自衛官
「山田さん!役所の者ですが…。」
午後一番で役所の人がやってきた。
「はい。」
俺はまあ、おかしくない格好で外に出る。
扉を開けた時、中にいるシルのことが見えたのか、役所の人は頭を抱えていた。
「とりあえず、ここではなんですので近くの自衛隊基地までご同行お願いします。」
…そして、俺はあれよあれよと対応しているうちに自衛隊で働くことになっていた。
「あなたが生きる道がそれしかないんですよ。日本でダンジョンボスを連れて歩いてたら普通に捕まりますからね。今、法も整備されてます。」
自衛隊のお姉さんに注意を受けてしまった。
「しかし、スキルコピー系はスキルコピー系を持っている人には効かないんですね。一応あなたに試してみたんですが…。では、私はこれで失礼します。」
「あ、待ってください。シルのスキルはどうですか?」
俺は純粋に気になって試してもらいたくなった。
「ああ、シルさんの方はスキルコピーできるかもしれませんね。やってみていいですか?…出来ました。強者のいかくが手に入りました。上官に報告してきます。」
その報告のおかげで、俺は、自衛隊で月給40万のボーナス付きが約束された。
さて、俺の所属はダンジョン課である。
上官もいるが、暇である。
まだ、ダンジョンに潜るための法律出来てきないためダンジョン実地に行けないのである。
退屈しのぎにシルと二人で睡眠霧で睡眠耐性をつける訓練をしていたら、睡眠騒ぎになって上官に反省文を書かされた。
そんな暮らしをしている時、ダンジョンの外にモンスターがあらわれたというニュースが目に飛び込んできた。
上司はそのニュースを休憩室で、嫌そうに見ていた。
上司が言うには、俺にきっと声がかかるとのことだった。
そして、声がかかって向かったのは渋谷。
交差点の真ん中に1体のモンスターが寝ている。
自衛隊の鑑定の結果はガーゴイル。
硬化スキルで歯が立たないらしい。
俺は、スキルコピーで硬化(極小)をもらいつつ、物理打撃ダメージ半減で、相手の攻撃をさばいて、飾りの羽を毟り、首を折って倒した。
千葉の成田空港に出たケルベロスは咆哮(極小)のスキルをコピーして、シルと一緒に素早さで翻弄して倒した。
猪苗代湖に出た鬼のモンスターは、狂化(極小)のスキルを手に入れて、正面から殴り合って倒した。
そうして、ダンジョン課の日常を送っていると自衛隊員の人たちにも目に見えて強くなっている人が増えてきていた。
垂直跳びで2mとか出来る人は、絶対に何かのスキル持ちである。
多分、どこかのダンジョンで鍛えているのだろう。
羨ましい。
ダンジョンクリア者への講習会も開かれた。
メンバーは俺を含めた15人。
高校生男子3人。
大学生男3人、大学生女2人。
自衛隊男4人、自衛隊女2人。
と俺である。
本当は、もう1人高校生の子がいたらしいが、スキルを使って街の不良とケンカして捕まったとのことだ。
完全に反面教師役である。
「というわけで、来月からダンジョンの一般ライセンスを発行したいと思っているので、色々なダンジョンの情報を集めて欲しい。」
班分けは、俺と高校生3人組。大学生女2人と自衛隊女2人の女性組、大学生男1人と自衛隊男1人の2人組が3班分の合計5班だ。
「宮島大輝です。」
「大島武です。」
「島崎通です。」
「ああ、俺は山田一郎です。楽しくやりましょう。」
高校生3人組は、どういう因果か、シルの強者のいかくを偶然獲得したので、俺と一緒にシルのようなテイムモンスターを増やしていくテイム組になったのだ。
高校生との会話とか久しぶりすぎて何を話していいかわからん。
「えっと、3人は今、夏休みだっけ?」
「そうです!なので、できれば楽しい所に行きたいです!」
「俺は出会いがある所希望です!」
「海がいいです!」
そして、俺は旅行計画をたてるのだった。