優しい子、ちなちゃんのお話。
ちなちゃんは、中学生。
「ねぇねぇ!ちなちゃんってどう思う?」
「どうしたの?急に。」
「ちなちゃんは学校で、優しい子って言われてるよ」
「でも、それならどうして僕達には優しくしてくれないの?」
ちなちゃんは、もう中学生。
ベッドが冷たくなってから、3年後のお話。
今日も皆が寝る時、僕達は起きる。
僕は、ちなちゃんの椅子。
あの子はソファ、
彼は人形、
あいつらは文房具。
彼は今日も不満を言う。
ちなちゃんは最近、お母さんとケンカして、
彼を蹴る。
あの子を蹴る。
あいつらを投げる、捨てる。
ちなちゃんは、人間に優しい子って言われてるよ。
どうして僕達は……?
ちなちゃんが、今日も寝る。
僕達が起きる。
「もうこんな所、出ていく!」
「僕も!」
「私も!」
皆が動き出す。
開けっ放しの窓、
あいつらはベランダに出た。
ベランダの隙間から、あいつらが落ちる
この部屋は、マンションの五階
あいつらは、もう帰ってこない
優しい子、ちなちゃんは、
文房具が無いから買い換えた。
この部屋にいる魂は、だんだん
少なくなっている。
いつか、この部屋の魂は
全て消滅するだろう。
このシリーズ、またちなちゃんの部屋について書いてますね。いい加減他の所にしたいです。
感想、できればお願いします……