業者に頼めば大体なんとかなる
食卓ーーー
ガツガツモグモグモグモフモフ
親父「ハムカツうめぇー、あ、ちょいソース取って」
俺「・・・親父、ちょっといいか?」
親父「ん、なんだ。モグモグ」
俺「明日、学校で三者面談があるんだけど」
親父「もぐ、へえー」
俺「来ないよな。つうか来れないよな?」
親父「いや普通に行くけど」
俺「来るのかよ。壁に埋まってんだぞお前」
親父「もぐ。・・・ふう、お前もまだ若いな」
俺「ほっぺに米粒つけてる奴に言われたくねーよ。で、大丈夫なのか」
親父「そんなもんお前、業者の人に頼めば一発だよ」
俺「また業者かよ、だからそんな業界ねえよ」
親父「まあお父さんに任せておけって、そんなことよりだ」
俺「何だよ」
親父「そろそろソースとってくれない?」
俺「・・・」
俺「やだ」
親父「ひどい」
* * *
ーーー当日、学校
俺(本当に来るのかよアイツ)
先生「お父さんは普段何をしている人なの?」
俺「基本的に壁に埋まってますね」
先生「へー、壁に。良いお父さんじゃない。大切にしないとだめよ?」
俺(この先生もよくわかんねー人だよな)
「チワーッス!お届けにまいりましたー!」
俺「ん、誰だ?」
ガラガラガラガラ
親父「おーう、待たせたな、あ。先生どうもこんばんは」
先生「こんばんはー」
俺「壁ごと持ってきやがった!!おまっ、くり抜いたのか、家の壁くりぬいたのか!」
親父「ああ、この業者の人が全部やってくれたよ。すごい手際よかった」
俺「マジかよ」
業者「チワーッス!じゃっ自分はこれで、ありがとうございましたー!」
俺「おい待てお前。何の業者だ、お前何の業者だ!おいって!」
業者「チワーッス!またのご利用をお待ちしておりやすー!」
シュダッ
俺「速っ。もう見えなくなった・・・。何者だよあいつ」
先生「へーえ、ガッシリしてて立派なお父さんですねぇー」
俺「順応速すぎだろ先生。戸惑えよ。もう少し戸惑えよ」
親父「いやー、昔は野球に打ち込んでたものでー」
俺「ちげーよ。ガッシリしてんのは壁だよ。ほとんどコンクリだからだよ」
先生「肩幅とか2メートルはありますもんねー」
俺「聞けよ」
* * *
懇談終わり
親父「いやー先生、今日は楽しかったですよ」
先生「お父さんもお話上手で~、あっ、さっき言ってたビデオ。今度お渡ししますね」
俺「ほとんどお前らが雑談してただけだったな」
先生「それでは私はこれで。さようならー」
俺「はいはい、さようならー。」
親父「はっはっは。良い先生だったじゃないか。美人だし」
俺「うるせえ、鼻の下伸ばしやがって」
親父「はっはっは」
俺「ところでお前。どうやって帰るんだよ。俺は運ばねえぞ」
親父「ああ、もう呼んである」
俺「は?」
業者「チワーッス!お迎えに参りましたー!」
俺「またお前か!」
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