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【真実子の他愛のない厄日】

お気に入り登録2000突破のお礼小説でございます…短いですが(汗)

本当にありがとうございました。


【岸田真実子 高校一年生、春】




 ハロー、ハロー。



 こちら、最前線からお送りしております。

 

 え~、真実子です。


 通称・ミコでございます。

 呼び名は、家族推奨――ですが、ミィコとか、ミィたんと呼ぶぐらいなら、いっそのことミコで結構です。 


 春になると、変質者が多いと申しますが、私の町もそうらしいです。 

 馬鹿というか、犯罪者予備軍が増えているらしいのですが、まさに私は現在進行形で遭遇中です。


 

 この暖かな春の日差しの中で、帽子、サングラス、マスク、ロングコートに声かけられた時点でもっと怪しもうよ、自分。



 まぁ、それはさておき、パターンどおり、がば、とコートの前を大きく開きました。


 肋骨の浮き上がるほどのがりがりの裸体に、お粗末な象さんがぶらぶらしております。

 それに靴下と靴を履いてるって、なんかマニアックだね。




 ―――で?なに?




 襲い掛かってくるんだったら、父から貰った改造スタンガンぶちかます準備はできておりますが、そのまま男は停止したまま。


 いつもなら我関せずで、通り過ぎる程度だが、今日は違う。


 休日だったので、姉と遊びに出かけておりました。

 帰宅に向けて最寄の駅に向かう途中で近道のために人通りの少ない道へ。

 

 そこで、変質者の登場。


 姉が、にっこり―――そう、にっこりと背筋も凍るような壮絶な微笑を浮かべた。


 ……目が、笑ってない、姉。



 

「ぐぁあっ!!」




 私がそう思うとほぼ同時に、姉の美脚から繰り出された猛烈なハイキックが変質者の無防備なコメカミに叩きつけられました。


 パンプスで放たれたとは思えない衝撃に、よろける変質者。

 

 そして、抵抗のない変質者に対して、今度は姉の腕が振りかぶられた。



 

「――――っ!!」




 手にしていた頑丈そうなエルメスのバックの角が変質者の象さんを直撃。


 変質者は悲鳴を上げることなく、今度こそ崩れ落ちた。

 


 ひとつ息をついて姉は冷静に、警察に連絡した。

 やってきた警察官に、うるうると必殺の上目遣いで、変質者が『怖かった』だの、『気が動転してて』だの言いながら、体を縮こまらせる。


 調書やら何やらが終わり、泣き落として警察官を誑し込む(?)と、パトカーで自宅まで送ってもらった。



「よかった…帰りの地下鉄代、浮いたわね♪」



 警察官に礼を言って、玄関を扉を閉めた姉の第一声である。


 姉の凶暴さと、恐るべき変わり身の早さと、がめつさに私は乾いた苦笑を返した。

 それから、喉から出そうな言葉を飲み込んだ。




 ……あれ、過剰防衛、だよね?




 後日、くだんのエルメスのバックを質に出すと、新たなグッチのバックを買うために、私たちは懲りずに週末に街中に出向いた。


異世界トリップ前の姉と妹でございます。


妹→害がなければ、関心なし

姉→即抹殺


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