自分のふり
ここにいる僕は僕じゃないらしいから、自分らしく生きるのはやめた。
気づいたら生まれていて、時計仕掛けの箱入りだった。
成績がいいと「いい子」だから、ミミズをきれいに並べた。
頑張ってできない時は、泣くまで怒られて、泣いても怒られて。
ただ苦しくなって、ただしんどくなった。
涙は抱き枕にしか、吐けなかった。
白い紙の余白を埋め、たまに遊んだら怪我をして、余計に筆を握ることになった。
そのうちに、人と話せなくなった。
少し背が伸びた今も、昔とあんまり変わらない。
誰かが望んだ通りになるよう、自分のふりをして生きている。
喋れないのに喋らないといけないことばかり教わって。
したくないのにしないといけない言葉狩りを教わった。
いったいいつまでこのまま?
誰かが言った。
「僕は僕じゃない」って。
……ああ、そっか。
それなら「僕らしく」なんて、偽物を演じるだけだ。
自分で人生棒に振って、今の人生のフリを用意して。
自分のふりをしている。
自分で追い詰められて、自分で苦しんで。
自分の不利を自分に強制している。