三十五話『星空』
気を取り直して再度釣り糸を垂らす。しばらく待つ。バーベキューの良い匂いが鼻を刺激してくる。ぐっとこらえて我慢我慢。
「肉焼けたっすよー」
ミルフに呼ばれても我慢。匂いに誘われ部屋から出て来たアルフ。みんなワイワイ。バーベキューをエンジョイしてても我慢。
「!」
「来た!さっきよりも引きが強い!」
「うひょおぉぉぉ〜!」
こりゃあ大物の予感!引っ張られる感覚がワカメとは大違い!アジか?!タイか?!
一人興奮するテイト。その様子を焼けた肉や野菜を頬張りながら眺めるミルフ達。
「今度は釣れるっすかねぇ」
「さぁどうじゃろうな」
「どうせ長ぐつとかだろ」
「来た来た来たぁ〜!」
この影は…こいつは…長ぐつだぁ〜!アルフさん正解!一ポイント!笑いをこらえる一同。はい、釣り辞めま〜す。竿を片付けてと。
「はい!お肉!お肉!お・に・く!」
みんなと一緒にバーベキューをエンジョイしました!ごちそうさま!お昼寝しま〜す。
目を覚ます。辺りはすっかり真っ暗。夜空を覆いつくすように満天の星。月の光が海に反射してキラキラと幻想的な雰囲気。息を呑む。
「うわぁ…スゴいなぁ…」
しばらくぼーっと眺めていた。そう言えば。昔の事を思い出す。高台の家に引っ越した初日。屋根に家族三人で登って見上げた夜空。
何かしていないと嫌な記憶も思い出す。親父の最期。妹がさらわれた時の事…。ふと気付く。誰か分からないけれど、お腹が冷えないように布団を掛けてくれたみたい。
そうだった。今の僕には協力してくれる仲間がいる。アルフさん。ミルフ。トル爺。その他。うん。妹を、クエラを救い出すぞ!その為にも強くならなくちゃ!
「テイト、起きてるかね?」
トル爺に呼ばれ船内に戻る。そこにいたのはアルフさんとミルフ。どことなく洗い立てのようにピカピカしている?ような気がする。
「次はおぬしの番じゃ」
「?」
トル爺に手足を軽く開いて立っているように指示される。その通りにしてみる。
「目を閉じるんじゃ」
「【洗浄】」
「んっ?!」
テイトの頭上に魔法陣。水の輪っかが現れる。くるくると回転しながら近づいてくる。
輪っかが身体に触れるも冷たくはない。水道で手洗いをしているような感覚。輪っかが通過した部分は濡れていない。あっ…そこはくすぐったいよ!…ふぅ、全身通過。
「おぉ!キレイになった気がする!」
「よし、次は口を開けるんじゃ」
「しばらくの間は鼻で呼吸するように」
「了解!スースースー…」
「【洗浄】」
「ムグッ!」
テイトの口の前に魔法陣。さっきの水の輪っかの小さいバージョンが現れ、口の中に。回転しながら口の中を移動。その間鼻呼吸。
「ほれ、さっぱりしたじゃろ?」
「うん!ありがとうトル爺!」
これが前アルフさんが言っていたトル爺の水魔法か!お風呂に入るのも、歯磨きする必要もなくなるって事だよねぇ!すごい便利じゃん!魔法にはいろんな種類があるんだなぁ。
…でも"たまにはゆっくり湯船に浸かりたい。"そんな日もあるだろうな。歯磨きはやらなくて良いなら今後もやらないけれど。
トル爺に聞いたら【洗浄】の魔法は自身にも使えるそうだ。みなさん。今日僕は覚えたい魔法が一つ出来ました。
ミルフとトル爺は異空間に戻って寝るらしい。アルフさんと僕は就寝中に魔人に襲われたら危ないとの事で一緒の部屋で眠る事に。
なんか前にもこんな事無かったっけ?…あ〜トイロンさんのお屋敷の時だ。あの時もアルフさんには"一緒の布団で良い"って言われたけれど今日みたいに床で寝てたな。
天井を見上げる。最近色々な出来事があったからでしょうか?あっという間に夢の中。
…家族三人自宅の屋根に登り、星空を見上げる。つぶやくテイト。星座図鑑を見ながら。
「なんか星座ってさぁ〜それぞれ名前付いてるけど全然その形に見えないよねぇ?」
「カニ座とかおひつじ座とか無い部分がおおすぎじゃない?」
「昔の人って豊かだったのかなぁ〜想像力」
「昔の人の事は知らないけど、私が初めてお星様を見つけたとしたら付けちゃうと思うな」
「無理矢理でも名前」
「その方が"私が発見したぞ!"って特別感があるじゃない?」
「名前つけたもん勝ち的な?」
「そう言うもんかぁ〜」
「そう言うものよ、多分ね」
二人の会話を聞いてほほえむルイボル。また星を眺める三人。またしばらくして。
「ねぇ、お兄ちゃんだったらなんて言う名前にするの?」
「う〜ん、あれは枕!あっちは布団で、こっちはパジャマかなぁ!」
「寝具ばっかり!」
「もう!お兄ちゃんったらロマンティックのカケラも無いじゃない!」
「へへ、自分の好きな物を集めてみました」
「それじゃ、クエラだったら何て付けるのか教えてよぅ」
「私だったら?私の好きな物?」
「…お父さんとお兄ちゃん」
後半声が小さくて聞き取れなかった。
「えっ?何て?」
「もういい!内緒!」
「もう寝るよ!」
「ねぇ〜教えてよぉ〜」
「しつこい!」
「落ちない様に気を付けて降りるんだよ。」
「"は〜い"」
「ぬぁ!」
親父の声に返事した自分の声で目が覚めた。
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夜空時々見ちゃいます
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