「エースの座はいただくぜ!!」 by新田剛
俺は放課後、体操服を着てグランドにいた。
ついに新入生に部活動が解禁されたのだ。
俺とツヨシはもちろん野球部に参加していた。
今は部室前に先輩と新入生が向かい合って立っていた。
先輩が4人。新入生が4人。合計8人。
当然試合はできない。
「俺はキャプテンの青木次郎だ。ショートをしている。
これからよろしく頼む」
先輩の中で一番痩せていて小柄なこの人がキャプテンのようだ。
俺たち新入生は頭を軽く下げた。
「俺は岡本翔太郎。一応副キャプテンだ。
ポジションはレフトだ」
一番ゴツイこの人が副キャプテンのようだ。
「俺は正岡伸二。このチームのエースだ」
この身長の高い人がエースか。
「星野竜也だ。キャッチャーだ。」
この口数の少なく運動できませんオーラを出している人がキャッチャーか・・・
先輩の自己紹介が終わると次は俺たちの番だ。
「俺は黒田健太っていいます。ポジションはキャッチャーです。
よろしくお願いします!」
よし完璧だ。ちゃんと敬語を使いつつ、元気の良さもアピールできた。
すると元気の良さ以外アピールできないバカが自己紹介を始めた。
「俺は新田剛!ピッチャーだ!これからよろしく!!
あとエースの座はいただくぜ!!」
ツヨシはある意味すごいと思う。いきなり先輩に喧嘩を売っのだ。
「僕は谷涼太です。ポジションは・・・
サードが好きですけど内外野どこでもできます」
いまどき自分のことを僕っていう高校生って絶滅危惧種ではなかろうか。
「俺は徳永隼人です」
「ポジションは?」
俺の思ったことと同じことをキャプテンが質問した。
「えっと・・・マネージャーです」
「「「・・・」」」
みんなの頭の上に?が浮かんでいた。
「実は交通事故で足を怪我しましてね。歩けるんですが走ることはできないんです」
足を怪我してしまっても野球部に入るなんて・・・
野球が相当好きなんだな。
「今日は部活はしないから・・・じゃあ解散!」
この野球部・・・不安要素しか見当たらない・・・




