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志望業種は――魔法少女で!  作者: 竹内緋色
ふぃなーれ!
78/90

カウント 9

カウント 9


パラパラと結界を構成していた景色が崩れていきます。

「ここは――」

 以前と変わらない、そよぎ丘学園のグラウンドでした。そして、そこでは魔法少女と謎のおじさんたちが大量のワームとの一進一退の攻防を繰り広げていました。

「なんでおじさんたちにワームが見えているんですか!?そもそも、素手でワームとやりあっていますよ!?」

 おじさんたちの頭部には謎のヘッドギアのようなヘルメットのような、とにかく普通はつけて出歩かないような装備が装着されていました。一番似ているものといえば、ウルトラ警備隊のヘルメットでしょうか。

 おじさんたちは素手でワームを吹き飛ばし、その隙を上空の魔法少女が魔砲で仕留めているという感じでした。

「フバーハちゃん!?帰ってきたのか!」

 なんとなく冒険に役立ちそうな名前が聞こえてきます。

「おーい、聞こえてるかー?」

 私の目の前に掌がかざされます。

「はいっ」

 私は驚いて返事をします。ついで私の目の前に現れたのはどこかで見たことあるような顔でした。

「覚えてる?わたし、わたし」

「えーっと……」

 私は必死で考えます。

「白姫彼方さんですね!?」

「ちゃうちゃう。それは『おと×まほ』の主人公」

 白瀬修先生著のGA文庫にて全16巻くらい?で発売中です!店頭には多分ないので、古本屋か白瀬先生のことを想うなら、AMAZONとか直接ソフトバンククリエイティブまでご連絡を!

「何故に宣伝をしているんだ?」

「いや、つい、魔法少女を題材にしたライトノベルも珍しかったものですから――」

 私は照れ隠しで頭をポリポリかきむしります。

「お元気でしたか?トラさん」

「だから~。トラちゃんだってばぁ~」

 駄々をこねる子どものようにトラちゃんは言いました。

「ボス。そろそろ交代お願いします」

「だから、ボスじゃないってばぁ~」

 トラちゃんは泣き入りそうな声でワームと戦っている魔法少女に声をかけます。

「じゃ、ごめんね。行かなきゃ」

 トラちゃんは片手を上げて私にそう告げてワームのもとへと向かって行こうとした時でした。

「あら。悠長にお話とは。もうちょっと雰囲気を呼んだ方がいいのではよろしくて?」

「……いいのではよろしくて?」

 なんとなく、日本語がアレな気がします。

 なかなかの高慢な態度で現れたのは一人の魔法少女でした。齢は恐らくトラちゃんと同じくらいだと思いますが、なんだかスポーツ少年っぽい恰好のトラちゃんと相反して現れた少女は白いドレス調の――よく絵画に出てくるフランスなどにいるおかしな形の日傘とかをさしている恰好でした。

 つまりは――

「フランス人形みたいな恰好――」

 少女は声高らかに笑います。

「おーっほっほっほっほ!」

「……文字数を無駄に増やさないで欲しいな。マルフォイ」

 マルフォイさんはあからさまなほど額に青筋を浮かべます。

「その名で呼ぶなと、いつになったら分かりますの!」

 トラちゃんとマルフォイさんとの間に火花が散ります。

「ええっと……」

「フバーハさん。離れておいた方がいいっすよ」

 チェーンソーを持った、トラちゃんの取り巻きらしき魔法少女が私に言います。

「マルフォイとボス。二人は因縁の相手ですから。なにせ――」

「ずっと我慢していましたけれど!わたしはマルフォイじゃありませんわ!魔法少女リュウ。それがわたしの名前ですの!」

「……やっぱりマルフォイさんの方が覚えやすいのでいいです」

「なんでそんなにさらっと断れますの!?というか、やめなさい!」

 でも、人にとっての第一印象ってやっぱりあると思いますし。

「ところで何故マルフォイなんですか?」

「それはですね――」

 チェーンソーの女の子の代わりにトラちゃんが答えます。

「リュウだから、ドラゴンのドラ子ってわけだ」

「なるほど」

「納得しないでくださいます!?」

 なんだか騒がしい様子でした。

「お二人はですね。ある意味名コンビなんですよ。絶対双璧アブソリュート・デュオ

「……」

 私はお二人の胸を見ます。

 なるほど。

 私はまだ若いので何とかなりますね!

「なんでしょう。とっても失礼なことを言われた気がしますわ」

 またもマルフォイさんは青筋を立てます。

 追い打ちをかけるようにトラちゃんが言いました。

「ふぉいふぉいふぉい」

 ぶちっ。

 まさか、本当に人がぶちギレる時の音が聞こえるなんて思いもしませんでした。

「さ!トラどらの復活ですよ!みなさん!急いで逃げて!」

 私はチェーンソーの女の子に手を引かれるまま、連れ去られて行きます。

「ええっと――これは」

「リュウの逆鱗に触れられるのはトラだけなんすよ」

 残念なことに、と女の子はつけたしました。

「絶対に!許しませんわ!」

 マルフォイさんの辺りから陽炎のようなものが立ち上っています。

「あれは一体――まさか、筋肉の発する熱で陽炎が――いいえ、違います。あれは――気?」

 英語で言うとオーラです。

 英語なのかは知りませんけど。

 そう言えば、いつかマスクマンも見たいと思うんですよね。

 マルフォイさんから湧き出る気は一体の龍の形をとっていました。それはとても巨大です。ワームの2倍はあるかというほどの大きさ――見たことはないですけど、きっと、高層ビル?くらいです。5階建てくらい?

