七十六話『職業って?』
鉱石場に入る前に、入り口でお互いに自己紹介。一人目はさわやかな若い男性から。
「冒険者ギルド所属のケンジです」
「職業は剣士です、よろしく」
「どうもぉ〜」
お互いお辞儀。続いてヒゲの男性。会った時から不機嫌?ムスッとしている。ケンジからうながされる形でしぶしぶ自己紹介をする。
「…重戦士のハラダだ」
「パラディン!」
「って何ですか?」
「…」
あれ?無視された?辺りが静かになる。沈黙に耐えかねたケンジが口を開いた。
「パラディンて言うのは職業の一つで戦闘時は前に出て、パーティーメンバーへの攻撃を大きな盾で防いでくれるんですよ!」
「へぇ〜!」
確かによく見るとハラダさんは、背中に自身よりもだいぶ大きな盾を背負っている。モンスターとの戦闘時はあの盾で攻撃を防ぐのだろう!カッコいいじゃん!
「えーっと、そうだ!それと、ハラダさんとボクは同じギルドに所属してるんですよ」
「ハラダさんはボクの剣の師匠なんです!」
「へぇ〜〜!」
「よろしくでぇす!」
最後に僧侶っぽい衣装に身を包んだ女性。僕よりは年上?ケンジさんよりは年下かな?表情はどこか緊張しているように見える。
「あっ、あの!わたしはヒイラです!」
「お二人とは別のギルドから来ました!」
「職業は僧侶で回復魔法を使えます!」
「よっ、よろしくお願いします!」
深いお辞儀。頭と足がくっ付くくらい。こうなるとお辞儀じゃなくて、ストレッチなのでは?…そして長い!時間が!戻り方忘れた?いや、良かった戻って来た…顔赤くなってる。
「お願いしまぁす!」
「…あのぉ一つ質問しても良いですか?」
「?」
「何ですか?」
「皆さんが言ってる"職業"って何ですか?」
「…あぁ!そう言えば鉱石場の責任者から聞きました!お二人はギルドには所属して無いんでしたっけ?」
「だったら知らないか!」
"どうせ鉱石場の中は暗いから、急ぐ必要もないだろう"との事で、ケンジが職業についての説明をしてくれた。
「職業ってのは、冒険者ギルドで使われてる"ギルドカード"に記載する項目の一つで、ざっくり言うと"その人が何を出来るのか"が一目で分かるものですね」
「ふむふむ」
「初めて会う人とか…そう、今日みたいに他のギルドの人とチームを組む時とかに、自分が何が出来るのかが相手に伝わるんで便利なんですよね」
「それに依頼によっては"この職業限定!"とかの依頼を受注出来る条件があったり…」
「ほらこれがギルドカード」
ケンジが見せてくれたのは、薄い金属質のカード。名前のすぐ下に職業の欄があってそこに"剣士"と書いてある。おぉ!ギルドカード初めて見た!ロマン感じるねぇ!
「職業かぁ〜カッコいいですね!」
「はは!そうかな?」
「カッコいいなんて初めて言われたな」
「ちなみに職業は自分で付ける場合と、ギルドマスターが直接付ける場合があるんだけど、知らないよね?」
「へぇ!知らないです!」
「ボクの職業の剣士とか、ヒイラさんの僧侶とかは"一般職"って言われてて自分達で付けられるんだけど」
「ハラダさんの職業パラディンとかは"上級職"って言って.ギルドマスターが直々に認めた人にだけ付けてくれるものなんだ!」
「へぇ〜!」
一般職と上級職って言う物があるんだな!剣士は剣で戦う人だろうし、僧侶は回復が得意そうだし!確かに分かり易い!
「別に剣士とか魔法使いとかじゃ無くても良くて、職業名は自由に決めてオッケーだよ」
「でもあんまりヒドイ職業にすると、カードを作る時に却下されるけどね」
そうなんだ!職業かぁ…自分達だったら何てつけようかなぁ〜?想像してみるテイト。
アルフさんは…?
『自己紹介?面倒くせぇ…はぁーアルフだ』
『職業は召喚士、以上』
"召喚士"だろうな。アルフさんは有名人だから自己紹介の必要もないだろうけれど。うん。
ミルフだったら…?
『オレはミルフっす!職業は主婦っす!』
『間違えたっ!こっちの主夫っす!』
料理も裁縫も上手だし、ミルフの職業は"主夫"だろうなぁ〜ふふ。
トル爺だったら…?
『ワシはトルトス』
『こう見えても職業はカメじゃ』
"カメ"だろうな。どう見ても。うんうん。魔法使いでも良いかも。そっちが本命。本当は。
ネルカは…?ネルカは何だ?ずっと異空間に居るみたいだし。あれ?そう言えばしばらく会ってないな?元気かな?この依頼が終わったらアルフさんに聞いてみよう。うん。
ヨロイさんは…剣士?いやハンマーが武器だから"戦士"かな?…そう言えばこれまで一度もヨロイさんがしゃべったのを聞いた覚えがないな。呪いの鎧って言ってたっけ?ネルカの事と一緒にアルフさんに聞いてみよう。
僕は…?僕の職業って?僕って何なんだろう?
「…おーい?お兄さん?」
「…はっ?!」
「どうしました?ぼーっとしちゃって?ほら!最後はお兄さん!」
「自己紹介!お願いしますよ!」
しまった!想像している間にアルフさんの自己紹介が終わって、僕の自己紹介の番が回って来てしまった!
「僕はテイト・ノガールドです」
「職業は…まだ分かりません」
「ははは!別にギルドの人じゃないんだから職業は必要ないんですよ!」
「テイトさん面白いなぁ!」
「へへへ…」
全員の自己紹介が終わり、恥ずかしそうなテイトと笑ってるケンジ。二人はテイトが自己紹介で"ノガールド"と言った時、ピクリと反応した人物が居た事に気づかなかった。
お読み頂きましてありがとうございました。
どんな職業か良いかな?悩む…
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