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志望業種は――魔法少女で!  作者: 竹内緋色
第二傷 魔弾の射手
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第24歌 その5 異世界テンプレって水戸黄門に似てるよね

第24歌 その5 異世界テンプレって水戸黄門に似てるよね


「どうしてお前が感想や評価を貰えないか分かっているか?それはな!人生負け組だからだよ!ついでに異世界ものではないからだ!」

 伝説のコロネちゃんは作家の心を折って進んでいく。

 逢魔時王の治世の下、世界には平和が訪れたかのように見えていた。しかし、国外の状況はよりひどく、国内の状況にも暗い影が差し始めていたのだ。

「ここは転生の国、フルーチェ。天性の才能のない奴らが転生してくる」

 その中で転生してきたコロネちゃんは異例だと言えた。

「さて。そろそろひと暴れしないと我慢しきれなくなっちゃうぞー」


「これが鎮静の箱か」

「おやめください!それはうちの家宝なのです!」

「うるさい!この中に次の王になるための秘宝が眠っているかもしれないんだ!」

 夜盗は女の顔を蹴り、箱を我が物とする。

「さて。どんな宝が眠っているのやら――」


「最近知ったんだが、ルパンコレクションって、歴代戦隊戦士のアイテムやらをモチーフにしているらしいな」

「御屋形様、御屋形様!」

「なんだ、うるさいな。それと、ワタシは御屋形様でもない!」

「いいじゃないですか。どうせ六男なんでしょ?八男ですか?」

「女だよ!ただ、14番目の後継者候補だからな!」

 よっぽどのことがない限りは次の王になることはなく、また、現王が酔狂なことを始めたせいでいろいろと大変になっていた。そのことにコロネは頭を悩ませている。

「是非とも御屋形様には次なる王に――」

「だーかーらー!大声を出すんじゃないぞ!」

「あらあら。二人して何をはしゃいでいるの?次の王とかって聞こえたけれど」

「おゆずか。いいや、少しも何でもないのだ!」

「そうですか。もしかして、二人とも、あの逢魔時王様の隠されたお宝を手に入れて王様になろうと考えているんじゃないでしょうね?」

「そんなわけないだろ?」

「でも、おやか――」

 コロネは花兵衛の口を塞ぐ。

「ま、あんたさんたちがなにを企んでいるのかはうちには関係ないさかい?ええんですけど、きちんとつけははろうてもらわんと。それと、家賃もな」

「そ、それは……ワタシが王になった時にでも――」

「そんな寝ぼけたことをいっとらんとさっさと仕事でも見つけてきぃ!」

 コロネは店先から放り出される。

「御屋形様。御屋形様が領地を譲れ受けなされば――」

「いいんだよ。ワタシは」

 王位継承者の一人であるコロネには領地を譲り受ける権利がある。だが、それは正式に次の王の座を狙うという意思表示でもあった。

 コロネを含めて王位継承者は14人。その末端がコロネである。そして、現在王位継承権を受けることを拒んでいるのはコロネを含め三名であった。

「しかし、あっしは御屋形様に是非とも新しい時代を――」

「ワタシはな。今の時代が一番好きなんだ。だから、このままでいい。王様やら領主になってしまうと、こうやって小さな町の茶屋で付けで団子を食うこともできないだろ?満足満足」

