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こんな夢を観た

こんな夢を観た「テレポート・アイテムを拾う」

作者: 夢野彼方
掲載日:2014/08/01

 角のゴミ収集場所に、携帯端末のようなものが捨てられている。拾ってよく眺めてみると、ディスプレイに赤と青のボタンだけが表示されているのだった。

「なんだろう。アプリなのかな」

 試しに、赤いボタンを押してみる。液晶に数字の羅列が現れる。ぎっしりと並んでいるので読みづらい。

 歩きながら、今度は青いボタンを押した。すると、さっき拾った場所へ、一瞬にして引き戻される。

「えっ?!」まるで、ビデオの巻き戻しのようだった。


 数歩下がって、もう1度青ボタンを押す。再び、同じ場所へと瞬間移動する。

「これって、テレポート・アイテムじゃないかっ」わたしの胸は、一気に高まった。すごいものを拾った。

 それにしても、なぜこの場所にばかり移動してしまうのだろうか。このアイテムが送信機だとしたら、どこかその辺に受信機が設置されているのかな。


 赤いボタンを押してみる。表示されている数字が書き換わった。相変わらず、何を意味しているのかさっぱりわからない。

 10メートルばかり離れて、青いボタンを押してみた。ゴミ収集場所の前まで飛んできたが、さっきとはちょっとだけ位置がずれている。

「ははあ、そういうことか!」わたしは気がついた。

 赤いボタンは、現在立っている場所を記録するものに違いない。表示されている数字は座標なのだ。


 どこか、手頃な実験場所はないか、とあたりを見回す。

 数軒先に、5階建ての古いビルがあった。わたしは中へと入り、屋上までの階段を駆け登る。

「ここで赤を押すよね」数字が瞬時にして変わる。「降りていって、今度は青を押すとするよ」

 わたしは下まで行って、ボタンを押した。

 パッと屋上に戻ってきている。

「すごいっ。こんないいもの拾っちゃって、今日はラッキーだぞ。それにしても、前の持ち主は、なんだって捨てたりしたんだろう?」


 道々、どう使いこなしてやろうか、などと考え事をして歩いていたため、ぽっかりと開いた穴に気づかず落ちてしまった。

「わっ、わぁーっ!」

 幸い、尻もちをついただけで済んだけれど、けっこうな高さのため、這い上がるのは不可能だ。

 でも、今のわたしにはこのテレポート・アイテムがある。最後に座標を設定したのは、たしかコンビニの前だった。

 慌てず騒がず、わたしは青ボタンをポチッと押す。


 ところが、何も起こらない。

「あれ……」

 何度押しも、瞬間移動どころか、微動だにしなかった。

「まさか、圏外なの?」液晶に電波状況を示すアイコンなどない。そういう問題ではないようだ。

 座り込んで、じっと考える。

 コンビニ前は、どんな様子だったっけ? そうだ、往来なので、かなり混雑していた。

「つまり、転送先に人が立ったままなんだ。障害になって、テレポートできないのか」

 たぶん、携帯で長話でもしているのだろう。誰だか知らないが、本当に迷惑だ。


 ほかに方法はないかと、逆さまにしたり裏返したりしているうち、ボールペンの先ほどのボタンを見つけた。

「リセット・ボタンかも。工場設定値に戻せば、もしかしたら地上に出られるかもしれない」

 わたしは、爪の先でリセット・ボタンを突いた。

 数字がザッと流れる。0にはなっていないので、どこかへテレポートできるはずだ。

 ちょっとだけためらった後、青ボタンを押す。


 ゴミの収集場所の前だった。

「こういうのって、あんまり頼りすぎると危険なのかもしれないな」

 考えた末、わたしはそのアイテムを元の場所へと投げ捨てた。

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