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三十九話『質問』

「ゴホッゴホッ!」


「テイト!大丈夫っすか?」

意識を取り戻したテイトの前にミルフ。心配そうに顔をのぞかせている。辺りを見回す。


「ミルフ?ここはどこぉ?」


「ここは船の上っすよ」

「テイトが魔人に連れ去られたって聞いて、急いで追いかけたら海に浮いてたんすよ」

「魔人の姿は無かったんすけど…なんか覚えてます?」


う〜む…あ、そうだ。サメの魔人、確かウェーク?だったかな?ウェークに連れ去られて島に行って。逃げようとして…両手と両足を折られたんだ。それから…。


ダメだ。いくら思い出そうとしてもその先の記憶が出てこない。毎度同じく。

「忘れちゃったみたい」

「両手と両足の骨を折られたような気がするんだけれど、今は元通りだし」


「えっ!大丈夫なんすか?!」


「多分大丈夫だと…思う」

「ミルフ、心配してくれてありがとねぇ」


「それならまぁ…」

「無事?で良かったっす」


「そう言えばアルフさんは?」


「?」

「あぁ、姐さんならテイトの意識が戻ったのを確認した後で船内に戻ったっすよ」

「確か"やる事がある"って言ってたかな」


「分かった!それじゃ!」


「ちょ、ちょっと!」

「いきなり動いたら危ないっすよ!」

バランスを崩して派手に転倒するテイト。ミルフに支えてもらいながら立ち上がる。…さっき思い出した事がある。


どうして突然船が止まったのか。どうしてタイミング良く魔人が現れたのか。協力者がいるんじゃないか?一番怪しい人物は…気が引けるけれど、アルフさんに教えなくちゃ…。


よし!真っ直ぐ歩ける様になった!船内のアルフさんの元へ。中から聞こえてくる声。

「今、大丈夫か?」


どこかに電話しているようだ。電話相手の声はここからだと聞き取れない。


「…そんな事はいい」

「カロッサ、一つ質問だ」


えっ?電話の相手はカロッサさん?!アルフさんは一体何を聞くつもりなのだろうか?


「オマエとまた今度ティリフで再会した時」

「アタシは今までと同じオマエのデケェ笑い声を聞けるか?」


「!」

悲しい声。アルフさんは知っていたのかな?…カロッサさんは何と答えるのだろう?しかし、残念な事にここからは聞こえない。


「…分かった」

「じゃあな」

電話を切ったアルフ。こちらに声をかける。


「…おい、なんか用か?」


「い、いえっ!お邪魔しましたぁ〜!」

急いでデッキに戻る。今回の件。カロッサさんが何と答えたのかは分からない。けど、もし犯人がいたとして、それがカロッサさんじゃ無かったらもちろん良い。むしろごめんね。


犯人がカロッサさんだとしてもアルフさんが許したんだ。僕も許すよ。骨折られたけれど。…そうじゃん!骨折られたじゃん!えっ?許すか?まぁ許すか。許す許す。うん、許す。


この件は忘れよう!うわっ!太陽まぶしっ!

「おっ、帰ってきたっすね」

「何だったんすか?」


「何でもないよぅ」


「えーなんすか、教えてくださいよー」


「何でもないってば」


「そこを何とか!」


「いいや!言わないね!」


「…なんかここまで秘密にされるとすごく気になってきたっす!よし!じゃあ教えてくれるまでココを一歩も動かないっす!」

座り込むミルフ。耳がピコピコしてる。


「僕だって何をされても吐かないよぅ!」

こっちも乗ってきたぞ!口を真一文字に結び、腕を組んであぐらをかく。両者沈黙。


ぐ〜。お腹の音。申し訳なさそうなテイト。

「すみません…」


「ふふっ、昼ごはん食べるっすか?」


「食べます…」

さっきまでの争いはどこへやら。昼ごはんの後。ミルフは穴の空いた服の修繕に熱中していた。僕はもう釣りはこりごりなので、デッキをブラシで掃除してみた。やってみると結構楽しいかも。ゴシゴシ。


みんなが思い思いに過ごしていると辺りが暗くなってきた。また魔人?!と思ったがどうやら違うみたい。ミルフが前方を指差す。

「見えたっすよ…あの島っす」


「な、何だあれぇ?」

"南の島"って聞いていたからもっと南国っぽいトロピカルな島を想像していたけれど、目の前に見える島は全く異なるものだった。


島を囲む様にゴツゴツした大きな岩があり、外からの進入者を拒んでいる。島は意外と大きく全貌は分からない。ビルのような大きな建造物がいくつか見えた。意外と近代的な島なのかな?他の住人も居るのかも?


「よし、オメェらは戻ってろ」


「了解じゃ」


「分かったっす」

「テイト、姐さんを頼むっすよ!」


「あれ?二人は戻るんだね」

「うん、分かったよぅ」

二人きりになった船内。アルフが言った。


「よし、船の旅はここまでだ」

「岩があって島までは船だと進めねぇ」

「ここからは歩いて行く」


「歩いて?どうやって?」


「はぁ…勘のわるいガキだな」

「それはそれで嫌われるぞ」

「アタシの側に寄れ」


"それはそれで?"どういう事?…まぁいいや。

「はいっ!」


(良い返事だな…まぁいいか。)

「【完璧かんぺき】」

指示通りアルフのそばに寄ったテイト。二人の周りを球体上の壁が包み込む。なるほど!勘の悪い僕でも分かっちゃったぞ!


「行くぞ、舌噛まねぇようにな」

ボチャン!デッキから二人の姿が消えた。

お読み頂きましてありがとうございました。


君のような勘のいいガキは嫌いだよ


「なんか面白かったよー!」

「続きが気になった!」

と思って頂いた親愛なる読者様へ…


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