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四十六話『話の続き』

「お待たせっす」

ミルフが淹れてくれたミルクティー。甘くて温かい。ホッと一息。落ち込んでいた気持ちがちょっと楽になった。


「テイト君」

「気持ちは落ち着きましたか?」


「フォスさん?あっ、そうかぁ」

「気付いてたんですねぇ…」


「嫌な夢でも見ましたか?」


うなずくテイト。

「それが…」


コイツ。普段は無神経なくせして、こう言う事には気付くんだよな…昔から。二人の会話を聞いていたアルフ。そう思いながらミルクティーをすする。ホッと一息。


「僕が"竜に成って魔人を倒したっぽい"って話をミルフとした事があって」

「その時ミルフは"相手も僕らを殺しに来たんだから逆に殺されても仕方ないんじゃないか"って言っていたんです…でも…」


「納得出来なかったと」

「ではテイト君はどう思うのですか?」


「その時は…いや今もですけど、やっぱりかわいそうだと思っちゃいます」

「魔人にも何か…何か戦う理由があるのかもしれないし」


「そうですか」

「ワタシもミルフ君と同じ考え方です」

「他者の生命を奪おうとするならば、それなりの覚悟と責任を持たないといけないと思っています」


「そうですか…」

どこか残念そうに下を向くテイト。そんな様子の彼にフォスが思い出したように続ける。


「昔ワタシの知人に、今のテイト君と同じような悩みを抱えている方が居たのですが」

「その方に"ある人"がこんな風に言っていました」


「?」


「"戦いが起こったら必ず誰かは傷付く、それは当然の事実だ"」

「"その誰かが、自分か自分と戦った相手なら構わねぇ、自業自得だ"」


フォスの話は更に続く。静かに聞くテイト。


「"でも中には無関係の戦う気の無いヤツを傷付けようとしてるカスみてぇなヤツが居る」

「"アタシはそう言うカスみてぇなヤツが目障めざわりで、視界に入るとイライラするから戦ってる"と」

「でしたよね?アルフさん?」


「!」

「おいっ!フォス!」

「さ、さぁな覚えてねぇ」

"フイッ"とそっぽを向いたアルフ。顔が赤い。


コイツ!途中からそうだと思ったが、やっぱりそうだ!ってか言うなよ!昔の事を…クソッ!後で千切ってやるからな!


途中から口が悪かったからもしかしたらと思ったけれど、やっぱり!アルフさんだった!アルフさんが戦う理由。自分以外の誰かを守る為…。そう言う事だよね?口は悪いけれど。


フォスさんが目を見つめて、落ち着いた声で。

「テイト君」

「今後も誰かを守るために、誰かと戦わなければいけない時が必ず来ます」

「話が通じる相手なら別ですが、毎回そうだとは限りませんからね」


「はい…」


「"関係のない誰かが傷付かないように、自分が相手を傷付ける"」

「ワガママで自分勝手な考え方だと思いますが、とてもシンプルでワタシは好きです」

更に赤くなるアルフの顔。


「…」

オクトから襲撃を受けたあの日。僕が戦えていたら親父は死ななかったのかも。クエラはさらわれなかったのかも。自分の大切な人達を、その人達との日常を守れたのかも。


これまであまり深くは考えてなかった。誰かを守るって事は、誰かと戦って誰かを傷付けるって事なんだ…。無料タダでは何も守れない。必ず何か代償は必要なんだ…。


さらわれたクエラを、妹を救い出すんだ。うん…覚悟しなくちゃな。色々と。

「フォスさん」

「"話の続き"お願いします」


おや?テイト君、先程までと表情が変わりましたね。何か決心したような。答えを見つけられたのでしょうか。…だと良いのですが。


「分かりました」

「…寝ていたのです」


「えっ?」


「アルフさんがこの話をしている間」

「当の本人はすでに寝ていたのです…それはもうぐっすりと」


「あっ、フォスさん…」

「そっちの話の続きじゃなくて…」


「はい?」

状況がうまく飲み込めていない様子のフォス。ワナワナと震えていたアルフ。ついに我慢出来なくなり言い放つ。



「おい!フォス!」

「聞きてぇのは、コイツに関しての話の続きだ!」

「しかもオメェ!アタシの言った話だってバラしちまってんじゃねえか!」


「?」

「あぁ、そちらの話の続きでしたか」

「すみません」

「間違えましたし、バラしてしまいました」

ケロッとしているフォス。


「オメェは本当に…はぁ」

「もう良いや…」

頭を抱えるアルフさん。


いつもの何でもズバズバ言ってくる感じと違って、この島に来てフォスさんと会ってからのアルフさん、何か新鮮だな。ふふ。


「おい?何笑ってんだ?」


「は、はいっ!」

うわぁ!いつものアルフさんだぁ!


「…では改めまして」

「多過ぎず少な過ぎない魔素を取り込む」

「身体的もしくは精神的ストレスを受ける」

「この二つが竜に成る条件だと話しました」


「はい」


「しかし、魔人との戦闘は"竜に成れば終わり"ではありません」

「竜化状態を維持する必要があります」


「あっ、確かにそうですねぇ〜」


「竜化状態の維持に必要なものは"一定量の魔素を吸収し続ける事"と"感情のコントロール"だと思います」


「ほえぇ〜」


「テイト君、これから行う修行では主に三つの事を身に付けましょう」

フォスさんが指を三本立てる。つられてテイトも指を立てる。


「自分の意思で変身が出来るようになる」

「魔素を吸収し続けても意識を失わないように、魔素の許容量を上げる」

「戦闘中に集中力が切れずに感情を一定にコントロール出来るようになる」


「ふむふむ…分かりました!」

「よろしくお願いします!」


「はい、こちらこそよろしくお願いします」

「早速ですが始めましょうか」


「はぁい!」

よぉ〜し!頑張るぞ!あ、ちなみにミルフは話に飽きて、またランニングに行ったよ。

お読み頂きましてありがとうございました。


「なんか面白かったよー!」

「続きが気になった!」

と思って頂いた親愛なる読者様へ…


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