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志望業種は――魔法少女で!  作者: 竹内緋色
the 3rd show
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22nd contact まほうしょうじょうぃっちまじかるたんじょう

22nd contact まほうしょうじょうぃっちまじかるたんじょう



 私たちの耳にもまた、マリと言った少女の声は響いてきていた。

「八方塞がりってことじゃないかしら?魔法天使?」

 私の言葉に魔法天使は青筋を立てる。

「全く、私をコケにしてくれましたね」

 世界中の魔法少女を敵に回したのはこの魔法天使になった。あの実力であれば、能力に制限がないかぎり、世界中の魔法少女を敵に回しても問題がないだろう。

(そう。弱点さえ見つけることができれば……)

 それをあの雷とかいう魔法天使に聞いておけばよかったのだ。

「仕方ないってことね」

 私は携帯を取り出す。かつての、短い間だったけれど私の大事な相棒だったアイテム。

 そのボタンを私は押す。

「スタンバイ!」

 でも、いくらボタンを押しても反応がなかった。

「どうして!?」

 力がなければ、私たちは魔法天使には勝てない。この携帯さえあれば、きっと強くなれるはずだった。そう確信していた。なのに、携帯は私を主であると認めてくれない。

「やっぱり、私にはフキちゃんがいないとダメなんだわ。私は、私は、フキちゃんがいないと何もできない。あの子がいないと、私は――」

 すると、突然横合いから殴られる。痛みとともに、浮遊感が漂ってきて、そして、ばさり、と地面に落ちた。

「バカやろう!」

 私はセラに殴られていた。

 まさか、この子に殴られることになるとは思いもしなかったから、私は驚いてしまう。

(あなたのお姉ちゃん二人を助けたの、私なんだけど……)

「アイツは今も一人で戦っているんだ!誰にも頼ることなく、一人で!お前はそんな姿をアイツに見せて、恥ずかしくないのか!」

 セラは私の衣装の胸倉を掴んで言う。

「フキはな!誰よりも弱い。誰よりも自信がない。誰よりも孤独で独りぼっちだ。でも、誰よりも誰かを愛している。世界を、平和を愛している!」

 あなたに、フキちゃんの何が分かるというのかしら。

 でも、反論のしようがないほど、セラの言っていることは私の思っていることと一緒だった。

「仕方がないわね。そんなにもフキちゃんに対して熱く語られたら、妬けちゃうじゃない」

 私は携帯を掲げて声を上げる。

変化(フキちゃん)!」

 二度と見ることはないと思っていた魔法少女の光が私の体を包み、私は新たな姿に変化した。

 半分は魔女の、そしてもう半分はタイプ・ソーサラーの姿に変化した。

「魔女!魔法少女!ベストマッチ!」

「特撮ネタを分かる人がどれほどいるのだろうな」

「微笑みのブラックホール!ウィッチマジカル!」

「しっかりと紹介分もあるんだな」

 私は魔法少女ウィッチマジカルとなり、魔法天使に相対する。

「さあ!あなたの罪を――数えなさい!」

「微妙に753になっているような気がするけど」

「一々突っ込まなくてもいいの。月影の」

「いや、突っ込まないと色々マズいだろ。よく分からない前衛芸術になる」

「未来を一歩行っているのね。やはり、フキちゃん愛は世界共通ね」

「嫌だ!そんなの」

「なんでお前たちは強敵を前にボケるのか」

 魔法天使からため息交じりの舌打ちが発せられる。

「そりゃあ、強敵なんかとは思ってないから。アンタなんて、最強フォーム(あいのちから)に目覚めた私にとってみれば、世界を救ったサイボーグみたいなものだから」

「もう、私からは仮面ライダービルド参照としか言えないな」

 私は無敵だった。もう、負けない。誰よりも守りたい人ができて、その人に幸せになって欲しいと願ったのだから。

「あなたと私、二人じゃないと魔法天使は倒せない。だから、コンビネーションで行くわよ。純粋な魔法と魔法同士、威力でゴリ押しても決定打にはならないわ。だから、最後はあなたの魔法殺しの槍で決めてちょうだい。そのための支援はするわ」

「頼んだぞ」

 そう言うセラに私は問いかける。

「いいの?魔女なんか信頼して」

 すると、セラは鼻で笑った。

「魔法少女ウィッチマジカルなのだろう?魔法少女成分の方が多い」

 だからと言って簡単に信頼できるものじゃない。

「あなたも変わった子ね」

 もしくは成長したのか。

 変わらないはずの魔女も新たな姿となり、成長した。

「そう、これこそ奇跡(フキちゃんだいすき)

 ありえない奇跡だって起こせると信じさせてくれる人がいたから――

「天は東に。地は西に。境界を彷徨う己は天地を分ける。その号砲のなる先の、丘の上の草木の種子よ。響く音に急かされて新たな芽吹きを地面に施す。風よ、風。祈りの息吹を運んでおくれ。どこまでも遠くに続くあの子へ(フキちゃんすきすきだいすきもうはなさないどこまでもどこまでもついていくから)」

「長い詠唱と、ルビの異常さ……」

 呪文に反応して、多くの魔方陣から魔砲が飛び出す。

 内蔵している魔力自体に多くの変化はない。そもそもに魔女の魔力量は決まっている。その人物が一生に消費するであろう魔力量を内蔵している。故に、人ではない。肉体はもう夢の中に溶けだし、肉体の概念だけが漂っている。魔女は新たに魔力を作り出すことができない。だからこど、魔弾で残り全ての魔力を絞り出し、自滅する。

