表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
食事って大事  作者: 釜飯
1/1

プロローグ

それは本当に突然のことだった。

担任の松せんこと松岡先生が、だるそうな顔でホームルームの挨拶をいつものように済ませようとした瞬間____目の前が光に溢れた。





目を覚ますと、そこは私達がいた教室ではなくきらきらした建物の中だった。周りを見渡せば高そうな調度品に玉座と思われる椅子に座る王様(と思われる)に姫。つやつやした鎧を着て、槍や剣など様々な武器を持つ沢山兵士達。



(_____あ、これよくある異世界召喚みたいなやつじゃん…。)


最近、こういうもののアニメや小説をちらっと読んでいたため、

私はすぐに自体を把握した。

他の人はというと、「俺の時代が来た!」とか「どこなのここ…!?」と私と同じように自体を把握しつつこの状況に喜ぶ人、急によくわからない場所につれて来られて不安にかられている人と様々だった。


私達がざわざわとしている中お決まりのパターンのように王様が事情を説明してきた。

いわく、この世界は今魔王が生まれたことによって人々の生活が脅かされている。その状況を打破するために勇者召喚をしたと言うことらしい。

うん、テンプレだね。

まぁ、そしてお約束のようにもとの世界に帰る方法はわからないらしい。本当かは知らんけど。


たんたんと話は進み、クラスメイト各自のステータスを確認することとなった。

ちなみに私のステータスはこちら。

_____________________________



神楽舞

種族/人間


職業/無し(未設定)


レベル1


生命力100/??(職業設定により変動)


攻撃力80/?? (職業設定により変動)



防御力50/?? (職業設定により変動)



魔力0/0


スキル:自由人



_____________________




スキル自由人って何なんだよ…。見た感想ではじめに思ったことはそれ。まぁ、それは後々調べることとしてこの職業未設定ってのもよくわからない。ちなみに、この??や括弧の部分に書かれていた事は私以外見えないらしい。


そして、魔力はこの世界では誰しも少しは持っており、0という数値はありえないとのこと。なので、城の人からは魔力0の職業すらない、ましてや勇者の称号すらない私はあまり使えない奴認定されてしまったようだ。


鑑定した瞬間何かそういう雰囲気を感じ取った。


あ、でもステータスの初期値がこの世界の一般人の3倍近くあるらしいからそこはいいらしい。

ちなみに、他のクラスメイトのステータスはほぼ同じくらいだが、職業もある。もちろん魔力が0なんてことないしスキルも経験値三倍とか凄まじいものばかり。


まぁ、いいけど。


特にやばかったのはクラスのムードメーカーの飯島悟君。

イケメンかつ優しい彼は人気者で、常に周りには人が溢れていた。

そんな彼のステータスがこちら。



_________________


飯島悟

種族/人間


職業/魔法剣士(level1)


レベル1


生命力500/500


攻撃力400/400


防御力250/250


魔力600/600


スキル:勇者・経験値5倍


_____________________



…凄まじいね。

ステータスが私の5倍近くあるし、スキルも何より勇者のスキル持ちで経験値5倍とか。これ、チートだ。

このステータスが出た瞬間周りから溢れる「おぉっ…!!」という歓声。彼がすごいのはよくわかる。姫なんてステータスが出た瞬間彼にすりよってるし。

ただ、やはり例外もある。クラスの中であまり目立たない男子だった佐々木豊君。

彼のステータスは私達の平均の5分の一ぐらいで職業が農民で、スキル無し。このステータスを見た城の人たちは「勇者なのにステータスが低すぎる」とか「職業が農民だと…!?」とかいろんな意味で騒がれていた。彼のお陰というべきなのか私のステータスに付いてはあまり話題にならずに済んだけど、他の人が彼を見る目が痛々しい。 


…こういう展開もよく見るやつじゃん。

頼むからクラスメイト達からいじめられての復讐パターンはやめてほしい。こういうステータスの人ほど後々半端ない強さになってくるとかあるし。


ころされたくないわー…。


まだ見ぬ未来が不安になってきた。




___________________________



そして、始まる鍛錬の日々。教えてくれるのは騎士団長のアレガスさん。筋肉ムキムキのおっさんではなく金髪碧眼のイケメンだった。その見た目から女子からの人気も凄まじいことはさながら、気さくな態度で強いため、男子からも人気がある。

彼の指導はわかりやすく、皆メキメキと成長している。ちなみに私の職業未設定についてはまだしていない。よくわからない状況ですぐに決めるのもよくないし、下手に設定して目立つのも良くないと判断したから。

そんな中、例の佐々木君だけはあまり伸びが良くない。いわく、戦闘向きではない職業である農民だからだそう。

彼の扱いは嫌な予感があたった。

想像していたようにクラスメイトからのいじめに加え、城の人からのそっけない態度など。


そういった事から彼が病んで来ている事はわかっていたが、私に何ができるだろう。


薄情だとは思うが、私自体のステータスは高い訳じゃないし庇うなどして目立つのもめんどくさい。

できるのは、何もせずたまにそっと話しかけるぐらいだ。

 





まぁ、そんな感じで過ごして来た中で問題があった。



…食事が不味すぎるのだ。



最初出てきた料理は、ぐっちゃぐっちゃのよくわからない煮込み料理など見た目どおりに不味すぎた。不味すぎるという表現よりまずい。自分でも何を言ってるか分からないけどとにかく表現ができないほどのまずさ。

すぐに料理上手と言われていたクラスの女子の蔵元舞さん筆頭にクラスメイト達が料理長に、正しい料理方法に加えハンバーグやらのレシピを教えに言っていた。これで改善されると思ったのだが、何故か教えた本人も教えられた本人もハンバーグ並びに他の料理を作り出す事ができなかった。できるのは出された料理よりひどい真っ黒な何か。



…何故?



