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Growing Survivors  作者: 桐生 長門
6/6

合流

  とある公園

 辺りには化け物が一匹も居ない、そして化け物に荒らされた気配もない。それを確認すると、俺はその場に倒れ込む。

「はぁ、はぁっ、や……っと、見つけた!」

 セーフエリア、通称安置。名前だけでも分かる通り、絶対的な安全が約束される場所だ。しかし、生成される確率が低く探して見つかるものではない。ゲームをやっていたころは1日中探しても見つからない、なんてことは珍しく無かった。ただ、探し出すほど必要と言う訳でもなく、探検中に見つけたらちょっと休憩して行くか程度にしか使われないような、そこまで重要ではないものだった。

 セーフエリアはGM側が土地を所有している設定となっているため、エリア内で建築などができず、更にエリア内のオブジェクトは破壊することができない。セーフエリアでできるのは精々、作業台系を使用しないクラフトや、そこで休憩してHPを自然回復させるぐらいだ。

「まぁ、今の状態からすれば十分ありがたいがな……っと、ロックに電話するか」

 ロックに電話をかけるが、しばらく待っても繋がる様子が無い。

 コール音が繰り返される度に、不安が徐々に大きくなってくる。

「まさか……いや、出れない状況なのかもしれないな、しばらく、休憩……」

 スマホを片手に持ったまま、俺の意識は遠のき、やがて深い眠りへと落ちてしまう。

……………………

………………

…………

……

「…い、…ウ、おい、ユウ!」

 誰かの声が聞こえる、俺を呼んでるのだろうか……。

 重い瞼をゆっくりと上げ、俺を呼んでいるであろう声の主を確認する。身体を起こして、その男を見る。かなり疲れたような顔はしているが、見慣れた、さわやか系の男性の顔。

「ロック…!? お前無事だったのか!」

「おう、なんとかな。そっちはこんなとこで寝てんだし、大丈夫そうだな?」

「ああ、まぁな……走り疲れはしたけどな」

「そりゃ俺もだわ、互いによく生き残れたなぁ」

「全くだな。つーか、合流場所とか言ってないのにどうしてここに来れたんだ?」

「あー、SLに新機能ってメッセージがあったから見たら、フレンドの居場所を知れる機能が追加されてたんで、それ使ってここまで来た」

「マジか、そんな便利機能が。いや、でもそれ悪用されそうで怖いな」

 スマホでSLを開き、新機能を確かめる。

 周辺地図を開くと、地図上に青い点と白い点がいくつか表示される。青い点は一つしかないし、これが自分って事なのだろう。青い点をタップすると、自分の名前が表示され、近くの白い点をタップすると、ロックの名前が表示される。他の白い点をタップすると、名前が表示されない。

「この名前出ないのって何なんだろうな」

「さぁ、フレンドじゃない奴か、その辺じゃねぇ?」

「んー……まぁ、かもな。というかこのシステムだと俺の場所とか分からないじゃん」

「ああ、それはあれだ。フレンド欄から見ればそいつの場所が分かるぞ」

「マジか」

 言われたとおりにフレンド欄からロックの名前をタップすると、居場所と書かれたアイコンが現れたので、それをタップする。すると、ロックが言った通り、選択したフレンドの居場所がちゃんと表示された。

 それを確認するとスマホを一度しまって、ロックの方を向く。

「さて、ロック。食料やら水やらはどうするべきと思う?」

「そうだな……ゲームみたいに、とはいかないだろうし、スーパーとかその辺に行くしか無いんじゃねぇかな」

「それ火事場泥棒みたいで気が引けるんだが」

「そこはしゃーねぇだろ、どうしても気になんなら金を置いて行くとか」

「……仕方ないか。ま、なんか残ってればってのと、コンビニだとかスーパーだとかに無事行けるかって話があるが」

「それなんだよなぁ」

 実際、食料を持って帰るとなると逃げだけでは厳しいだろうし、ある程度自衛の手段が欲しくはあるが……。

「武器も何も無い状態で何が出来るんだって話だな…武器があった所でって感じでもあるけど」

「まぁな、でも何もねぇよりはマシではあると思うぜ?」

「そりゃそうだけど、どこで調達するって話になるぞ」

「……確かにな、うーむ、どうすりゃいいか」

「試しにゲームみたいにクラフトしてみるか?」

「つっても、俺らにそういうの出来るかぁ?」

「GSの生存者だって、自分の知識で作ってるって設定じゃ無かったはずだ」

「そうだっけか?」

 流石にそんな細かい設定まで覚えていなかったのか、ロックは首を傾げている。

「ああ、生存者達もなんらかの方法で製作方法を知って、その通りに作ってるって感じだったはずだ。それに、わざわざこんな合流手段まで用意するぐらいだしクラフト関連で何か用意してる可能性もあるだろ?」

「ふむ、そう言われりゃ、可能性あるかもって思えるな」

「って訳で、SLの隅から隅まで確認してみよう、なんか隠しとかあるかも」

「へい、りょーかい」

 そして、俺達はSLに何か隠されたものが無いか探し始めた。

 結果から言うなら、何も見つからなかった、そして次に俺が取った手は、あの日、俺達にメッセージを送って来たGS相手に直接質問を送る、と言う手だった。

You:クラフトの方法を教えて欲しい

GS:クラフトに関する機能は近日解放予定です、暫くお待ちください。

 近日って、今すぐ欲しい状況なんだが…!?と返したくなったが、多分これはもう、こういう返答しかしないタイプなのだろう。その近日がいつなのか、どんな機能なのか……まぁ、今は考えていても仕方ないか。

「ロック、駄目だ。クラフト機能は近日解放とか言われた」

「マジかよ、んじゃクラフトは無理だな、どうするか」

「話がまたここに戻ってしまったな…」

「とりあえずもっかいSL見直してみるか?」

「ああ、そうだな」

 武器無しの素手で食料を取りに行く、まぁ、これしか選択肢は無いんだろうけど、ただ死にに行くみたいな選択肢で不安しかない。何か、何かないのだろうか……。

 ――ふと、足音が聞こえた気がした。

 ロックの方を見ても、ロックは座ってスマホを見つめながら考えている。と言う事は誰かが来たのか……?

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