 だが――

「肉体負担の半減と、魔力精製もあるのね。まあ、そっちは微々たるものだけど」

 少しだけ、時間が伸びたと考えた方がいいみたいだった。

「私のはざーどれべるは7を優に超えている!そんな私に勝とうというのか!」

 私の放った魔砲を魔法天使は同じく魔砲で撃ち落とす。いくつもの光の線がぶつかり合い、消え、虹色の光を放出する。

「ふん!多少強くなっただけで、私に勝てるとでも思っているのか!」

 魔法天使の放った魔砲が一つ、私に向けて飛んでくる。一度に出せる数で私は負けたのだ。でも、それはたった一つ。そのたった一つを飛んできたセラが真っ二つにする。そして、そのまま魔法天使のもとへと向かって行く。

「戦姫ごときが!道具に過ぎないお前たちが!」

「その道具さえしつけられないのはどこのどいつだ?」

 セラは薙刀で魔法天使を切りつける。魔法天使はステッキで光の刃を作り出し、抵抗しつつ、空中に小さな光の球を作り出し、セラの隙を見て攻撃を加える。

「お前たちの基本的なシステムを作り出したのは私だ!お前たちの弱点など、分かっている!」

 セラは光の球を華麗に避ける。でも、一つ、肩にぶつかり、肩の鎧が大きく削られた。

 魔砲の玉は思った以上の能力らしい。

「思い付きを!理屈で語れるものかよ!」

 セラは怖気づくこともなく、魔法天使へと真っ直ぐに向かって行く。いくつもの魔砲の玉がセラの体を掠める。ただ、少し触れただけで装甲は簡単にはがれてしまう。それでも、セラは前へと飛ぶことをやめない。

「ぐっ」

 セラは薙刀を魔法天使に叩き込む。魔法天使はそれをステッキで防ぐが、セラはそのまま魔法天使を押し出していく。

 何も言わないでここまでのことができるのだから、まるで往年の夫婦みたいで嫌悪感が増してくる。

「人は歩く。前へと行く。それは歩かされているのだろうか。前へと進まぬように作られているからだろうか。しかし、後ろへも進むことができる。背を前にして、前を気にせず後ろだけを見て。それでも進む。戻ることもできる。それは前に進んで切るのだろうか。そもそもに前とはどちらなのだろうか。どちらが前でどちらが後ろか。どちらも前でどちらも後ろか(フキちゃんあいしているわせかいのだれよりもなによりもだからきっといいふうふになるとおもうのいいえいいふうふにしかならないわだからたたかいがおわったらけっこんしましょうしぼうふらぐなんてくつがえしてみせるわだってわたしとふきちゃんとのであいはうんめいなのだから)」

 セラは魔法天使を私の砲撃の射程上におびきだした。最大全力の一撃。すべての力をこの一撃に注ぎ込む。

 そして、運命の一撃は魔法天使に向けて放たれた。

 セラは寸でのところで回避する。

「あははっ。そのくらいの魔砲で私が負けるとでも思っているのかっ!」

 魔法天使もまた、魔砲で抵抗する。

 チャージ時間もない中での一撃。しかし、それでも私の放った魔砲と互角で、魔法天使は私の魔砲を受け止めている。

「まだ私は全力の三分の一も――」

「減らず口は慎むことね」

 私の魔砲の先から、矢じりが飛び出す。

「なに――」

 油断している今が勝負だった。そう。きっとチャンスは一度きり。

 魔砲を放つことに気をとられていた魔法天使は矢じりをもろに食らう。けれど、意地らしいことにきちんと回避した。それでも、矢じりの一つは魔法天使の頬に一筋の赤い線を作り出す。

「おの――」

「舌を噛むぞ」

 追撃を許さないセラの薙刀が魔砲から逃れた魔法天使を襲う。回避と私への怒りでセラの攻撃はノーマークだった。

 セラの一撃は魔法天使を真っ二つにし――はしなかった。

 セラの一撃を魔法天使はステッキで受け止めた。でも、光の刃を作り出す余裕はなく――ステッキだけが真っ二つとなる。

「クソが!」

 魔法天使は腕を振るう。それだけでそこそこの魔砲が生み出され、セラはこちらに吹き飛ばされて帰ってくる。

「ただの道具の分際で!使い捨ての部品の分際で!」

 きっと、この様子は放送されているのだろうと私は思う。

 どうせ、もう一人の魔法天使の仕業だ。あの関西弁のマリを使ったのも、情報を横流ししたのも。

「さて。最大のチャンスは逃してしまったみたいだけれど」

 魔法天使の体からは目に見えるほどの殺気が漂っていた。ホント、あの魔法天使の言ったように感情というものを手にしていたみたいだった。ただ、その手にした感情が最悪のものだったというだけで。

「フキちゃんならこんな悪党でも更生できると信じるんでしょうけど」

 傲慢、つまりプライドは尊厳という意味で人が生きていくために必要なものだけれど、ここまでいくともう手が付けられない。何もかも見下して、自分が唯一絶対だと決め込んで。

「もう、天使というより悪魔ね」

 魔法天使の背から次々と飛び出してくる白い羽は計16枚。

 神に反旗を翻した大天使であり大悪魔を彷彿とさせる姿だった。

「ラスボス第二形態というところだけど、いつまで寝ているのかしら」

 砂煙の中からセラが立ち上がるのが見えた。

「魔法相殺の結界は完全に無力化してしまったんだが?」

「翼は折れていないのでしょう?なら――」

「最後まで跳び続けて見せるさ」

 恐怖に打ち勝つ覚悟をしたところで――

 あふれんばかりの嫌な予感が私を襲った。

「あの雑魚魔女――つくづく気に食わないわ」

 無数のワームが現れたことを私は知った。向こうもまた、決着をつけるつもりらしい。

「そちらの方は任せるわよ。フキちゃん。フキちゃんならきっと奇跡を起こせると信じているから――」


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