表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/30

駿河へ9

9

お時とダイガシが旅に出て3日が過ぎた。そして辿り着いた街道は、戸塚宿だった。


今まで見たことがない建物がたくさん建っていて異国の人々が住んでいる、そんな街。


川を取り囲むように桜並木があり、満開にはまだ早いがポツポツと花が咲いている。


この街へ入ってからダイガシがずっと横に居る。いつもは先々と歩いているのに何故だろう。疲れちゃったのかしら?お時は不思議に思いながらも歩いている。


「お時さん、この街では俺と夫婦のフリをしてください。なので今日は俺も宿に泊まります。」


「わかりました。何か理由があるのですね。」


「はい。桜が咲いてきたので、夜桜に酔った人が結構厄介だったりするんです。夫婦となれば守れますからね。」


「この街だけですか?」


「桜の花が散るまでは、夫婦のフリをしてください。」


「わかりました。で、具体的に夫婦とはどんな風にしたらいいんでしょう?」


「そうですねえ、とりあえず俺についてきてください。離れずにいつも横にいれば夫婦っぽく見えるんじゃないでしょうか。」


「なるほど!わかりました。でもダイガシさん、ダイガシさんって呼ぶの、可笑しくないですか?」


「俺の名前は辰です。親分の一文字をもらってつけてくれた名前なんですよ。小さい頃に独りぼっちになった俺を拾って育ててくれたのが辰五郎親分なので。」


「辰さん。」


「お時。って呼んでいいですか?」


「はい。辰さん。」


2人、目を合わせてにっこりと笑い合った。その姿は本当の夫婦のように見えたのだった。

10へつづく

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