「でも……あっしは……」

 花兵衛はうつむいた後、どこかに去っていった。その後ろ姿を見ながらコロネは呟く。

「結局、中世ファンタジーなのか、時代劇なのかわかんねえな。それとあいつは何しに来たんだ?」


 コロネは働かなくてもお金がたくさんあるので町民を冷やかすことを生業にしていた。

「おい、自称滝沢馬琴」

「事象とか言うなよ!」

 コロネは古びた長屋に足を運ぶ。そこには万年売れることはない小説家が息を吸って吐いていた。

「せめて、生きていたくらいの描写はしてくれよ」

「じゃあ、それをお前が描写しろ。それが仕事だろ?」

「う~ん……」

 コロネは掌が触れるたび喜びの声を――

「誰が春画を書けと言った!」

「絵じゃないじゃん!」

「似たようなもんだろ!なんだ、喜びの声って!そんなんだからお前は売れないんだ」

「そんなこと、分かってるよ」

 滝沢馬琴は地面に突っ伏す。

「あ~、働きたくないでござる」

「あ~、働かなくても生きていけるでござる」

「くそっ。なんで僕は転生してもこんな不遇なんだ」

「あのな、この国には職業訓練校というところがあってな――」

「だが、断る!」

「そんな傲慢チキだから就職先が決まらないんだ」

 今度こそ滝沢馬琴の顎にクリティカルヒットしたようで、滝沢馬琴は無気力に床を転げまわった。

「もうやだ。転生したら今度はすっごいチートに生まれ変わるんだ」

「字画がダメだからな。無理だ」

「なんでそんなに否定するんだよ~」

 滝沢馬琴は泣き出した。

「おやおや。売れないクズを泣かしちゃダメだぞ☆」

「上兄さま」

「こら。頭なんてさげんでいい。良きに計らえ☆」

 上兄と呼ばれた人物は長屋に入り込んでくる。

「それと、私は女だからね」

「で?ツキ姉。なんなんだ?」

「いや、それがね。ここ最近、この辺りで妙な噂を聞いちゃってね☆」

「一国の領主が僕の部屋に簡単に入ってこないでもらえます?殺されたらどうするんですか。僕が」

「最後の一言が余計なんだよ。バーカ☆」

「ひでぇ!何で僕はこんなにも女性に虐げられなければならないんだ!」

 恐らく前世の行いが悪かったんだな、とコロネは思う。

「それで?次王のランクで3本指に入るツキ姉が何の用だ?」

「この辺りで窃盗が多発しているらしくてね。どうも多くの秘宝が盗み出されているらしいのね」

「で、そこに時の宝がないかを探している、と」

「そういうこと☆」

 コロネとツキは協定を結んでいた。ツキが王になる手伝いをコロネがするというものだった。

「ちょっと待てよ……」

 コロネは今朝の花兵衛の様子を思い出す。

「あのバカ。もしや――」

 コロネは急いで長屋を出ようとした。

「待って。コロネ」

 コロネをツキが止める。

「本来生まれるはずのなかった14番目の王家の秘宝を持つあなたのことを危険視している継承者も多いわ。だから、気を付けてね☆」

「言われなくともわかってらぁ」

 コロネは急いで町を駆けた。


「御屋形様がやる気を出さないのなら、オイラがやるしかないでやんす」

 花兵衛は調査の結果、夜盗の巣を見つけた。

「さあ。王のお宝はどれでやんすかね?」

「どれなんでしょーかっ」

 花兵衛が振り向いたときには夜盗どもの持つこん棒が振り下ろされた後だった。


「何――?」

 夜盗たちは次々に倒れる。そこには金色の髪を持つ一人の乙女が立っていた。手には剣を持っている。

「王家の秘宝、14番目にして本来あるはずのない力。無傷の傷跡。それがこの秘宝の名前だ」

 切り裂いたはずの夜盗たちの体には傷一つない。ただ、気絶しているだけだった。

「御屋形様――!」

「動くな!」

 コロネは花兵衛に向かって怒鳴る。

 その瞬間、花兵衛に向かって飛んで来た飛び道具をコロネは剣で弾き飛ばす。

「流石ダークホースではあるな」

「貴様は一体――!」

 黒い衣装に身を包んだ白い髪の人物は不気味に微笑む。

「さあ。それを聞いたところで王位継承権を放棄したキミには関係ないだろう?」

「兄様方の差し金か?」

「我はキミの命を奪いに来たわけじゃない」

 黒装束は地面に手のひら大の球を投げるつける。その瞬間、辺りは色のついた煙で満たされた。

「げほっ。ぐげげほほっ。お、お宝はもらった――うげほっ」

「お前が一番咽てどうするんだよ」

 煙が晴れた時には黒装束はどこにもいなかった。

「王位継承戦か」


 後日、コロネは王宮を訪れていた。玉座には逢魔時王が座っている。

「父さん」

 コロネはその場で膝をつき、頭を深く下げる。

「ワタシも王位継承戦に参加します」

 その場の王位継承者たちは一同にざわつく。それもそのはずだった。ライバルがまた一人増えたのだから。

「王位継承戦のルールは知っているな?」

「はい」

 コロネは逢魔時王の声に答える。

「目指す宝は二つ。時の宝と文字の宝。その二つを先に手にしたものが次なる王へとなります。誰の領地でもない場所で手に入れた宝は手に入れた者のもの。でも、誰かの領地で手に入れた場合はその領地の領主と戦い勝たなければならない。なお、盗んだり略奪したりなどのルールは自由。領地におけるルールさえ破らなければ問題がありません」

「その通り。今この時からコロネ、お前は次の王たる資格を手にする。祝え。新たなる王の誕生を――」


「とうとうコロネも継承者になっちゃったか。こりゃ、殺しておくべきだったかな☆」

「申し訳ありません、我が宝を優先してしまったばかりに」

「いいや。君は悪いくないよ。いずれ来る戦争のために今は秘宝を集めておかないと」

 闇の中で女は微笑む。

「これからが楽しみだけど、この物語はここで終わっちゃうんだよね」




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