駿河へ7
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「ダイガシとお時さんはどの辺りまで着いたのかねぇ?」と、辰五郎の親分の女房のおかみさんが辰五郎の耳かきをしながら話している。
辰五郎親分は、おかみさんの膝枕で耳かきしてもらいながら、「そうだなぁ、戸塚あたりまで行ったかなぁ?」と答えた。
「ダイガシはまだ独り身だったかねぇ?」
「何歳になったかなぁ?ウチの一家に来たのが6つほどだったなぁ。」
「そうだったねぇ。小さい頃に独りぼっちになって親戚も居なくて行くとこなくて岡っ引きの親分さんから頼まれたのよね。」
「ここへ来て、大人しか居ないなかで育っちまったから、子供らしい子供ではなかったけど、良い男に育ったよな。だからダイガシなんだけどな。ハハハハ。」
「私たちにしたら息子みたいなものだからね。そりゃダイガシになるわよね。あなたちゃんとお金あげたの?」
「財布ごとあげた。」
「中身ちゃんと入ってたの?」
「たぶん大丈夫だろ?」
「たぶんじゃないわよ。」
「街道の兄弟分に手紙だした。」
「あら、そうなの?良かったー。じゃあ安心ね。」
「ああ、何かあればちゃんと面倒見てもらえるだろ。」
「それはそうと、鎌太郎親分には手紙だしたの?」
「いや、それはあの2人に任せている。」
「あんたのそういうとこ、好き。」
辰五郎親分は、黙ってニコニコと恋女房のおかみさんの膝にあたまを乗せて眠るのだった。
その頃、ダイガシとお時さんは辰五郎が予想したとおり、戸塚宿へと辿り着いたのだった。
8へつづく