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Growing Survivors  作者: 桐生 長門
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Tutorial Ⅲ

「な、なんだ!? おいユウ、今の……」

「ああ、聞こえた……」

 周りの客も急に聞こえた、日常では聞くことが無いであろう音に戸惑っている。

 ロックも俺も、戸惑いを隠せずに窓から会場の方向を見る。会場自体は見えはしないが、煙が立ちのぼっている様にも見える。

「マジで爆発したのか……」

 呆然とそれを眺める事しかできないまま、少しの時間が経ったとき、俺とロック、それ以外の客もだろうか、いくつものスマホの通知音が鳴り響いた。

「? マナーモードにしてんのにな」

「緊急速報って音でもないしな…」

 その場にいる殆どの人が自分のスマホを確認している。俺達も不思議に思いながらスマホを確認すると、どうやらSLからのメッセージが来ているようだ。

「(SLならマナーモードで鳴るなんてこと起こらないはずだよな……?)」

 隣のロックを見ると、同じような状況なのか俺の方をチラっと見ていた。目が合うと、頷き合いスマホに届いたメッセージを確認する。


GS:あなたは『一般人』です。


「あなたは一般人です……なんだこれ」

 俺がそう呟くと、ロックが俺の方にスマホを見せながら話しかけて来る。

「なぁ、これなんだよ? 俺自衛隊員なんかじゃないんだけど」

 ロックのスマホにはあなたは『自衛隊員』です。と言うメッセージが送られてきていた。

「俺の一般人はとにかく、そっちはなんかの間違いじゃね?」

「だよな……それかあれか? GSではよく自衛隊員使ってたし、それでか」

「そう言われれば俺も一般人ばっか使ってたな……でもなんで今こんなのが」

「それはさっぱりだ……」

 GSにはプレイヤーが選択できるジョブのようなものがいくつかあり、その中に『一般人』と『自衛隊員』も存在する。

 俺は『一般人』、ロックは『自衛隊員』をよく使っていた。一般人はかなりハードで人口も少ないうえ、公式からも推奨されてない所謂縛りジョブ。自衛隊は初心者でも安心してプレイできる公式からも推奨されてるジョブだ。

「もしこっからリアルGS始めますなんぞ言われりゃ俺は積みだな」

「さすがに漫画の読み過ぎじゃないか? もしかしたらなんかの間違いかもしれないし」

「……そーだな」

 現実逃避も兼ねた冗談がマジレスで返されてしまった事に少し落ち込みつつ、現状でどうするべきかを考える。

 実際この流れはGSの導入ストーリーと全く同じだと言う事を思い出したは良いものの、ほんとにリアルGSなんぞ始まる訳が無いし……。

「…い……おいユウ! 聞いてるか?」

 ロックに呼ばれて、はっと我に返る。

「あー…悪い、何の話だっけ」

「おいおい…だから、会場の近くのビルからよくわかんない生物を映した動画がだな――」

 一瞬冗談かと思ったが、ロックはこういう系の冗談は言わないタイプだ。真偽を確かめるべく俺は話を最後まで聞かずに、急いでスマホで何か話題になっていないかを調べる。

「……マジかよ」

 動画を見つけ、再生すると。そこに映っているのは見間違えるはずもない程何度も見た、合成とは思えないほどリアルなGSのエネミーが存在し、それが人を襲おうとしている場面だった。

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