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四十一話『条件』

ちょっとフォスさん!千切られるよ!と思ったが、アルフさんの反応は普段と違った。

「けっ、相変わらずだな」

「オメェは前会った時と何も変わってねぇ」


「はは、それはそうでしょうね」

ケロッとしている男性。千切られの危機は去ったようじゃ。良かったわい。フォフォ。


男性は端正な顔立ちで薄緑色の瞳。瞳と同じ薄緑色の長髪ストレートをなびかせている。あっ!こめかみからツノが生えている!ミルフに聞いた通り竜人の男性っぽいぞ!


「ところでアルフさん、そちらの方は」


「あっ、初めましてぇ!僕は…」

自己紹介をし終える前に男性が言う。


「ノガールドさんのご子息ですか?」


「えっ!」

「どうして知っているんですかぁ?!」


「いえ」

「ノガールドさんと同じ匂いがしたので」


匂い?僕ってもしかして臭いの?まぁ、よく分からないけれどスゴいぞ!フォスさん!

「はい!初めまして!」

「テイト・ノガールドって言います!」


「そうですか初めまして」

「ところでアルフさん」

「今日はどうしてこの島に?」

「わざわざこんなところまで散歩に来たと言う訳では無いと思いますし」


「フォス、コイツに修行をつけて貰いてぇ」


「修行?」

「はて?一体何のためにですか?」


フォスさんに今まであった事を話す。

「…そうでしたか、ルイボル殿が」

「そしてさらわれた妹さん、クエラさんを救い出しに魔界に向かいたいと」


「はい!」

「強くなって魔界に行きたいんです!」

「よろしくお願いします!」


「そうですか…」

「イヤですね、やりたくありません」


フォスから帰ってきた返事に驚くテイト。

「えっ!どうして…?」


「はぁ…そう言うと思ったぜ」

残念そうに肩を落としたアルフ。


「アナタ自身が魔人に狙われていると言うのに、わざわざ魔界に行くなんて殺されに行くようなものではないですか?」


フォスが更に畳みかけるように続ける。

「ワタシはアナタの自殺の手伝いはしたくありません、それに妹さんが生きている保証はないのに危険をおかして魔界に行くなんて…考え直した方が良いと思いますね」


めっちゃ言うじゃん…。テイトが何も言い返せないで固まっているとアルフが口を開く。

「何もただ殺されに行くわけじゃねぇ」

「コイツは"竜に成れる"」


「…ほぉ、そうでしたか」

「かすかに彼から竜の匂いがすると思ってはいたのですが、彼自身が竜に成れるとは」

竜の匂い?僕ってやっぱり臭いの?


「それにアタシもちょっと用事があってな」

「魔界にはそのうち行きたいと思っていた」

「コイツを鍛えて竜の力をコントロール出来るようになれば、立派な戦力になるはずだ」


「なるほど、ただ死にに行く訳ではないと…」

「まぁそれでもイヤですけど」

「普通に面倒臭いので」

きっぱりと答えるフォス。嫌なんかい。もうここまでダメだったらさ、これ以上何回お願いしてもダメなんじゃないかな…。


心配そうにアルフを見つめるテイト。

「分かった、一つ条件がある」

「魔界に行ったらオメェが昔盗られた"(たま)"」

「取り返してきてやる」


珠?何の事かは分からないけれど、とりあえず。もう一度お願いする!熱意!届け!

「頑張ります!お願いします!」


「あぁ、それは…」

「…少しばかり魅力的な条件ですね」

「ほとんど無理だとは思いますが、万が一があるかもしれませんし…良いでしょう」

「分かりました、彼の修行に協力します」


「!」

「やったぁ!ありがとうございまぁす!」


「ただしアルフさん」

「アナタにも協力して頂きますからね?」


「あぁ」

どこかホッとした様子のアルフ。うなずく。


「それでは早速…」

おっ?もう直ぐに修行が始まるのか?!どんな修行なのかな。痛くないのが良いなぁ…。


「ゴハンにしましょうか」

ご飯かい。嬉しいけれど。


"ついて来てください"そう言われてフォスさんの後ろに続いて歩く二人。老朽化した住宅がいくつも立ち並んでいる所に来た。人の気配がないちた家がいくつも。


住宅街だったのかな?昔はここにみんなで住んでいたのだろう。今はひっそりと静まり返っている。歩く三人の足音だけが耳に届く。辺りの薄暗い感じと相まってちょっと怖い。


気を紛らわせるために何か話そう!あ、そう言えばそうだ!フォスさんに聞いてみよう。

「フォスさん!この島にはフォスさん以外の住人の方は居るんですかぁ?」


「いいえ?ワタシ一人ですよ」

「どうしてそのような事を聞くのですか?」


「いや、何となく気になっただけなんですけれど…そうかぁ〜」

「こんなに大きな島に一人で住んでいるんですねぇ〜寂しくはないんですか?」


「寂しいと思った事はないですね」

「それに一人だと何も考えなくて良いので楽ですし、一人の方が好きですね」

「人と話すのは疲れますし」


天然な性格のフォス。彼に質問して"人と話すのは疲れる"とぶち込まれたテイトだが、ポジティブな性格のテイトはその事に気付いていない様子。続けてフォスに質問する。


「フォスさんはいつからこの島に住んでいるんですかぁ〜?」


「そうですねえ」

「だいぶ昔なので忘れました」

「あ、そうそう"あの日"からです」

「魔人と人間が…」


フォスが何か言いかけた時、急に立ち止まるアルフ。前を歩いていた彼女にぶつかりそうになるテイト。


「ととっ、どうしたんですかぁ?」


「おい、フォス着いたんじゃねえか?」


「はい、そうですねココです」

住宅街を抜け森の入り口に着いた。

お読み頂きましてありがとうございました。


だが断る!


「なんか面白かったよー!」

「続きが気になった!」

と思って頂いた親愛なる読者様へ…


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