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五十話『蓮見庵』

温泉から出るとフォスさんが待っていた。フォスさんに案内され一軒の建物の前に来た。外観は旅館のような。でもこの建物は風化していないように見える。入り口に看板がある。蓮見庵はすみあん?フォスさんに聞く。


「ここは何ですか?」

「ずいぶんと新しく見えますねぇ?」


「はい、ここは旅館です」

「お二人が温泉に入っている間に建てました」


「えっ?建てた?あの短い間に?」

「まさかぁ〜それは流石に…」

「いくら僕でも騙されませんよ〜」


「…」

無言でほほえんでいるフォスさん。


「えっ?本当にフォスさんが?」


「入りましょうか」

トル爺に聞いても"さあ?どうじゃろうな"との事。置いていかれないように後を追う。内部も旅館のような空間が広がっている!玄関で何か手渡される。服みたいな?何だこれ?


「こちらに着替えて下さい」

"浴衣ゆかた"と言う衣装らしい。着る方法も教えてもらって。どうやって手に入れたのかは聞いてもスルーされるけれど。


「さぁ、こちらです」

廊下の先。案内された部屋。畳が敷いてあって中央に背の低いテーブル。テーブルを囲むように座布団。外に向けて丸い椅子。そこにアルフさん。あっ、アルフさん!


「アルフさぁ〜ん!本当にこの旅館ってフォスさんが作ったんですかぁ?」


「さぁな、アイツがそう言ってんならそうなんじゃねえか?」


「ふぅん、そうかぁ〜」

まぁいいか!座布団に座って今日の修行内容をトル爺に話していると、ふすまがスススと開いた。入って来たのは板前さんの格好に身を包んだミルフ。お辞儀からの。


「この度は本旅館"蓮見庵はすみあん"にお越し頂きまして誠にありがとうございます」

「今夜の夕食を担当させて頂きますミルフと申します、どうぞ宜しく」


テイト達拍手。旅館に来たみたいじゃん!

「続いて本旅館の主人をご紹介させて頂きます、女将おかみさーん!女将さーん!」


入って来たのは落ち着いた緑色の着物に身を包んだフォスさん。中性的で端正な顔立ち。薄緑色のキレイな長髪のフォスさん。知らずにこの格好で初めて会った人は女性だと思っちゃうと思うレベルの出来だ!一瞬ドキッとしちゃった自分が居る…。


「さぁ、ごはんにしましょうか」

あっ、口調とかはいつも通りなんだねぇ。拍手の準備をしていた両手を片付ける。しかし、すごいな!本当に旅館みたいだ!


「へへ、どうっすか?」

「今日一日これの準備と修行をしてたんすけど…本物っぽかったっすか?」

ミルフの"修行"ってこれの練習だったの?!てっきり戦闘の修行かとばかり…。とても期待した顔をしておる…ほめます。


「すごかったよぉ〜!間違えて本当の旅館に来ちゃったのかと思っちゃったもん!」

「こりゃ今夜のお料理にも期待大だねぇ?」


「へへへ、良かったっす」

「じゃあ、料理持ってくるっす!」

嬉しそうに尻尾をパタパタさせて廊下へ。戻って来たミルフ。テーブルの上に海の幸、山の幸、様々な豪華料理が並ぶ。お料理がキラキラ輝いている…。


「姐さんに許可をもらって、異空間倉庫の食材の在庫ストックを使わせてもらったっす」


「すごぉい!!これ全部ミルフが作ったのぉ?!こうなるともう料理人じゃん?!」

「この料理はお金取れるレベルだよぉ!」


「へへへ、ほめても何も出ないっすよ?」

「…食後にアイスクリームおまけするっす」

アイス出た。みんなで手を合わせていただきまーす!美味しい料理!魔素水が進む!アルフさんの異空間には食材も保管出来ちゃうんだな。便利過ぎる!モグモグ。ゴグゴク。


お腹いっぱい。ほろ酔い気分の一同。食後のアイスを食べながらふと思うテイト。あれ?修行中じゃなかったっけ?この島に来たのも修行のためで…。まぁいいか!明日からも頑張るぞ!布団を敷いてみんなで寝た。


フォスさんから蓮見庵の企画内容を聞いたミルフ。もちろん"何のために?"気になってフォスさんに質問したらしい。


返ってきた答え…。"やってみたいから"らしい。特に理由は無い思い付きだって。おもてなし終わり。おやすみっすー。


修行二日目。朝風呂、朝ごはんはすでに頂きました。ごちそうさまです。コロポックル達のマッサージの効果なのか、温泉のおかげなのか昨日のトレーニングで感じた筋肉の疲労は起きたらすっかり治っていた。プロテインの匂いも消えてて良かったよ。


Tシャツにジーパンのいつも通りの格好に戻ってストレッチ。…はい完了!ジョギングから修行再開だ!行ってきます!えっほ!えっほ!


走り出したテイトの後ろ姿を見る二人。フォスとアルフ。不思議そうなフォス。


「初心者の彼が昨日あれだけトレーニングをしたので、今日は筋肉痛などが残ると思っていたのですが」

「今朝聞いてみたところどこも痛くないそうで、あの回復力…」

「一般の竜人にあそこまでの自己治癒能力は有りません」

「彼は…もっと何か別の…」


「…あぁ」


「しかしノガールドさんはなぜ彼を鍛えなかったのでしょうか?彼を鍛えれば強力な戦力になると思うのですが」

「魔人の襲撃の可能性にノガールドさんが気付けなかったとも思えませんし」

「…何か理由があったのでしょうか?」


「どうだろうな、アタシらには分からねぇ」

「まぁでも…もう少し後にやる予定だったキツいトレーニング」

「今日から始めてもいいかもな」

不気味に笑うアルフ。


「へくしょん!うわっ…カゼ引いたかな?」

「もしくは誰か僕のウワサ話をしてる?」「そりゃないかぁ〜へへへ」

嬉しそうに笑うテイト。

お読み頂きましてありがとうございました。


そろそろ旅行行きたいなぁ


「なんか面白かったよー!」

「続きが気になった!」

と思って頂いた親愛なる読者様へ…


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