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駿河へ8
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季節はとうとう暖かくなって、桜の蕾が咲き始めた。鎌太郎はお花の住む駿河へ旅に出ることを決めた。
そしてその事を兄弟分、子分達に話した。みんなその事を喜び、やっと腹が決まったか!と安堵した。前は兄弟分の太郎と不動と共に旅したが、今度の旅は三下の喜助と共に旅をする。
一家はダイガシ2人と兄弟分に任せる事になった。
旅支度も万全に、皆んなに見送られ、鎌太郎と喜助は駿河を目指して一家を後にした。
木に一輪の桜が咲いている。あともう少ししたら満開になるだろう。
「親分、速いですね。」
「そうだな。早く行かなくちゃと思うからかな。喜助、着いて来れるか?」
「はい!俺は元気だけが取り柄です。」
「ハハハ。」と笑ったが、喜助は決して馬鹿でもなければ、ちゃんとしている。しっかりした良い子分である。気遣いのできる頭の良いところもある。だから喜助を旅に連れてきた鎌太郎であった。
9へつづく