七十八話『冒険者になった理由』
「ふぅ〜ここにも魔物は居ませんね」
三階層目の奥まで来た。ここまで来ると、地上と比べて酸素が薄くなっているように感じる。ちょっと疲れてきたかも。
他の人もそうなのかな?何となく、前方を行くヒイラさんの歩くペースが落ちてきたように思う。大丈夫だろうか?聞いてみる。
「ヒイラさん?」
「大丈夫ですか?疲れました〜?」
「あっ、すみません!」
「大丈夫です!」
顔を見ると全然大丈夫そうじゃない…それに気付いたケンジがハラダに言う。
「ハラダさん、そろそろ」
「そうだな…ここで一旦休憩しよう」
「すみません…」
「ヒイラさん、謝らなくて良いですよ」
「ボクもそろそろ休みたいと思ってたんで」
謝るヒイラをフォローするケンジ。その様子を後ろから見ていたテイト。ほほえみながら。うん。"みんなで冒険してる"って感じがして良いな!荷物を持つ手に力がこもる!
…ハラダさんの提案に全員が賛成して、この場所で休憩する事になった。そのままだと暗いので、焚き火を囲み座る。パチパチと音がする。ん?ケンジがカバンから何か取り出す。
「これ何のお肉なんですかぁ?」
「どうだったかな?イノシシかな?」
冒険者にとっては必需品の携帯食らしい"干し肉"を分けてもらった。ありがとうございます。いただきます。食べてみる。
「へぇ〜モグモグモグ…」
「…うわっ!美味っ!」
「噛めば噛むほどお肉の旨味が…」
「もっちゃもっちゃもっちゃ…」
「はは!テイトさんは何でも喜んでくれて嬉しいなあー」
「?」
「もっちゃもちゃ、あの〜もちゃもちゃ…ケンジさん…もっちゃもっちゃ…」
「おい!汚ねぇな!」
「食うかしゃべるかどっちかにしろ!」
「…もっちゃもっちゃ」
「悲しい顔しながら干し肉追加するな!」
「ははは!」
「ふふふ」
テイトとアルフの様子を見ていた他の三人。ケンジとヒイラは声に出して笑ってる。ハラダも口角が上がっている。ケンジが言う。
「ははは…はぁーなんか意外でした」
「色んなウワサを聞いてたんで、なんか勝手にアルフさんをスゴい怖い人だとイメージしてたんですけど…普通の人なんですね」
「さぁ、どうだろうな…」
「テイトさんはアルフさんと仲良いよね?」
「どうやって知り合ったの?」
「何でアルフさんの荷物持ちを?」
「え?え〜と…う〜んと…」
ケンジから質問。テイトが返答に困っていると、アルフから助け舟が出る。
「あーコイツは知り合いの子供だ」
「知り合いから"のんきなヤツだから鍛えてやってくれ"って頼まれたんだよ」
ん?のんき?誰が?僕が?そうかぁ?もっちゃもちゃもちゃ…美味もちゃもちゃ。
「そうなんすね、テイトさん楽しい人だから一緒に旅するの楽しそうですね!」
「まぁ…退屈はしないかもな」
そう言った後直ぐに、ハッとした表情になるアルフ。
「いや!今のは無しだ!」
「うるせぇだけだ!コイツは!」
「もちゃ…?」
「こっち見んな!」
珍しく照れているアルフ。もちゃもちゃしながら見るテイト。ほう?"退屈はしない"ですか。嬉しいですなぁ〜!へへへ。あっそうだ。
「…聞きたいんですけどぉ」
「皆さんはどうして冒険者を?」
テイトの問いに腕を組み考えるケンジ。
「何で冒険者になったか?そうだなー」
「ボクは"憧れ"ですかね」
「憧れ?」
「ボクの両親は冒険者をやってたみたいで」「二人ともボクがちっちゃい頃にどこかのダンジョンで死んだみたいなんですけど」
「世知辛い…」
「ボクを育ててくれた祖母が、多分ボクに両親と同じ道を歩んで欲しくなくて"冒険者はこんなに危険だっ!"ってのを教えるために両親の話をしてくれたんです」
「確かに自分の子供がそんな風に亡くなってたら、そうしますよねぇ…」
「"ここではこんな事件に巻き込まれて"とか"ここではこんな魔物と戦って'とか…」
「でも祖母から色んな話を聞かされるうちに、逆に冒険者に憧れるようになってて」
「五年前に祖母も亡くなったので思い切って冒険者に…って感じかな」
「逆に?!へぇ〜」
「そんな事聞くって事はもしかして…」
「テイトさんは冒険者に興味有るの?」
「はい!」
「なんかロマンを感じるんですよね!」
目をキラキラさせ、腕をブンブン回しながら答える。
「そうか!じゃあ将来は冒険者か!」
「なんかテイトさんとは仲良くなれそうな気がする!その時はぜひウチのギルドで冒険者登録してよ!」
「う〜ん…一旦持ち帰らせて下さい!」
「はは!そこは考えるんだ!」
二人がワイワイしてる中、ハラダが口を開く。ボソリとつぶやくように。
「冒険者なんてなるべきじゃない」
「俺たち冒険者なんてケンジの親みたいにいつ死ぬか分からない危険な仕事だ」
「他のもっと稼げる仕事に就くべきだ」
「!」
「そうですか…ちなみにハラダさんはどうして冒険者になったんですかぁ?」
「俺は…」
ハラダが自分について話し出す。
お読み頂きましてありがとうございました。
皆さんはどうして冒険者に?
「なんか面白かったよー!」
「続きが気になった!」
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