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六十二話『頼み事』

修行十日目。はい、おかげさまで"竜化のコツ"掴めましたよ。そろそろフォスさんとお別れ。崖の前に集合。


「コイツに修行を付けてくれて助かった」

「約束はしっかり守るからよ」


「約束?何でしたっけ?」


「オマエなぁ…"たま"を取り返すって条件で、コイツの修行をしてたんだろ?」


「あぁ、そうでしたね」

「分かりました、楽しみに待ってます」


やれやれとため息を吐くアルフ。気を取り直し、別れのあいさつ。みんな順番に。

「じゃあなフォス」


「フォス殿、達者でな」


「フォス先生っ!ありがとっす!」

 

「フォス先生!またねぇ〜!」

「頑張って来るよぉ〜!」


「皆さんの無事を祈っています」

「ご武運を」


トル爺とミルフは異空間に戻って行った。アルフさんを背中に背負って崖を登る。修行で何度も崖登りをした。ミルフを背負ってみたり、鎧さんを背負ってみたり。アルフさんくらいならば余裕だ!修行の成果を感じる!


崖をヒョイヒョイと登って行くテイト達の様子を見守るフォス。思いにふける。しばらく前、テイトがまだ幼かった頃。


一人瞑想めいそうをしていたフォス。ピシャーン!ゴロゴロゴロ!島の外で落雷。誰か来る。しばらく待っていると。知った顔。

「おや、アナタでしたか」


「久しぶりだなフォス。」


「どうしたのですか?こんな島まで」


「ちょっと散歩しに来た。」


「フッ…」

失笑。この人は普段は寡黙かもくだが、突然突拍子の無い事を言う。それが冗談なのか本気なのかいつも分からない。それがこの人の魅力でもある。ワタシはいつも笑ってしまう。


「フォス、散歩ついでに話がある。」


「お話ですか?分かりました」

「久々の客人なので、おもてなししますよ」

「そうだ、お茶でもれましょう」

「こちらへどうぞ」


…用意した緑茶を二人で飲む。ほっと一息。

「それでお話とは?」


「一つ頼みがある。」


「アナタが頼み事とは珍しいですね」

「何でしょうか?」


「まだ定かでは無いのだか…俺の息子の事について一つ頼みたい」

「将来、俺の息子がこの島に来るかも知れない。」

「お前に修行を付けてもらうために。」


「修行ですか?なんのために?」


「これからする話は万が一の話で、定かでは無い、杞憂であれば嬉しいが。」


「はい」


「…息子には竜の血が流れているが、竜の力は発現していない、このまま大人になっても力が発現しなければ良いが。」

「でももし竜の力が発現したら、魔人に…アイツに狙われる。」


「なるほど、そう言う事ですか…」


「本当に俺の息子がお前に会いにこの島に来たら、協力してやって欲しい。」


「良いですよ」


「!」

「…お前の事だ。」

「もっと嫌だとゴネると思ったが。」


「アナタからの頼み事なんて珍しい…いや、初めてかも知れません、アナタはこれまで何でも一人で解決して来ましたし」

「今までのお礼も出来ていません、これは恩を返すチャンスですね」

「断りませんよ、むしろ協力させて下さい」


「ありがとう。」

「それと、もう一つ。」

「修行を頼まれたら一度断って欲しい。」


「ほう?なぜですか?」


「決意が本物か確かめて欲しい。」

「生半可な気持ちでは魔人とは戦えない。」

「…なるべくなら戦ってほしく無い。」


「いつの間にか親の顔になりましたね」

「分かりました、任せて下さい」

「しかし、アナタが居れば並の魔人は手出し出来ないでしょう?」


「何があるか分からないからな。」

「万が一だよ、万が一。」

「…じゃあな、また来る。」


「はい、それでは次回はもっとすごい"おもてなし"を準備して待っていますね」


「あぁ、楽しみにしてるよ。」

「お茶、美味かった。」

「フォスまたな。」


「はい、また」


「今度は茶菓子が有ればなお良い」


「フッ…分かりました準備しておきます」

…はっ。昔の事を思い出していた。


「お〜い!フォス先生〜!改めて〜!」

「ありがとうねぇ〜!」

崖を登り切ったテイト君が手を振っている。手を振り返す。彼には魔界から無事で帰ってきて欲しい。待っていますよ。アルフさん達もどうかご無事で。


アルフさんの【完璧】でテイト君が包まれた。あれで落雷も心配ない。姿が見えなくなる。ピシャーン!ゴロゴロゴロ!落雷の音。


…ノガールドさん。アナタからの頼みは無事達成出来たでしょうか?


さて、次はどんな"おもてなし"をしようか。楽しみですね。

お読み頂きましてありがとうございました。


修行終わりっ!


「なんか面白かったよー!」

「続きが気になった!」

と思って頂いた親愛なる読者様へ…


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