 恐る恐る目を開けると、目の前にあった木が跡形もなく粉々になっていた。

 俺はすぐに違う木の後ろに縮こまって隠れた。手だけではなく、全身が震えている。


 爆発音や鳴き声が戦いの激しさを物語っていた。


 冗談じゃなく、死ぬ。

 そう思った時、急に静かになった。


 …………どっちが勝ったのだろうか?


 恐る恐る木の影から戦場を見ると、倒れたドラゴンの上にギンガが立っていた。


 まじか……… まさか勝つとは……

 いや、もちろんギンガを信じていなかった訳ではないが、まさか圧勝するとは思わなかった。ギンガは全くの無傷だ。


 ーー!?


 なんだ?

 体が急に変な感覚に襲われた。爽快な感覚というか、満足感というか、不思議な感覚が全身を包んでいるような感じだ。


 『一気にレベルが上がると、そういう状態になるのだッ! めったに体験できないんだぞッ!』


 不思議そうな顔をしていた俺にギンガが説明してくれた。

 その感覚も5秒もせずに消えていった。


 『では、レベルも上がったことだし、早速魔法の練習だッ! まずは簡単な身体強化魔法からだッ!』


 俺は先ほどの戦いで精神をかなり消耗していた。まだ、手も若干震えていた。しかし、ギンガは待ってはくれないようだ。


 この間から毎日、ギンガの指導の下、魔力コントロールの練習をしていた。


 いつもの練習の時のように、自分の中にある魔力に集中する。体の中心に暖かいエネルギーのようなものを感じる。これが、魔力だ。これをぐるぐると回転させたり、体全体に行き渡らせたりとコントロールするのだ。


 『よしッ! いい感じだッ! 次は、イメージだ。これが重要で、具体的にイメージする必要がある。身体強化の場合は、自分の筋肉が活性化するのをイメージするといいぞッ! そして、全身に魔力を流し込み完成だッ! では早速やってみろッ!!』


 ギンガは簡単に言うが、やってみるととても難しかった。特に具体的なイメージというのが難しい。約1時間ぐらいかけて、やっとできるようになった。


 身体強化魔法の効果はすごかった。

 文字通り身体全体が強化され、通常では持てないような重量のものを持ったり、手で岩を砕くことができたりした。

 また、通常の倍以上の速度での移動が可能になり、ほとんど疲れない。まるでスーパーマンになったかのような感覚だ。


 『それじゃぁ、次に空間魔法だッ!』


 ギンガに言われた通り、イメージし、手から魔力を放出する。イメージはドラ〇もんの四次元ポ〇ットのおかげで、身体強化魔法よりは難しくなかった。

 3回目で空中に直径30cmぐらいの穴ができた。

 早速、ギンガが倒したドラゴンをしまった。このドラドンは、『アースドラゴン』という名前らしい。

 高さ4mのドラゴンが30cmの穴に吸い込まれていく様子は見ていて面白かった。



 その後、山を散策しながら、同じような方法で何体かの魔物を倒した。ちょっと馬鹿にしていたが、ギンガは本当に強かった。


 今日の収穫は、

 アースドラゴン    1体

 ワイバーン      2体

 一角猪(ホーンボア) 1体

 アングリーラビット  5体


 バーレリ草  50本

 モーリュ草  5本 

 シルフィウム 50本 

 日月草    2本 


 十分すぎる収穫だった。

 早速、ギルドに行って売る事にした。


 帰りは身体強化魔法を使用してので、行きの時とは比べ物にならないぐらい早く町まで戻ってこれた。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