四十八話『良薬で口が臭し』
はは、こんなになっちまった。身体が動かねぇや。しかし休む間もなくアルフさんに移動するように言われる。ロボットみたいな動きで移動。イテテ…。節々が、節々が。
移動した先ではトル爺が待っていた。
「テイト、修行は順調かね?」
「身体中バキバキですわ、へへ」
「ほう、頑張っておるようじゃの」
「ほれ、差し入れじゃ」
「?」
「これは?」
トル爺から一つの容器を手渡される。
「フォス殿に用意するように頼まれ、ワシとミルフで作ったものじゃ」
「トレーニング後の身体を強くするのと、魔素の許容量を増やすための飲み物じゃよ」
「巷では"プロテイン"と呼ばれているらしい」
「プロテイン…」
容器の中のその液体は灰色をしており、とても飲み物には見えない。厳重に閉められたフタを開け、おそるおそる匂いを嗅ぐ。
「くはぁ?!くさぁ!」
強烈な匂い!思わず仰反る。今まで嗅いだ事の無い不快な嫌な匂い。何かが腐ったような、鼻をツンと刺す匂い…これ本当に飲んでも大丈夫な物?
「ほれ、グビッといくんじゃ」
そう言うトル爺を見る。鼻をつまんでるし、そのせいで鼻声になってるじゃん…。まぁ、二人がせっかく作ってくれたんだし、飲んでみるけれど。本当に大丈夫?
容器を傾ける。液体は何かをグツグツと煮詰めたみたいにねっとりとしている。ますます飲み物には見えない…。よし!覚悟を決め、一気にゴクゴクと飲み込んだ!
「うっ!」
「不味い!案の定!」
見た目通り、思った通りの味!不快な味が舌にこびり付く!うへぇ〜!
「うむ、改良の余地ありじゃな」
なぜか満足そうなトル爺。鼻はつまんだまま"フォフォフォ"と笑いながら去って行った。うわっ?!自分の吐く息くさっ!ビックリした!
「おい次行くぞ」
「!」
「くせぇ!オメェ何食ったんだ?!」
「はは、分からないんですよこれが…」
アルフさんに次の場所に案内される。そこには一人用のマットが敷いてある。
(くせぇな…)
「コロポックル出て来い」
アルフさんのネックレスから次から次に"ぽんぽんぽん"とコロポックルが飛び出してくる。
「わぁ!みんな久しぶりぃ!」
「…ど〜したのぉ?そんな嫌な顔して?」
「えっ?まだくさい?」
「ごめんよぉ」
久しぶりに会ったのに不満顔のコロポックル達。多分まだプロテインの匂いがするんだと思う。僕の鼻は匂いに慣れたようで。しかし、なぜ彼らを呼び出したのだろうか?
「そこにうつ伏せで寝ろ」
「?」
「はぁ〜い」
訳も分からないまま寝転ぶ。
「おぉ!」
コロポックル達が全身をマッサージしてくれている!気持ち良いぃ〜!筋トレでバキバキの身体がほぐれていく…。コロポックル達の体温が伝わって、ほんのり暖かくて…。
ペチペチペチペチ…ほっぺたを誰かが叩いている。目を開けるとコロポックル。
「…はっ!寝ちゃってた?」
「あっ、とっても気持ち良かったよぉ〜」
「みんなありがとねぇ〜」
どこか満足そうなコロポックル達。異空間に戻って行くコロポックル達に手を振る。
「よし、次行くぞ」
「はぁ〜い」
さっきまでよりちょっと身体が楽になった?アルフさんに続いて次の場所に向かう。
森の開けた場所。中央に一つの座布団。
「そこに座ってちょっと待ってろ」
しばらく待つ。森は静かで木の葉が擦れる音くらいしか聞こえない。…暇だな。渡された昼ごはんのおにぎりも食べちゃったし。アルフさんはどこに?振り向き、振り返る。
「うわっ?!」
「テイト君、お待たせしました」
突然目の前にファスさんが現れた?!さっきまで誰も居なかったはずなのに?
「おや?」
「何か匂いませんか?」
「あっ、すみません…多分僕です…」
もしかしてこの匂いって、これから一生取れないの?まさかこれも修行なのか?違うか。
「…では、次の修行を始めましょうか」
聞いても特に説明は無いまま、次の修行が始まった。
「ここでは集中力を鍛えましょう」
「東洋の"坐禅"と言う修行を参考にします」
「このロウソクが燃え尽きるまで、何があっても反応しないで下さい」
「動いたり、反応した場合はこちらの棒で肩を叩きます」
「おぉ!なんか修行っぽいですねぇ!」
「分かりましたぁ!頑張ります!」
「はい、それではあぐらをかいて…」
集中力を鍛える修行が始まった。燃えるロウソクをジィーっと見つめる。身体の力が抜け、集中出来ているような気がする…。
ロウソクが残り半分くらいに差し掛かった。背後からフォスさんの声。
「順調ですか?テイト君?」
「…」
ふっ。これは罠だな。とっさに返事しちゃうところだったけれど。危ない危ない。
「そう言えばテイト君、昨日のキノコはどうでしたか?美味しかったですか?」
「…」
ふふ。甘いねぇフォスさん?そんな簡単な罠には引っ掛かりませんよ?こっちは何年この修行をやってると思ってるんですかぁ?…初めてだったわ。まぁいいか。
後ろに居たフォスさんが正面に飛び出す。
「テイト君?」
「テイト君?」
「えっ?!フォスさんが二人?!」
「はい、ダメです」
スパァン!
「痛ったあ?!」
あれ?二人居たはずのフォスさんが一人になっている?幻覚?そんなはずは…。
「テイト君、先程の説明通りに」
「あっ、そうか」
「ありがとうございます」
お辞儀。坐禅中は肩を叩かれたら感謝するらしい。理由は説明無かったけれど。…肩がジンジンする。
その後もロウソクが燃え尽きるまで修行を続けたが、フォスさんが次々に繰り出してくる様々な罠。頭の中が"?"で満たされて、集中出来ない!"肩の修行だったっけ?"そう勘違いするくらい肩を叩かれた。
ありがとう、ありがとう。感謝は忘れずに。
お読み頂きましてありがとうございました。
餃子食べたい
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