「その気持ちが空回りしてしまった」 by黒田健太
俺は新田の誘いを断り、帰宅しようとしていた。
その途中でコンビニに寄ってマンガを立ち読みした。
しかし全然内容が入ってこない・・・
「野球かぁ・・・」
俺はつぶやいた。
俺はあの日、野球は二度としないと心に決めたんだ。
中学生のころ俺は、同級生の中でとびぬけて身長が高った。
足も速く、肩も強い。
野球センス抜群だった。
そんな俺は夏が終わり三年生が引退すると
先輩にまざって試合に出るようになった。
最初は7番ファーストだったが
気がついたら3番キャッチャーになっていた。
そして先輩も引退し俺の代になると
もちろん俺はキャプテンとなった。
4番キャッチャーだった。
俺はうますぎてミスなどしなかった。
だから他の人のエラーやミスで負けることに
すごく腹が立った。
俺は勝ちたかった。
俺は負けたくなかった。
だからチームメイトにもっとうまくなってほしかった。
その気持ちが空回りしてしまった。
俺は試合や練習で他の人がミスをするだびに
怒鳴るようになっていた。
みんなは直接俺に言ってこなかったが
きっと不満は溜まっていたと思う。
しかしチームは俺の怒鳴った成果があったのかはわからないが
とても強いチームになった。
県大会出場の有力候補だった。
そして最後の夏の大会が始まった。




