七十七話『荷物持ち』
でもこのままだとおかしいよな…冒険者でもない、何も出来ないただの一般人がアルフさんに着いてきているのって…。本当の事を言う?どうしよう。そのうちバレそうだぞ…テイトが一人困っていると。
「コイツは最近雇った荷物持ちだ」
アルフさんがその場で考えたのか、それとも前から決めていたのか。素性を明かしたくない僕の職業は、最近アルフさんと共に行動して、お世話になっている"荷物持ち"と言う事になった。
「そうなんだ!だったら!」
「早速コレ!お願いします!」
アルフの言葉を受け、三人は荷物をテイトに預ける。地図、たいまつ、食料などなど。鍛えたおかげで難なく持てたのはちょっとだけ嬉しかったけれど。
"流石!職業荷物持ち!"みんなにわっしょい持ち上げられ、まんざらでもなさそうなテイト。う〜ん、でもなぁ…重たくはないが動きずらい!魔物が現れてもとっさに動けないかもしれない…。
そうだ!アルフさんの異空間にしまってもらえば…いや。それじゃあ荷物持ちじゃないってバレちゃうじゃん!口から出かけた"アルフさん!"の言葉を荷物に仕舞い込んで、みんなの後に続く。
鉱石場の内部に潜入。照明が一定の間隔を開けて設置されている。光量は少ないので先の方は見えないが。地面を見ると線路が有り、奥へと続いている。発掘した鉱石を外に運び出すための線路だろう。トロッコの線路?
前方にケンジとハラダ。その後ろにアルフとヒイラ。最後にテイトの順番で並ぶ。前を進むケンジが口を開く。前方の確認は怠らずに。
「それにしてもびっくりでしたよ」
「今回の依頼主、鉱石場の責任者から話を聞いた時に、まさかとは思ったんですが…」
「本当にあの有名はアルフさまと共闘出来るなんて!驚きです!」
「ケンジ、デカい声を出すな」
「すっ!すみませんハラダさん…!」
「…あやまる時の声もデカい」
「すみません…」
興奮気味のケンジをハラダが注意する。中に入る前に話を聞いたし地図も受け取った。鉱石場の内部は一本道。魔物が出てくるなら前方からのはず。それでも注意はしておいた方が良いのはたしかだ。
しばらく歩くと広い空間に出た。多分、鉱石場の中央まで来たんだと思う。地図を見ると真ん中あたりに広い場所が有るので。ここがそこでしょうな。
幸いここまで魔物と遭遇せずに来れた。うん。聞いていた通りだ…声を潜めるテイト。
「うわぁ〜デカい…それに深いですねぇ〜」
鉱石場の中央には大きな穴が空いている。地図では分からないが、話で聞いていたので知っていた。のぞき込むも深すぎて底に何があるのか分からない。怖っ!
この大きな穴は人工的に掘ったものではないらしい。ホロさん達小人族の祖先がこの場所を見つけた時から、この穴は空いていたそうだ。んで、内部を調べていく内に魔証石の材料である"魔鉱石"を見つけたと。
深さを調べようとした事も有ったらしいが、測定器が底まで届く前に、調べられる上限を越えてしまったんだって。
試しに近くに有った小石を拾い上げ、穴にポイっと落としてみた。…しばらく待ったが底に当たった音はしなかった。どんだけ深いの?
「わぁ〜…大丈夫かコレ…」
「行くぞ」
穴の壁面には螺旋状に、歩ける階段のような道が作られていて下へと続いている。同じように線路も下に続いている。線路をたどって行けば、発掘場所まで行けるはずだ。進む進む。
もう一枚受け取った地図を見ると、現在この鉱石場で探索が進み、発掘作業を行っている場所は地下6階層目にあたる。今回目指すのもそこだ。螺旋の道を一周したら一階層下にってイメージ。とても大きな穴なので、一周するのも大変だけれど。
地下一階層部分に着いた。進める道は二つ。更に下の階層に続く道と、採掘を行うために開けた道が壁の奥に続く。あれ?壁の奥に続く照明が消えている?
「もう採掘作業を行なっていない階層なので、照明を切っているんですかね?」
「いや担当者は"照明を全て点けておく"と言っていた、もしかすると…」
「ごくり…」
報告だとここには魔物は居ないはず。だけど、念のため確認する事になった。盾を構えたハラダを先頭に内部へ。照明が機能していないので、たいまつを点けたケンジが先を照らす。
「…ふぅ〜何も居ないみたいですねぇ〜」
壁の奥まで行って確認したが何も居なかった。照明は壊れていたのだろう。安心してフニャフニャの表情になるテイト。
「気を抜かないように」
「先に進む」
「はっ、はい!」
「…静かに」
「!」
ハラダに注意されシャキッとした表情に戻るテイト。地下二階層を目指す。
お読み頂きましてありがとうございました。
光が届かないくらい暗い洞窟って本当に怖そう…
私は無理ですな。
「なんか面白かったよー!」
「続きが気になった!」
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