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駿河へ

1

大切なことというのは誰にでもある。それは物だったり、人だったり。胸に温かいものが流れて、それはいつの間にか力へと変わる。


それは、なくてはならないものだけど、無くしてしまうこともある。


芝居小屋の一件があり、鎌太郎は変わった。


何がどう変わったという訳ではないが、何かが違う。それは子分達だけではなく、兄弟分達にもわかる。


寒い雪の季節が終わり、春が訪れて花が咲いたら、迎えに行こうと決めていた。しかしその時、もしかしたらお花はもう居ないかもしれない。それでもいいかと思うのは、たぶん、待っているような気がしてるからだろう。


鎌太郎は、まだ肌寒い今を過ごしている。でも花の蕾が少しずつ膨らんでいるのを知っている。それは冬が好きと言ったある人が教えてくれた。


「冬のあいだにもちゃんと蕾は成長しているのよ。ほら、また少し大きくなった。」


そう言って楽しそうに壺を見ているその顔を思い浮かべて少し笑った。


「こんな時、あの2人がいたら、どんな顔するだろう?」


「親分、あの2人って誰です?」


三下の喜助が親分に聞いた。


「あー、大きな独り言だよ。気にするな。」


「そうですか?気になりますねぇ。」


「気にするな。」


まだ春来ない昼過ぎに、鎌太郎は春の訪れを待つのであった。










2へつづく

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