Tutorial END
「これってアレだよな……」
「ああ、GSの敵だな。合成とかじゃない限りはゲームの敵がリアルに出て来たって事になるな」
信じがたい事だが、あまりにもリアルすぎて実際に今、会場の方には化け物が居るのではないかと思ってしまう。
それはロックも同じようで戸惑ったような様子で俺の方を見ていた。
「ユウ……どうする?」
「どうするも何も……マジにせよ嘘にせよ、あんまここで長居する気分でもねーし、一旦帰って情報集めやらした方が安全そうだな」
ここで何もせずに待ち続けても、何かが変わるという訳でもないだろう。それに、仮にあの動画のやつが本物として、近いこの場所で居続けるのは危険だろう。
そんなこんなで俺達はここで解散して、俺は会場に近づかないように遠回りやタクシーを使いながら家を目指した。
自宅
マンションの一室、一人暮らしには程よい広さの筈だがゲーム関連の物や、パソコン周りの物で部屋が制圧されているせいか、少し狭く感じる。
「疲れた……」
ベットに倒れ込むように横になり、スマホで今日のニュースを一通り確認しようとするが、睡魔には勝てずそのまま瞼を閉じてしまう。
――スマホのアラームが鳴っている、誰からか電話だろうか。とても眠い、スルーしてしまおうか…そう思いながらも寝ぼけた状態で電話に出る。
「ユウ! 無事か?」
「ああ……何の用だ? めっちゃ眠いからまだ寝たいんだけど」
「寝るとかそんな場合じゃない! 外かニュース見てみろ」
ロックがあまりにも必死な雰囲気なので、無理矢理体を起こし、カーテンを開け窓から外を見る。
――眠気なんて一瞬で消えてしまった。俺が見た景色は、文字通りの地獄だった。
動画で映っていた化け物や、それ以外の化け物……GSのエネミーが街を徘徊し、建物などは次々と破壊されてゆく。そして逃げ惑う人々。
「どういう事だよ……これ……」
そう呟くしか、この景色を見た俺にできることはなかった。
「どこかで合流しよう。ユウは今家だな?」
「あ、あぁ。そっちは?」
「ユウの家を目指してる。逃げたり隠れたりしながら」
「なら俺は待った方がいいか。すれ違いになる可能性もあるし」
「おう、すぐ行くから待っててくれ」
ひとまず合流場所を決め終わり、電話を切り準備をしようとした時、「それ」と目が合った。獲物を見つけたと言わんばかりにこちらを見ながら、窓を壊し中に侵入しようとしている。
俺は靴を履き、部屋から飛び出して走りながら連絡を続ける。
「くそっ、ここ何階だと思ってんだ! 悪いロック、合流は無理だ家で待てる状況じゃ無くなった!」
「そっちにも行ってたか……分かった、一旦お互い一息付けそうな場所に逃げ込もう、合流はそっから考えよう」
「了解、生きてたらまた会おう」
そう言って電話を切り俺は目的地が定かではないまま、生き残るために走り出す。