見た目は悪くとも手順があってるのだからと食べた人が不味すぎて口を精一杯抑えていたが吐いてしまった。あの料理よりまずいとか化物だ。


この世界は呪われている…。


ただ、ひとつわかるのはあのまっずい煮込み料理をこの世界の人達は美味しいと食べていること。

ただ、教わって作った日本料理などは形にならず、この世界の人でもまずいと感じることだ。

そして、単純に肉を焼いたもののような料理や素材そのままでもまずさは変わらず、私達が肉を焼くと炭のような何かになった。

今まで美味しい食に慣れてきていた私達にとってこれは死活問題だった。




一週間はなんとか皆耐えた。だが、そこを越すと食べれない人やいらいらし始める人が出てきて、雰囲気は最悪になってきた。そんな事から佐々木君へのいじめはエスカレートし、佐々木くんはとうとう城から追放されるように追い出された。

このままここにいたらやばいということだけは解る。私もまずい食事に手が進まなくなってきたし、佐々木君というはけ口がいなくなった彼らは次の矛先をきっと誰かに向けるだろう。それは私の可能性が高い。

そう気づいた私の行動は早かった。荷物をまとめ、お金になりそうな物を少し拝借して夜中に抜け出した。城の警備は調べあげ、隙をついた。ちなみに、プロの警備を私が抜けれたのは私が魔力が0な事が関係する。城には結界が貼ってあり、魔力を感知して発動するのだ。魔力0なことを最初はなんでだと思ったけどこのときばかりは感謝した。







__________________




「…さて、これからどうしようか」


城を出て、今私は国から離れた森の中にいる。

あたりはまだ暗く、魔物が出てきてもおかしくない。ただ、私には魔物よけのお守りがある。これは、いざという時のために最初、王様から渡されたもの。発動させると自分の周囲を24時間の間低レベルから中レベルの魔物なら襲われることのないという効果がある。

ちなみにとても高価だとあとから知った。この森は、高レベルの魔物は出ないことはリサーチ済みなのでひとまず安心だ。しかし、効果は24時間なのでなるべく早く森を抜けたいものである。


「うーん…。今まで職業の未設定について設定とかやらなかったけど、もう城出たしやってみるか」


体力も城から出てずっと走っていたため消耗している。

少し休んだほうがいいと思うし、ついでにやろう。


「やろうとは思ったけど、どうやってやるんだろ…?

 えっとまず、ステータスオープン…!!」


そう言うと目の前にステータス画面が表示された。

そして、試しに職業未設定と書かれた括弧の部分に触れてみた。


「うわっ…!?」


すると急に頭の中にいくつもの職業名が流れ込んできた。

剣士・僧侶などなど定番のものからニートや村人まで様々な種類の職業がある。飯田君と同じ魔法剣士も選択肢にあった。


「チートじゃん、これ…」


自分のステータスの値的にチートはないと思っていたのでびっくりだ。まぁ、城から出てきてこれから自分のちからで生きなければいけないのでありがたく選ばせていただこう。


「うーん…」

しばらく頭の中に浮かぶ職業を見ていると、一つ興味を惹かれたものがあった。


それは料理人。

まぁ、特に珍しい職業ではない。

確かに戦闘向きの職業を選んだほうが、これからの旅の危険を避けることができるかもしれない。


だが、私は思う。城でのようなあんな料理をこのままたべつつけて旅はできないと。


食べ物こそ生きることにおいて重要だとこの世界に来て嫌ほど気づいた。食べられなければ体力も気力も持たない。


ただ、城の料理長も職業は料理人だったのにも関わらず料理は美味しくなかったことを考えるとかなりリスキーかもしれない。

だけど、料理人になれば、もしかしたら美味しい料理を食べられるかもしれない。


よし、これにしよう。


そう思った瞬間職業が料理人に設定された。






_____________________________



神楽舞

種族/人間


職業/料理人(level1)


レベル3


生命力150/150


攻撃力90/90



防御力90/90


魔力0


スキル:自由人



_____________________



職業柄あまり攻撃力は高くはない感じか。でも体力などは職業設定前に比べ増えていた。ただ、やっぱり魔力は0だった。

魔法とか使えるかもと期待していたときもあったので残念。まぁしょうがない。魔力の部分だけは職業設定により変動の文字が無かったし、もし錬金術とか魔力駆使する職業にして0だったら使えないしそういった職業にしなくてよかった。


とりあえず職業決まったことだし少しだけ仮眠したら早く森を抜けようっと。












評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