平穏
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石原家ではホットプレートを使わない日はない。
二年前初めて購入してからというものほとんどの料理をホットプレートで作るようになった。
たまごやき、やきうどん、やきそば、ぎょうざ、おこのみやき、なべ等ホットプレートと共有した食卓は数知れず。
政頼は今日も昨日のように、戦友が垂らしいる力の源が伝わる黒い線を戦友の協力者に預ける。
今晩のメニューはじゅんじゅん。
地元滋賀の名物だ。親戚で集まる時は必ずテーブルの真ん中に鎮座する大物だ。
政頼はじゅんじゅんが大好きだ。味もそうだが、何よりもそれを食べながら家族と笑顔を分け合うのが大好きだった。
もちろん政頼のその記憶には春も作り笑いを浮かべている。
春は他人と群れるのを嫌っていた。それは家族だろうが関係なかった。周囲の人間からは天才と崇められていた。
確かに彼は天才だった。四歳にしてテイラー展開をマスター五歳で飛行機を設計。小一の時ペンタゴンのコンピューターに侵入し国防長官から
表彰された。極め付けには、最年少でノーベル賞受賞候補にあがった。彼の天才エピソードを上げていけばキリがない。それでも彼は人と関わ
ろうとしなかった。どうしてなのかと聞いてもいつも「俺達がそうなんだ仕方ない。」と意味不明なことを返答した。
政頼はそんな兄のことを、妬みもしないし恨みもしなかった。政頼はただ家族と普通に暮らしたかっただけなのだから。
椅子に座り、じゅんじゅんを皿に盛り母と話しながら食べる。このような時間こそ政頼にとっての宝物だった。
そんな時に父親の正頼帰ってくる。正頼は母親の智代と同じ津軽出身でTHE頑固者という柄で作法等にすごく厳しく些細なことにもすごく気を
遣う。その甲斐あってか、政頼や春は礼儀や作法に関してはすごく丁寧で申し分がない。
また彼には学生時代モテた、つまり異性から人気だったという自負がある。
その為、春が異性と出かける際には高級な靴や上着を買い与え自分の言う通りにすれば間違いないと言わんばかりの形相でデートする場所や
話す内容等全ていいなりにさせた。そしてそれに政頼も便上して口を出した。玄人ぶって。
しかし春にとっては、それら全て負担でしかなかった。迷惑といった方が正しいか。
そんなことがあった日の夜には必ず春はガレージで頭に掌を押しつけ肘を机につけ、表情を曇らせ電気回路をいじっていた。
誰がそんなもの買ってくれと言った。誰が教えてくれと言った。
春の目は黄色だが、その美しい黄色を涙で薄めることも度々あった。
春が一人で生きたいと思うようになった背景にはこういったことも原因としてあるかもしれない。
勿論そんなことは政頼や正頼はこれっぽっちも気づいていない。
玄関から、扉の開く音がダイニングに響く。いつも機嫌よく帰ってくる正頼だが帰ってくるなり怒号をあげた。
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