プロローグ 心からの望み
僕は、田舎者のインキャだ。JKの笑い声を怖がるレベルのインキャだ。インキャとは一口に言っても、2次元に恋しているとか、そういうのではなくて、ちゃんと3次元に惚れる。はぁ、クラスで一番の美人JKみたいに誰にもバカにされないJKに生まれ変わりたいな。
7月、太陽の照りつけるトカゲが干からびてしまうような炎天下のもと、僕はいつも通り学校へ向かい、学校が終わるとトボトボと家まで徒歩で向かう。
言霊というか、祈れば叶うというかを僕は信じていて、2016年に公開されたある有名映画に影響されて、神社を抜けて鳥居をくぐって階段を少し降りたところから1日一回、学校がある日は毎日「来世は超絶可愛いJKにしてくださーーーい!!!」と心から叫んでいる。
今日も、僕はいつも通り叫んだ。
いつも通り、何も起こらない。と、思いきや、階段が七色に光っているではないか。これは幻覚か、と思い頬をつねった。痛い。これは現実のようだ。
雨が降った後にかかる虹と違い、まだ光を保っている。まさか、この階段を僕がくだるまで光続けているとでも言うのか。
のぼるか、くだるかで運命が変わりそうな気もしたが、僕はなんとなく鳥居をくぐったら何か縁起の良いことが起こるのではないかと思い、振り返って通ってきた階段をのぼった。
「うわっ!」鳥居に入った瞬間、僕は光に包まれた。