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六十三話『アバルキ』

「ほら見えたぞ、あそこだ」


「?」

「おぉ!本当だ!」

黄色い鳥、タクシーの背中から地上を確認。ここまでずっとタクシーの背中に乗せてもらって来た。その間は小さな島と海しか見えなかったが、遂に大きな島が見えた!


いや…島と言うより大陸だな。広い大地が続き、遠くの方は見えない。ゆっくりと高度を落とし、降下する。無事着陸出来た。


「タクシ〜ここまでありがとねぇ」


「ピヨピヨ!」


「…うわぁ〜大きいな〜」

上空から見ていた時は、その大きさが分からなかった。目の前にそびえ立つ金属質の壁。これまで訪れて来たロブノーやネグナ、ティリフの町とは比べ物にならない大きさだ!


外から中の様子が確認出来ない。耳をすましても音が聞こえない。こんな大きな場所だから、人が一人もいない事は無いだろうし…不思議。それにこの町?へは何をしに来たのかしら?アルフさんに聞いてみる。


「この街に来た理由?…説明面倒くせぇ」

毎度同じく面倒くさそうなアルフさん。説明のために異空間から呼ばれたミルフ。


ミルフはここまで僕達を運んで来てくれたタクシーを(ねぎら)う。タクシーは異空間へ戻った。その後、嫌な顔一つせずに説明を始めた。


この国は名前を"アバルキ"と言う。ミルフによると、ここでは"魔証石(ましょうせき)"と呼ばれる特別な水晶の石を作ってもらえるそうだ。


魔証石とは"魔動式能力証明用水晶石"の略。今回アバルキに来た目的も、僕用の魔証石を作ってもらうため。町から町や国から国、町から国等の移動をする時に、身分証明のために提示する必要がある物。


その前に国って何?町と何が違うの?気になってミルフに聞いてみた。

「オレもそこまで詳しい訳じゃないんすけど…」


ざっくり言うと領土の大きさと、そこに住む人の数が違うらしい。いくつかの町が集まると国になる?町よりも国の方が規模が大きいと。ふ〜ん。了。


本当はこれまでも魔証石は必要だったみたいで。これまで訪れた町、ロブノーは親父の子供と言う事で。ネグナとティリフでは領主が親父やアルフさんの顔馴染みだったのと、二人に恩があるとの理由で、手続きのみで入国させてもらっていた。


しかし、これから向かう事になる国々ではそうはいかない。ここから先向かう場所は町よりも大きな国が増える。そうなると身柄のチェックも厳しくなるようで。


その人物の存在が自国にとってどれほどの影響を与えるか。良くも悪くも知っておくために。そのためにも入国時、魔証石の提示が必要となる。


ちなみにアルフさんの召喚獣であるミルフやトル爺は、国内に居る間に召喚士のアルフさんから離れなければ入国する時に魔証石の提示は必要無いそうだ。


一応、それぞれ魔証石は持ってるみたいだけれど。普段使わないので異空間の自分の部屋に保管してあるらしい。


アルフさんも例に漏れず魔証石を持っていた。面倒くさそうな様子だったけれど、見せてくれた。


ミルフ達と同じくアルフさんの魔証石も、普段は異空間に保管してある。こぶし程の大きさで、丸く平べったい水晶だ。


魔証石を作ってもらう時、指輪やネックレス、ブレスレットなど、持ち主が望む形に加工を施してもらえるようだが"どうせ異空間に置いておく"と言う事で丸く切り出したそのままの形で、受け取ったんだって。…加工にお金が別途掛かるのも嫌だったらしい。


色は紫色。魔証石の色は持ち主の能力に応じて変化する。魔力とか筋力、体力とかの総合値によって。紫色は…どうなんだろう。詳しく無いので分からないけれど。


魔証石には他にも効果が有るらしいが、その辺の説明はアバルキの入り口に併設する"魔証石センター"の係員に聞いた方が良いだろうと言う事で入り口に向かった。

「説明ありがとうねぇ〜」


「へへ、どういたしましてっすよ」


魔証石センターの(とびら)の前に立つと、何もしていないのに扉が勝手に開いた。中に入る。そこは小さい部屋だった。


部屋の奥にもう一枚の扉。机が置いてあり"受付こちら"と書いてあるが、人の姿は無いようだ。誰か来るのかな?待っていると。

「コンニチハ」

「コチラ マショウセキセンター」

「ウケツケニ ナリマス」


「!」

ん?誰も居ないのに声がした?キョロキョロと辺りを見回す。その様子を見ていたミルフ。


「テイト、ここには誰もいないっすよ」

水晶に音声が記録されてて、誰か来たら自動で再生されるようになってるんす」


「ほぇ〜」


「ホンジツ トウセンターニ」

「イラッシャッタ リユウヲ」

「オシエテ クダサイ」


音声に対してミルフが答える。

「新規で魔証石を作りに来たっす」


「ワカリマシタ」

「キケンブツヲ ショジシテ イナイカ」

「スキャンヲ オコナイマス」

「シバラク ソノママデ オマチクダサイ」


「ふ〜ん、このまま立ってればいいの?」


「そうっすね、このままで」

少しすると"フォンフォン"と小さな音が部屋の中に響く。これがスキャンなのかな?しばらく待っていると音が止んだ。


「…」


「…あれ?」

どうしたんだろう?スキャンは終わったっぽいんだけれど。次の案内音声が聞こえてこない?放置?ミルフに聞こうとした時、奥の扉が開く。誰かが飛び込んで来た。


「アルフさん!」

お読み頂きましてありがとうございました。


魔証石はツルツルしてます。


「なんか面白かったよー!」

「続きが気になった!」

と思って頂いた親愛なる読者様へ…


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