虐殺物はお好き?
会話の無い一室。
マウスホイールを転がす男と、寝転んで携帯ゲームに興じる少年。
ふと、男が口を開く。
「・・・虐殺物って、意外となろうの住人に受けそうだよな。」
少年が一瞬硬直し、直後操作ミスをしたらしく悲鳴を上げた。
「で、なんでそんなかっ飛んだ結論が出て来たんだ?」
ゲームを置いて向かい合い、まずは経緯の確認から始まった。
どうしてその結論に至ったか、の確認は重要である。
「虐殺物の要素を抜き出してみると、だ。
・虐殺される存在は、人間よりは弱い。人語を解する程度の知性はあるが愚か。
これは、まぁ必然だな。ぶっちゃけ、人間より強かったり賢かったりしたら虐殺物として成立しない。
人語を理解する必要は後の方で出てくるからここでは保留で。
・虐殺される存在は、基本的に下劣かつ有害。人間を見下している事が多い。
これも、まぁ必然だな。有害な生物を駆除することに抵抗を持つ人は、あまり居ないだろ?
それに、性格が下劣なら尚更虐殺も妥当な行動なのだと感じやすくなる。
害獣が人間に「奉仕しろ。食料を差しだし家を明け渡せ」とか言って来たら・・・なぁ。
・虐殺の流れは数タイプ。娯楽、制裁、無知。
虐殺そのものを娯楽として楽しむタイプ、
被害を受け制裁として虐殺するタイプ、
無知ゆえに生態などを理解せず結果的に虐殺となるタイプ。
基本的にこの三タイプが多いらしい。なろう受けしそうなのは制裁タイプ。」
後は、などと指折り数えあげようとする男を少年は制止する。
ほぼ全項目に『虐殺』とかついている事もあり、聞いていて嫌になったらしい。
「要素抜き出しはもういいからさ。なんで受けそうと思ったかだけ簡潔に。」
「感想欄を見てる限り、一部のなろう住人はざまぁ・制裁的な流れを好む。
そして、その中でも過激な層は『主人公を誤解・意見が対立した』だけで制裁される流れを求める。
だったら、最初から『制裁される存在』が当然のように存在して制裁される虐殺物は受けるかなぁと。」
「・・・なぁ。お前、最近の睡眠時間どれぐらいだっけ?」
やたら内容が過激だし、論調も強引な事に少年はふとあることを予想し、確証を得る為問いかける。
男は、急な話題の変化に首をかしげながらも答えた。
「平均して三時間くらい」
「寝ろ」
人は、睡眠時間が足りないと攻撃的になるという。
案外、過激な感想を書く人々も睡眠時間が足りていないのかもしれない。
「・・・いい話で〆ようとしてないで、さっさと寝ろ。」
・・・強引過ぎたらしい。
尚、虐殺物を読んだ結果受けたあらゆる損害に関して自分は責任を取りません。
虐殺物は精神的に大きな損害を受ける作品も存在します。
閲覧する際は、心の準備をしておく事をお勧めします。
あー、まだ気持ち悪い・・・