四十九話『温泉』
「はい、お疲れ様でした」
「これで本日の修行は終わりです」
「つあぁ〜!ありがとうございましたぁ!」
疲れたぁ!身体中バキバキ、頭も使って一日目からスゴい頑張れた気がするぞ!
「ではテイト君、移動しましょうか」
「あれ?また移動ですかぁ?」
フォスさんについて移動。森を抜け、ゴロゴロした岩が並ぶ場所に来た。これまで居た場所よりも温かい?気がする。あっ!岩の隙間から湯気!これはもしかすると…!
「あっ!ここは温泉ですか?!」
「そうです」
「テイト君、修行一日目お疲れ様でした」
「温泉に浸かって今日の疲れを癒して下さい」
「わぁ〜い!温泉だぁ〜!」
仮設の脱衣所で服を脱ぎ露天風呂へ。源泉が水中にあるようで、ポコポコと細かい泡が生まれている。立ちのぼる湯気。湯気の奥に二つの人影。先客かな?目を凝らす。
「おっ!ミルフ!トル爺!」
「お先っす!」
「いい湯じゃよ、早く入りなさい」
掛け湯。トル爺の魔法"洗浄"で身体をキレイにしてもらい湯の中へ。家のお風呂よりもちょっと熱い。肩まで浸かる。
「ふぃ〜あったまるぅ〜」
今日一日の疲れが流れていくような。気持ち良い。顔がふにゃふにゃでリラックスしているテイト。後から来たフォスさんも入浴。
「…なんか匂わないっすか?」
「えっ、まだくさいの?トル爺からもらったプロテイン」
テイトの言葉に驚くミルフ。
「えっ?!あれ飲んだんすか?!」
「トル爺!あれは失敗作っすよ!試作中くさすぎて飲めたもんじゃ無かったっすから!」
「なに!そうじゃったのか!どうりで…」
「すまん!間違えたようじゃ」
「そんなぁ、頑張って飲んだのに…」
しょぼんと落ち込むテイト。
「あっ、でも安心して下さい!ちゃんとプロテインとしての効果はあるっすよ!」
「そっか!じゃあ良かった…とはならないよ!くさ過ぎるでしょ!何が入ってたの?」
「それは…ヒミツっす」
「ほう?口を割りませんか…ならば!」
「これでもくらえ!ハァ〜〜〜!」
「ぐわぁ!くさいっす!」
「これはダメじゃ!」
「うっ、においますね…」
「はっはっは…はっはっはっは〜!」
「うわっ!くさっ!」
「それ自分もくさいんすか!」
きゃっきゃとはしゃぐ笑い声を聞きながら、岩の反対側で一人お湯に浸かるアルフ。
「騒がしいな…」
ふと昔の事を思い出すアルフ。すっかり忘れていた。昔は"アイツら"とも温泉に入ったっけな。そう言えばアイツらも騒がしい連中だった。過去に思いを馳せながら、一人魔素水の入ったグラスを傾ける。
…フォスさんによると、泉と同じようにこの温泉のお湯にも魔素が含まれていて、お湯に浸かっているだけでも、魔素の許容量アップのトレーニングになるんだって。へぇ〜。
ちょっとのぼせてきた気がするけれど、もうちょっと浸かっていようかな?フォスさんとミルフは先に上がった。ミルフは夕食の準備。フォスさんはちょっと用事があるらしい。
温泉から出る時はトル爺に"洗浄"をしてもらう。なんと"洗浄"の魔法は、身体の表面に付着した水分を吸い取る事も出来るんだって!便利過ぎやしませんか?
「魔素を一度に取り込み過ぎると、体調を崩すからな、気を失う前にあがるんじゃよ」
「了解!」
ぼ〜っと空を眺める。…温泉。あれは銭湯だったっけ。親父の出張に同行して家族三人で行った事があったな。あの時は確か…。
「うほほ〜い!でっかいお風呂だぁ〜!」
「待ちなさいテイト。」
「走ったら危ないし、他のお客さんの迷惑になるよ。」
"タッタッタッ"と湯船に向かう幼いテイト。
「…聞いていないな。あっ危ない!」
つるっと滑り額を強打するテイト。
「テイト!大丈夫かっ…うわっ!」
自身もつるっと滑り額を強打したルイボル。
…お風呂から上がり、一緒に銭湯に来た同僚の女性医師と合流。預けていたクエラと女性医師が心配そうに二人を見つめる。
「ちょっとルイボルさん?!」
「どうなさったんですかそのおでこのたんこぶ!あっ!テイトくんも!」
「ははは、久々の銭湯にはしゃぎ過ぎたようです。」
「まったく子供じゃ無いんですから…」
「まぁテイトくんは子供だけどねー」
「うん!こども〜!」
そんなテイトを見て自身も真似をするクエラ。
「私も!こどもー!」
「そうね、クエラちゃんも子供ねー」
「そんな子供ちゃんの二人には…」
「コーヒー牛乳!買ってあげます!」
「やった〜!」
「やったー!」
コーヒー牛乳が何かは分かっていないが、とりあえず喜ぶテイト。そんな兄の様子を見て自身も真似をするクエラ。
「私も飲みますけど、ルイボルさんはどうなさいます?おごりますよ?」
「ではいただきます。」
「あら?ルイボルさんが私におごらせてくれるなんて珍しいですね?」
「ふふ今日のルイボルさん、本当にはしゃいじゃってますね」
「そうですか?いつもと変わりませんよ。」
「普段無口なルイボルさんも、二人の事に関しては相談とか、沢山喋ってくれますし」「…本当に二人の事が大好きなんですね」
「まぁ…"大好き"は合ってます。」
「僕も!お父さんだいすき〜!」
「クエラもー!」
珍しく頬をあからめるルイボル。そんなルイボルの足にくっ付くテイトとクエラ。
「まぁ、うふふ」
「!」
「さぁ二人とも、コーヒー牛乳を飲もう。」
「コーヒー牛乳!」
「コーヒーにゅにゅう!」
…ふぅ。のぼせちゃったな。指はシワシワだし、目からは汗が。トル爺に"洗浄"をお願いして温泉から出た。
お読み頂きましてありがとうございました。
子供ちゃんは銭湯行くと、はしゃいじゃいますよね。
「なんか面白かったよー!」
「続きが気になった!」
と思って頂いた親愛なる読者様へ…
画面下部の☆☆☆☆☆から
作品への応援お願いいたします。
面白ければ星5つ、つまらなければ星1つ
評価頂けますとうれしいです!
ブックマークもしてもらえると喜びます。
どうぞよろしくお願いします。