「もしかして――今まで設定だけでは存在していた特殊系ですか!?」

 私たちの目の前にそびえる巨大な龍はまさに神の龍といった感じでした。

「マルフォイの逆鱗はマルフォイがボスを倒そうと攻撃する時にだけ使える技なんす」

「何故そんなに限定されているんですか!?」

 そんなことよりも、あんな巨大な龍に攻撃されてしまったら、トラちゃんでもひとたまりもないはずです。

「トラちゃんを助けないと――」

「その必要はないっす」

 チェーンソーの女の子は平然と言っていました。

「ボスは決して負けないっす。だから、マルフォイも安心して手加減せずに戦えるんす」

「え?」

「消し飛べ!」

 マルフォイさんの掛け声とともにトラちゃんのもとへと巨大な龍が向かって行きます。

「危ない!」

 龍の巨大な顎がトラちゃんを飲み込もうとして――

「ふぅ。危ない危ない」

 トラちゃんは一瞬で別の場所に移動していました。龍はそのままトラちゃんのいた場所を通り抜け、その先の、ワームの大群に突っ込んでいきます。

「ホント、他の生き物――ワームでさえも手加減するのに、わたしにだけ手加減しないなんてなんて奴」

 龍はワームを巻き込み、巨大な光となって消えました。

「派手派手だねぇ。派手なのは名前だけにしておくべきだとは思うが」

「余計なお世話ですわ!それと、わたしの名前はマルフォイではないといつもいっておりますわ!」

 マルフォイさんはひとしきり文句を言い終えた後、糸の切れた操り人形のように突然その場に倒れ込みました。

 地面に激突する寸前でトラちゃんがマルフォイさんを受け止めます。

「ったく。手加減しろよな。本当に」

 マルフォイさんが倒した反対側のワームはまだ残っていました。

 そのワームたちがトラちゃんたちに迫っています。

「残り半分は任されてやるよ」

 トラちゃんは手を空に伸ばし高らかに声を上げます。

「行くぜ!手乗りタイガー!」

 すると、地面から木刀を手に持った、手のひらサイズの小人さんたちが現れました。

「版権的に大丈夫なんでしょうか……」

「もう今さらっすよ」

 手のひらサイズの小人さんたちはワームに向かって行き、木刀を振りかざします。

 ワームにとってはありんこのようなものでしょうけれど、小人さんたちの木刀が触れた場所が突如として歪にへこみ、ワームは灰となって消えてしまいました。

「フバーハ!」

 トラちゃんが振り向き、私に言います。

「キミには行くべき場所があるはずだ!この場は大丈夫だ!だから、先に行け!」

 なんとなく死亡フラグが立っているな、と思ってしまいましたが――

「はい!」

 私はみなさんに一礼すると森の方へと向かって行きました。


 多すぎて落ちてしまいそうな白い翅を持った存在は遠くの空からでも視認できました。

 白い翅を持った魔法天使の周囲には大きな砂埃がいくつも立っています。

「大丈夫!?みんな!」

 辺り一面は何もなくなっていました。

 あるのは裸になった地面と、倒された木々の残骸です。地面からは不自然な白い煙が立っていました。

「コトちゃん!セラちゃん!」

 白い煙の間からチラチラと何かが見えていました。それは地面や木の残骸ではありません。

 黒い布の切れ端と、機械のような光沢――

「おや?やっとのご帰還かな?」

「魔法天使――!」

 魔法天使は私を見降ろしています。

 ばさり、と白い翅がはためきます。

「私の大切なともだちをこんな風にして――」

 セラちゃんの体からはビリビリと電撃が発せられていますし、コトちゃんに至っては服がことごとく破けて、地面にうつぶせで倒れているというのに、おしりを布一枚が守っている状況なので、はっきり言って、ほとんどおしりが見えています。

「白い下着だったんだ――」

「実のところはイチゴパンツだったのよ」

 ぬらり、とコトちゃんは立ち上がります。上半身はもう何も身に着けていない有様なので、片腕で胸を隠しながら、もう片方の腕で下半身を必死に隠しています。

「とうとうイケナイ趣味に目覚めてしまったわ――」

「ええから早く着替えんかい!」

 セラちゃんがコトちゃんの頭を叩きました。

「いたっ。ひどくないかしら、セラ。私、あなたのお姉ちゃんを助けたのだけれど」

「そんな10年前の、それも明示されていないことにまで気がついている読者がいると思うか!」

「いえ、一応名前だけは出てたんだけど……」

「熟年夫婦みたいでいいですね。では、私はここにて」

 その場から去ろうとする私の腕をコトちゃんが掴みます。

「あら?何年経ってもフキちゃんは私のものよ?」

「おっぱいが見えてますよ?」

「見せてるのっ」

 楽しそうに笑うコトちゃんに私は溜息を吐きます。

「……せっかくセラちゃんに全部押し付けられると思ったのに……」

「何か言ったか?」

「いえ!何も!」

 時々重いんですよ。コトちゃんのこれ。

「コトちゃん?多分着替えられるよね?」

「まあ、フキちゃん。やっぱりフキちゃんには全てお見通しね」

 コトちゃんはくるりと一回転します。すると、白と黒の魔法少女が現れました。

「コトちゃん……その姿は……ベストマッチ?」

「さあ、実験を始めましょう」

「もう最後の茶番はいいかな?」

 私たちのやり取りを静かに見ていた魔法天使幹は口を開きました。

 ばさりと広げられた翅から雪のように白い羽根が降り注ぎます。

「さあ、絶望しろ――」


 そんな時でした。


 空間を割って、何かが私たちの上空に現れます。


 《《それ》》の姿が見える前でも私たちはその存在の圧倒的な何かに威圧されてしまていました。


 空間からこの世界に降り立った存在。それは――


「どうせみんないなくなる」


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