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八十三話『囮(おとり)』

「あれは…オーガだっ!五体いるぞっ!」


「ははは、そんな馬鹿な…」

「夢じゃ…ないよな」

地面を揺らしながら近付いて来たのは複数のオーガだった。テイト達の一回りも二回りも大きな身体の彼ら。


額から前方に向けて突き出たツノ。筋肉質な赤い全身には血管が浮き上がり、木から荒く削り出したようなこん棒を手にしている。


「ちっ…数が多いな」

アルフは【完璧(かんぺき)】を展開したまま攻撃に備える。こちらに気付いたオーガ達。


オーガ達からしてみれば、この場所は普段、上の階から定期的にゴブリン達が落ちてくるところ。そろそろ時間だったので、他のオーガに先を越されないように急いで来たら、今回は初めて見るテイト達が居る。


彼らにとって取るに足らない、簡単に殺せる"食い物"でしかないゴブリンではなく、テイト達を"侵入者"だと判断したオーガ達。地面を揺らす低いうなり声を上げる。


接近し、その手に持ったこん棒を振り下ろす。【完璧】によって攻撃は防がれる。こん棒が当たった場所が一瞬光り、元に戻る。


単体のオーガからの攻撃ならば何度でも防げるが、アルフの懸念(けねん)した通り数が多すぎる。一瞬の光が連続して続く。


「そろそろ…壁が砕ける」


「!」


「準備しろっ!」


「アルフさん!僕はどうしたら…?」


「…黙って見てろ」


「…」

ここに来る前にアルフさんと話した。竜の力は極力他人に見せないように。


それと今回の鉱石場に居ないはずの魔物の出現にはアルフさんの"因縁の相手"が関わっているかも知れないらしい。


もしも遭遇したら戦闘は避けられない。僕にも戦ってもらう事になるかも知れないので、その時まで力を温存するようにと。


地面に叩き付けられたガラスが激しく割れるように【完璧】の防護壁が砕け散った。それを合図とばかりにアルフが言う。


「【捕縛キャプチャ】」


その声に応じるよう空中に複数の魔法陣が出現。ジャラジャラと音を立てて鎖が飛び出し、オーガの腕やら足やらに絡み付く。


「おぉ!スゴい!」

防護壁の周りを取り囲み、こん棒で攻撃していたオーガ達の身体を拘束した。鎖から逃れようと暴れるが身動きは取れない。


「【速脚(はやあし)】!」

ケンジは拘束されたオーガの身体を駆け上り、基本的に生き物の急所である首を狙う。


渾身の力を込めて剣を振り下ろす!しかしケンジの剣はオーガの筋肉質で硬い皮膚に阻まれ、致命傷には至らなかった。血は出た。


「くっ!やっぱり硬いなっ…!」

さっきアルフさまの表情が目に入った。汗をかき、だいぶ無理をしてるように見えた。それにこちらの攻撃もオーガには届かない。


…このまま戦っても、らちが明かない。体力が切れてジリ貧だ。剣も刃こぼれが起きていてそろそろ限界。こうなったら仕方ない。


ケンジがオーガの身体を降下しながらパーティーメンバーに言う。


「ハラダさん!撤退しましょう!」

「まさかこんなところにオーガが居るとは思わなかった!」

「逃げましょう!アルフさんがオーガを拘束してくれているうちに!」


それに対して地上に居るパーティーメンバー。五階層(ここも)これまでの階層と同じ形状のため、出口は予想した通りの方角、場所に在った。


しかし走っても時間が掛かりそうな距離。それに五階層を脱出し、四階層に向かってオーガ達が追いかけて来ないとも限らない。さらにアルフが発言。


「アタシの【捕縛(キャプチャ)】がそろそろ限界だ」

「逃げる間までは到底耐えらんねぇ」


「そんなっ…!一体どうしたら…!」

「いや…それでも逃げるしかないんじゃ?」


捕縛(キャプチャ)】の鎖にヒビが入る。その様子に全員が気付き沈黙する。ハラダが言う。

「…よし、とにかく走れ!」


「!」

「うおぉ〜!」

オーガの足の間をすり抜け、出口を目指す!みんなついて来てる?!先頭を走るテイト。後ろを振り向く!あれ?


「…【挑発(ヘイト)】」

「【大防御(だいぼうぎょ)】!」

オーガ達の視線がハラダに向く。ハラダの身体が淡く光る。


「ハラダさん?!何を?!」


「これだけの数のオーガだ、普通に逃げても逃げられない」

「俺が(おとり)になる…行けっ!」


ハラダが盾でオーガからの攻撃を受け止める。ものすごい音。【大防御】は使用者の防御力を一時的に向上させる技。


しかし、それでも先ほどまで戦っていたゴブリン達と比べて、その一撃は重く響く。顔をゆがめるハラダ。バランスを崩す。

「ぐっ…!」


「ハラダさんっ!」


ケンジが叫ぶ。助けに向かおうとするケンジ。ハラダは盾を構えられていない。それでもテイト達を逃がすため、囮になろうとする。

「ケンジ!俺の事はいいっ!早く行けっ!」


「ダメだ…ダメだ!ハラダさん!」

叫ぶケンジの姿が"あの時"の自分と重なる。オクトに親父を殺されたあの時と…。


別のオーガのこん棒が無防備なハラダに迫る!潰される!その時。オーガの動きがピタリと止まる。何が起こったのか分からないケンジ。


「!」

オーガが振り向いた!こちらを見ている!いや…?あいつらの目線の先にはテイトさん?


「…ごめんアルフさん」

「僕らを守るために、たった一人で囮になろうとしてるハラダさんを見殺しには出来ないや」


「ふん、あんな魔物に好き勝手されるのも気に食わねぇしな」

「…暴れて来い」


「スゥ〜…」

「【竜化(ドラゴナル)】」

テイトは竜に成った。

お読み頂きましてありがとうございました。


捕縛キャプチャ】久しぶりに使った


「なんか面白かったよー!」

「続きが気になった!」

と思って頂いた親愛なる読者様へ…


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